第一章<悲壮な終焉>
「そんな…。
そんな事って…。
じゃあ私は、私は自らの愚かしさによって愛するあの人を?
う、嘘よ。
そんなの嘘だわ…。
ねぇ、刑事さん。
嘘だと…。
嘘だと仰ってよぉぉ!
あぁぁぁぁぁぁぁぁぁーっ!」
なんて事かしら。
もしも真相が全て春樹の言う通りなら、こんな結末って悲しすぎる。
アマーリエさん…。
貴女は常に自分が吸血鬼だっていう負い目を感じていたのね。
そして、川島氏を愛する気持ちが強くて。
ううん、強すぎて…。
いけない、なんかこんな結末認めたくない。
だって、こんなのってないわ。
私は。
もしも私も同じように人間を愛したとして、同じ末路を辿らないって言える?
「哀れだな。
何が哀れかわかるか?
吸血鬼だの、人間だのに捕らわれて信じる気持ちを無くしてしまった事が哀れなのだ。」
春樹?
何が言いたいのかしら。
号泣していたアマーリエさんは、そんな容赦のない言い方をする春樹に噛みついた。
「何よ。
ただの人間に、私達の苦しみの何がわかるっていうのよ!」
そうよ。
こんな悲しみの深淵に堕ちたアマーリエさんに、トドメをさすような事を言わないで!
「教えてやる。
吸血鬼でありながら最後まで正義に生き、そして人間を守る為に自らの命を盾にした刑事を俺は知っている。
吸血鬼だとか、人間だとか、黄色人種とか白人や黒人であろうと、そんなものは生きていく上では些細な事でしかない。
大事なのはどう生きるか、ではないのか?
正義であるか、悪であるか。
本当に愛を信じきれるか、疑心暗鬼に捕らわれ勇気もなく真偽を確かめずして自らの手を血に染めるか否か。
あんたは些細な事に捕らわれるあまり、最も大事な心を自分で傷つけただけなのだ。
あまつさえ自分が吸血鬼である事を嫌悪し、それを理由にして、な。
自己を反省せず顧みないで明日を手に入れた奴はいない!
俺が言った事をよく心の中で咀嚼し、そして罪を清算したら。
そうしたらもう一度人生をやり直せ。
過去を変える事はもう出来ないが、人生をやり直す事は出来る。
もう一度、幸せを掴むんだな。」
春樹ってやっぱ、厳しい。
でも言葉の最後に春樹はびっくりするぐらい優しい笑みを浮かべていた。
あぁ、春樹の厳しさって厳父の愛なのよね。
なんか感動しちゃった。
春樹の言葉にアマーリエさんも思わず号泣していた。
そして私達は泣き崩れるアマーリエさんを抱えて玄関に向かうと、外では幾人かの警察官が待機していた。
「御苦労さまです!」
「後は我々にお任せ下さい!」
なんか…。
パトカーで護送されるアマーリエさんを見て、私は思わず胸が締め付けられる思いになった。
そんな私の心情を察してか、いつの間にか私の隣にきた春樹は黙って私の肩を抱いた。
「おい、お前はあんな風になるなよ?
といってもまぁ、お前の場合はまず、そんな相手が現れるか否かを心配すべきだがな。」
むっかむかぁ。
ほんっっとうに!
最初から最後まで春樹は可愛いくないんだから。
見た目はこんな可愛いのに。
「言っとくけどねぇ、春樹!
私だってその気になったら言い寄る男の1人や2人ぐらい、いるんだからね?」
嘘はついてない。
けど、なんかミーハーなヲタク系の方々ばっかなんだけど。




