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吸血鬼犯罪捜査官 美紅  作者: 城島 剣騎
<第2章>闇を切り裂く刃の誓い
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第二章<証明2>


「そして貴様は住谷 薫という女性に取り憑き、すぐに怪しまれないようにする事と、いざという時にはすぐに立ち去れるように花山 しほりさんの遺体から一番遠い位置である店内の入り口付近に移動したって訳だ。

肝心のジュース。

他のおばさん達が飲んでいたのはグレープフルーツ、ポカリスエット、レモンティー。

どれも透明度が高く、さらさらの液体だ。

貴様のようなドロドロのスライム形のジェル物体が姿を隠すには適していない。

でもあんたが飲んだのはトマトジュース。

まさに花山 しほりさんを吸血して真っ赤になった貴様が姿を隠すにはうってつけという訳だ。

まさかこんなくだらないトリックで本気で俺達を出し抜こうとしているのなら、貴様は底抜けのアホぅだろうな。」

フッ、俺とした事がつい熱くなってしまったようだ。

しかし俺が怒り心頭に達する気持ちも当然というものだ。

「成る程。

だからこのおばさんがナリソコナイの憑依体って訳ね。

あなた、理屈っぽいだけじゃなくて頭いいのね。」

俺は美夜の関心していた姿に思わず手で頭を抑えた。

ひょっとして吸血鬼という種族とは、案外アホぅの集団なのかもしれない。

ま、流石にこれは偏見かもしれんが。

「さて。

藤田君が暴いたように、もはや貴女は逃げも隠れも出来ない状況にある。

大人しく住谷 薫さんから離れればよし。

さもなくば…。」

しかし鳴海警部が最後まで言うのを待たずに、突然ナリソコナイは住谷 薫さんの体中から長い蔓のような触手を出して襲いかかってきた。

「ちっ、なんだこれは!」

美夜の話ではスライムのようなジェル状の憑依物体が奴の本体ではなかったのか?

「どういう事だい、お嬢さん。

こんな形態に変異出来るとは聞いていなかったが?」

流石に鳴海警部も突然変異には驚きを隠せなかったようだな。

「どうやら一歩遅かったようね。

そう、だからいざ正体がバレてもいいように行動を移したって訳?

刑事さん達、これが奴の顕身よ。

ナリソコナイはある一定の血を摂取すると、顕身出来るようになるの。

ナリソコナイから別の姿にね。」

ほぅ。

つまりもうナリソコナイではないという事か。

「お嬢さん、こいつの正体はアルラウネだな。」

鳴海警部の問いに美夜は黙って頷いた。

「アルラウネ?

確か、植物系の女性モンスターだな。

人を誘惑して、その血を啜るとか。

別名はアルルーナ[秘密をもたらすものという意]ともいい、絞首台の傍に咲く血を吸う花とも言われている。

俺も初めて見るが、植物系の吸血種族なら倒すのは左程大変、という訳でもなさそうだ。」

だがアルラウネが恐れていたのは、まさに最初からソレだったようだ。

「きゃあ!」

アルラウネは俺達を触手で牽制しつつ、実は最初から美夜を狙って別の触手を美夜に飛ばしていた。

突然の出来事に対処出来なかった美夜は、妖火を出す暇もなく、その体を封じこまれていた。

さながら全身を包帯でまいたように。

くっくっく。

いかん、あまりの無様な姿に俺は思わず笑いのツボにハマってしまった。

「うぐっ!」

無念だ。

俺が笑いと格闘している間に、俺までアルラウネに動きを封じられてしまった。

「藤田くん、大丈夫か?」

間一髪といおうか、とりあえず頭だけは触手に包まれずに済んだので、息を吸う事は出来る。

「大丈夫です。

ですが、どうも戦闘のお役に立てそうにもありません。

鳴海警部、荒事は貴方にお任せします。」

と俺が言うと、鳴海警部は迫りくる触手をヒラリとかわしつつ、にっこり笑いながら俺に向けて親指を突き立てた。




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