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吸血鬼犯罪捜査官 美紅  作者: 城島 剣騎
<第1章>吸血鬼ストーカー殺人事件
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第一章<謎解き>


さて。

なにはともあれ、ある程度の動かぬ証拠も出てきたし、アマーリエさんの正体もわかった事だし。

とにかく1階応接室で謎解きとしゃれこもうかしら。

っと!

その前に一応、春樹には知らせておくべきよね。

私はバッグからスマホを取り出すと、春樹に電話をかけてみた。

が、繋がらない。

ちょっとちょっとぉ!

いつも逆の立場だったら凄いぶつぶつ言うくせにぃ。

自分がかけられた時ぐらい、範を垂れろっていうのよ。

ったくぅ、春樹も勝手よね。

私は腹が立ったので、思わず鬼電[鬼のように何度も何度も電話をかける嫌がらせ]をかけてやった。

しかしそれでも応答はない。

まぁ、いいわ。

別に春樹がいなくても真相は掴めたんだしね。

と踵を返し、私は螺旋階段を下りて1階応接間に向かった。

応接間の扉をあけると、すぐに目に飛び込んできたのが涼子さんの期待に満ちた満面の笑み。

「涼子さんったら、刑事ドラマとか探偵ドラマじゃないんですよ?」

と言ったが、どうもこの台詞じゃあ彼女の旺盛な好奇心は抑えられなかったみたい。

「まぁまぁ、いいじゃない!

それでそれで?

犯人はわかったの、刑事さん。」

はぁ。

どうも調子がくるうなぁ。

「うん、まぁ一応はね?

でも動機がまだ不鮮明で、わかんない所もあるけどね。」

私の発言を聞いたアマーリエさんは、一瞬ぴくっと体を震わせた。

本人は気付かれないようにしてはいるものの、明らかに挙動不審である。

そして焦燥感とピーンと張りつめた緊張が伝わってくる。

なのに。

涼子さんったら、今から生で推理ショーが見られる!みたいなノリで瞳を輝かせている。

不謹慎よね、涼子さんって。

現実はドラマのように格好良いものでもなければ、決して軽々しいものでもないというのに…。

「さっすが刑事さんよね、殺害の謎も密室の謎も解いちゃうなんてすっごい!」

よっぽど窘めてあげなきゃと思った矢先、思わぬ人から思わぬ発言が飛んできた。

「陽子さんを殺害した殺人犯、あの人を殺した犯人、その2人の犯人がわかったというの?

殺害方法と、その動機も?

真逆、貴女のお連れの男性みたいな当て推量じゃありませんわよね?」

…。

恫喝気味に言うのは、アマーリエさんとしては私の推理をなんとか攪乱して引っかき回したかったからなんだろうけど。

でも残念ね。

私はすでにトリックも貴女の正体も見抜いているのよ。

「ええ。

今から謎解きをして、一つ一つ解明していきます。

まず結論から。

第一の犯人と第二の犯人、実は同一人物による犯行なのです。

そしてその犯人もわかっています。

密室の謎、殺害方法の謎、そのトリック。

これらを鑑みて、次第に犯人が浮き上がってきたんですよ。

犯人は…。

間違いなく貴女、アマーリエさんです!」

私は迷わずアマーリエさんを指さした。

驚愕の顔で冷や汗を流す、アマーリエさん。

そして涼子さんをはじめとするメイドさん達も驚愕した。

「まず第一の犯行。

久美さんが犯人でなければ、あの拷問部屋は密室となります。

が、実はそうとみせかけてトリックはしっかりありました。

多田さんの絶叫の後、私と春樹、川島氏と多田さんの4人が拷問コレクター部屋へと入っていきました。

そこで見たのはアイアンメイデンによって殺害された陽子さんの哀れな亡骸、そして眠っていた久美さん。

後からさも廊下から駆け付けてきたかのように現れたアマーリエさん。

真相はこうです。

アマーリエさんは吸血鬼の能力、人間には聞こえない高周波の歌で久美さんをあらかじめ寝かせておき、バルコニー前の扉に睡眠誘導をして配置します。

次に貴女は陽子さんをあの部屋へと呼び出し、貴女は拷問器具をずらして壁との間に自分が入りこめる隙間を作っておき、アイアンメイデンの後ろへと隠れます。

入ってきた陽子さんに歌を聞かせてまたも睡眠誘導をかけ、アイアンメイデンに自分から入らせて陽子さんを殺害。

その後に屋敷内を決まった時間に巡回する多田さんに殺害を気付かせて私達が踏み込んでくるのを待ち、陽子さんの亡骸を発見させる。

で、バルコニー側で寝ていた久美さんに皆が釘付けになっている合間に貴女は部屋の入口まで戻り、さも今駆け付けてきたかのような素振りを見せて私達と合流すると、隙を見て拷問器具を壁まで押し戻して証拠を隠滅した。

恐らく、あの部屋と正面の扉だけが開ける向きが逆になっているのも、私達に見つからずに入口付近まで戻る事が出来るようにする為の布石。

向きが逆の扉、本当は拷問部屋だけで良かったんだろうけどあそこだけが逆向きだと不自然に思われるからじゃないかしら?」




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