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吸血鬼犯罪捜査官 美紅  作者: 城島 剣騎
<第1章>吸血鬼ストーカー殺人事件
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第一章<スペアキーと飾り窓>


何故内部の犯行が確定したか、ですって?

当然じゃない…、と言いたいけど説明しておくわね。

まず川島氏が殺害された応接室の窓は閉まっていて、人が窓を解放した形跡はない。

応接室の窓を開けて覗き見たけど、ここは2階で、しかも外壁は垂直。

空を飛べる吸血鬼以外には当然、犯行は不可能なのよ。

さらに犯人が外部からの吸血鬼だったとしても、まず侵入は不可能。

これは決まりというか弱点というべきか…。

私達吸血鬼が入った事のない建物の内部に入るには、内部の人間からの了承が必要なのよ。

まぁ映画みたいに内部の人間を吸血して仲間に加えてから堂々と入る、なんて方法もあるけどね。

でも私が第一の犯行時に身体検査をした時には、咬み傷なんてなかったし。

とくれば、内部の犯行以外には考えられない。

「あなたぁ、お願いだから目を覚ましてよぉ!」

御愁傷様、という他に言葉が見つからない。

アマーリエさんには悪いけど、いくら死体に吸血した所で死体が甦る事はないの。

第一、全ての吸血鬼にその力がある訳じゃないしね。

いつまでもこのままではいられないので、あえて私は事件の検証を始める事にした。

あぁ、こういう時って春樹の鉄面皮な性格が羨ましいって思う。

「1つ聞いていいかな。

スペアキーのある場所って、誰と誰が知ってるの?」

すると硬直していたその場が、ようやく動き出した。

私の質問に最初に答えたのは、涼子さんだった。

「スペアキーの保管場所なら、刑事さん以外の全員が知っていると思いますが。」

全員。

という事は、やっぱり全員に犯行が可能だったという事ね。

「でも、スペアキーが犯行時に使われた可能性は薄いと思います。」

ええっ?

「どういう事なの、涼子さん?」

だってだって、スペアキーが犯行時に使われてなくっちゃ犯行は不可能じゃないのよ。

応接室って廊下側から見て調べてみたんだけど、扉の他には小さな飾り窓しかない。

それも頭1つ入らない、本当に飾り窓。

あれじゃあとても内部に潜入なんて出来ないわ?

第一、飾り窓は天井に近いぐらいの高い位置にあって、脚立でも使わないと中を覗けないような場所についているし…。

と思考をしていたんだけど、涼子さんは話を続けた。

「確かに私達は刑事さんも含めて不意に眠りについちゃったんだけど、スペアキーの保管場所って刑事さんがあの時に腰掛けていた椅子の真後ろにある、金庫なの。

で、刑事さんはあの金庫を背もたれにしてたわよね?

いくら眠っていたからって、吸血鬼の刑事さんが自分の体をどかせてまで移動させられたら絶対に気付くし目覚めると思うんです。

もし犯人が吸血鬼だとしても、人間と違って吸血鬼が吸血鬼に対して魔力を使う場合、力に制限や制約があるって奥様から聞いた事もありますし。

だからスペアキーが使われたって線はないと思いますよ?」

成る程…。

って関心している場合じゃないわよ!

もしもそうなら、本当に密室殺人って事になっちゃうじゃん!

でも、だとしたらどうやって犯行を?

…。

待って、もしかして第一の犯行と第二の犯行が同一人物によるものと考えてみたら?

そうよ、こんな続けざまに殺人事件が起こるなんて絶対にあり得ない。

「皆さん、今から私は自分なりに推理をしてみます。

皆さんは1階の、あの応接間で固まっていて貰えますか?」

私は今の難解な事件より、先の事件の方が早く解けるのではないかと考えた。

「わかったわ、刑事さん。

ほら、皆先に行って!

私はアマーリエさんを連れて行くから。」

涼子さん、頼りになるなぁ。

なんてね、私がしっかりしなくちゃなのに。

「奥様、参りましょう。」

しかしアマーリエさんは涼子さんの呼び掛けを無視し、無言で首を左右に振った。

川島氏から離れたくはないんでしょうね…。

「奥様。

旦那様が存命でない今、ここの御主人様は貴女なのですよ?」

涼子ちゃん、手厳しい言い方だなぁ。

と思ったけど今度は涼子さんの言葉に呼応して、アマーリエさんは力なく頷いた。






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