表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
吸血鬼犯罪捜査官 美紅  作者: 城島 剣騎
<第1章>吸血鬼ストーカー殺人事件
7/126

第一章<不協和音>


あっきれた!

私は久美さんに悪くって思わず口を差し挟む事にした。

「春樹ぃ、ちょっと本当にいい加減にしなさいよ?

私にならともかく、勤務中にまで私と同じ態度や口調を女性にするんなら、刑事失格よ。

久美さん、こちらこそ本当に無礼な振る舞い失礼しました。」

で、私が取り繕うと久美さんも同じように会釈をし、対して春樹はというと、ばつの悪そうな顔をして頭を掻いていた。

あぁ、なんか久美さん好きだなぁ。

勤務中じゃなかったらお茶にでも誘いたい気分。

って私、人工血液しか飲めないんだけどね?

「先に無礼な態度をとってきたのは向こうの女だし、無礼を無礼で返して何が悪いんだ…。」

まぁったく!

春樹ったらまだあんな事を言ってる。

とか言いつつ、いつもと逆の立場である事に私は気をよくしていた。

「いやぁ。

庭先で見てたんやけど、なかなか面白かったで。

あのメイドの陽子さん、社長さんや奥様にはごっつぅええ顔しよるんや。

けど、なんや儂や久美さんにはえらい態度が悪い人なんだわ。

せやさかい、ちょっとすっとしたわ。」

と不意に声をかけられ中庭の方を見ると、庭先では庭仕事を終えた関西弁を話す初老の庭師の男性が、にこにこしながらこちらを見つめていた。

その瞳はなんともなつっこく優しげではあるが、上背があって恰幅がよく[春樹と違って私は太っているなんて失礼な表現はしないからね?]、スキンヘッドの頭というサングラスしてたら怖い人にも見える、そんな印象の人が可愛らしく舌を見せて笑っていた。

「あぁ刑事さん。

この方は多田 光則さん。

多田さん、今から御主人様が待つ応接間へ刑事さんを案内しますので、また後ほど。」

と久美さんは笑いながら軽く会釈をすると、多田さんも笑顔で私達に手を振った。

中庭の庭園が見える螺旋階段を上がって洋館の2階を奥に進むと、奥には左右それぞれに扉があり、久美さんは右の扉を開けて、私達を手招きした。

「お待ち致しておりましたよ。

どうぞ、早くお入りなさい。」

あ、まぁた慇懃無礼な口調だぁ。

私はちょっと気分が害された。

扉が開くと同時にファイバー製薬社長、川島 高次氏が出迎えてくれた。

それにしても…。

社長っていうからどんなおじいさんかと思ってたけど、実物は意外と若かった。

歳はおそらく40代前半?

整った顔立ちは少し日本人離れしてるからハーフなのかな?

昔の俳優…、うんジェームスディーンみたいで格好良い。

けど気難しくて偏屈らしい。

んー、春樹も気難しい感じだし、最近のイケメンって性格悪いのが多いのかしらん?

などと冷静に分析してみたりした。


中に入ると、これまたアンティークなソファー、アンティーク人形、鹿の角の剥製などがあり、いかにも贅を尽くした数々の骨董品やロココ調の家具が煌びやかに配置され、川島 高次の成金ぶりが伺えた。

だが何より特に目を引いたのが、今にも襲いかかってきそうな、雄大だが、どこか狂気じみた威圧感のある三叉の鉾を手にした西洋の甲冑。

「凄い勇壮な鎧ねぇ。」

私は真っ先に、この甲冑を仰視していたのだけど、その私を見て気をよくしたのか、川島 高次さんは挨拶や依頼を後回しに、アンティーク談義を始めようとしていた。

「気になるかね?

なかなかの骨董品だろう。

それもそのはず。

なにせその甲冑は我が妻の子孫が代々守り続けてきた家宝であり、ギリシャ神話であまりにも有名な海神ポセイドンが装備していた、という伝説が残っている由緒ある鎧なのだよ。

因みにこちらのアンティークドールは世界でも類を見ない程の…。」

春樹は、このまま川島氏の自慢アンティーク談義に付き合わされるなんてまっぴらごめんだった為、熱弁を振るう川島氏の話を遮り、とっとと本題に入る事にした。

「先に自己紹介をさせて頂きます。

僕は藤田 春樹。

こちらは上条 美紅。

共にアブジーから派遣されてやって参りました。

早速ですが川島さん。

最近遭われているストーカー被害について、詳しくお聞きしたいのですが宜しいでしょうか?」

春樹のいきなりの強引な対応に、川島 高次氏は気を悪くした素振りをみせた。

が、一呼吸置いて冷静さを取り戻し、そして詳細を語り始めた。

お、大人な対応よねぇ。

このあたりが春樹とは大きく違う。

「まったく、そちらの刑事さんは短絡な直情径行の持ち主だな。

ま、いい。

アブジーである君達に来て貰っている事だし、早速本題に入ろう。

あれは数日前、私は帰宅途中に殺人現場を偶然目撃してしまったのだ。

いや、正しくは吸血鬼にとっての捕食…、といって差し支えないかな?

まぁ君達のうちのどちらかが吸血鬼刑事かはわからんが、気を悪くせんでくれたまえよ?」

つまり、吸血鬼の捕食殺人現場を見られた吸血鬼が、口封じの為に川島氏を殺そうとストーカーをしているって事かしら?

でも変よね。

それなら、もうとっくに川島氏は殺されていても可笑しくはないと思うの。

もしかして口封じが目的ではなく、威嚇?

吸血殺人の現場を見た事を黙殺させる為に川島氏をストーカーして威圧してるとか?

でも私が犯人なら、そんな不確かな真似なんてしない。

犯人は既に人を殺している訳だし、当然犯行現場を見られたら生かしておいたりなんてしないわ。

じゃあ他に目的が?

と思案中の私に構わず川島氏は話を続けた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ