表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
吸血鬼犯罪捜査官 美紅  作者: 城島 剣騎
<第3章>アイドル恐喝殺人事件
PR
73/126

第三章<確信>


で、春樹に随行して私も救護室へと同行した。

「ねぇ、春樹ぃ。

中里 瞬さんから事情聴取しようとしてるの?

だったら先に他の待合室に待機している人達からの方がいいんじゃない?

何も、安静にして眠っている彼を起こさなくても…。」

と言いかけて、春樹が中里 瞬くんの首辺りを入念に調べ始めたので言葉をやめた。

特に調べているのは、首にかかっているロックシンガーが身につけていそうなネックレスみたい。

「やはりな。

これで不自然な数か所の迷った噛み傷の意味も、また理由も見えた。

美紅。

これから推理ショーとしゃれこむとしよう。

今から待合室にいる全員を、ここ救護室へと集めてくれ。

それも、大至急だ!」

ええっ?

私まだ何も見えてないんだけどなぁ。

どういう事かしら?

撮影スタジオでは、照明を気にしてたわよね。

それに、中里 瞬くんが座っていた椅子と、その下。

春樹はあそこで一体、何を見つけたっていうのかしら?

それに、ここ救護室での捜査。

中里 瞬くんの身につけていたネックレスがどうしたというのかしら?

うーん、悔しいけど片鱗しか見えてこないなぁ。

多分、撮影スタジオで春樹が掴んだのは照明を使ったトリックじゃないかしら。

それに、中里 瞬くんの座っていた椅子の下で春樹が見つけたものは犯人を立証出来る証拠。

恐らくは、中里 瞬くんの身につけているネックレスが鍵なんだろうけど…。

でもこれだけじゃトリックを解いた訳じゃないし、ましてや証拠も見えてこない。

はぁ。

やっぱ春樹には勝てないわね、私。

と落ち込んでいると、背後から凄い鬼気迫る怖い妖気を発した春樹が睨んでいた。

「アホぅ!

やっぱりお前はアホぅで十分だろう。

誰が今、ここで推理しろと言った?

早くしないと証拠を隠滅されてしまう恐れがあるから、大至急と言ったんだ。

言われた事ぐらい、速やかに動け!」

はいはい、ただいま!

わかりましたよぉ、だ。

と心の中で思いつつも、私は迅速に全員を招集する事にした。



救護室を出ると、どうやら先程の喧騒は治まったみたいで静かなものだった。

恐らく苛々を超えると、人は無口になるのかもしれないわね。

でも変わりに聞こえてきたのは、誰かの咳であった。

それも、凄い咳みたいね。

はて、誰か風邪でもひいていたかしら?

まぁ良いわ。

誰かが風邪をひいたというなら、早く事件を解決させちゃえば。

「申し訳ありません。

そして、お待たせしました。

これより事件の概要、そして犯人の断定を行います。

全員、これから救護室へ来て頂けますか?」

と私が扉を開けて開口一番に言うと、全員に思わず笑みがこぼれた。

「っしゃーっ!

これでやっと解放されるぜぇ。」

さっきまで死んだ顔をしていた、香山 良治さんが弾けたテンションで飛び上がった。

ついでsprintersのリーダー、長田 裕仁さんが静かに椅子から立ち上がった。

「お疲れ様、刑事さん。」

きゃーっ!

またまた極上の微笑みで、私は思わず意識を失いそうになった。

なのに…。

須貝 幸司社長は傲岸不遜な顔つきで、私に噛みついてきた。

「全く、このごくつぶしめが!

たかが犯人を逮捕するという単純作業に、何時間かけるんだ。

ここまでの拘束時間は論外も甚だしいわ!」

くっそぉ、任務じゃなかったら1000本ビンタをお見舞いしてあげるのになぁ。

でも仕事柄、そうもいかないので私は引き攣り笑いで応対した。

「で?

犯人は誰なんだよ、刑事さん。

俺も皆も暇じゃあないんだからな!

こんな夜遅くまで拘束されたんだ、当然埋め合わせぐらいしてくれるんだろう?」

こ、この人だけはぁ。

私は益々、桜庭 優が嫌いになった。

そう。

もう呼び捨てで充分よ、こんな女の敵っ!

でも呼び捨ては、流石に心の中だけなんだけどね?

って、ちょっとぉ。

桜庭 優は不意に顔を近づけてきたと思えば、とんでもない事を言い出した。

「よぉ、事件はもうすぐ解決するんだろ?

だったら埋め合わせとして俺とこの後、朝まで遊んでいかない?」

はぁぁ?

あぁ、私ってば本当にダメだなぁ。

でも我慢出来ないっ!

私の不快指数は120%に到達しちゃったわ。

振り返りざまに、思いっきりこの女の敵に必殺ビンタをぶちかまそうとしたんだけど…。

ひゃあぁぁ。

長田 裕仁さんが凄い勢いで桜庭 優の魔の手から私を救いだしてくれたの。

「おい優。

さっさと救護室に行くぞ?」

と長田 裕仁さんが言うと、桜庭 優はさもつまらなそうな顔をした。

「ちっ、お前のお気に入りかよ。」

また、それに追随して撮影カメラマンの須藤兄妹も味方をしてくれた。

「桜庭さん、そういう女性が不快に思う言葉や暴力は今後一切やめてほしいです。」

やっぱ純さん、格好良い。

次いで愛さんも口火を切った。

「そうよ!

わたしにも、今後一切やめてよね。

今度わたしの体を触ったら、セクハラで訴えるんだからね!」

愛さんも、よっぽど腹に据え兼ねていたのだわ。

流石にこんな多数を敵にまわした桜庭 優は、無言になるしかなかったみたい。

「さて、見せて頂けるんでしょうね?

貴方達の立てた推理、期待していますわ。」

わぁ、クールよねぇ。

八神 咲子さんって、なんかまるで氷のような印象すら受けるもの。

「ゴホッ、ゴホッ、ゴホン。

あの…。

そ、その。

ぼぼ、僕も行かなきゃいけないん…ですよ、ね?」

そりゃぁそうでしょ。

なんか個人的には味方してあげたいんだけど、君こそが最重要第一級容疑者な訳なんだから。

廊下にまで響いていた咳は、新田 新くんだったのね。

「新くん、当然よ。」

と私は短く言うと、優しく新くんの背中をさすってあげた。

だって、咳が本当に酷いんだもの。

なんか、ずっと口に手を添えているし。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ