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吸血鬼犯罪捜査官 美紅  作者: 城島 剣騎
<第1章>吸血鬼ストーカー殺人事件
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第一章<サディスティックコレクター>


扉を押して入ると、室内は異様な光景だった。

だって、今までの部屋とは明らかに異質で、不気味というしかない。

部屋に入ると頬を上気させた川島氏が、そのコレクターズアイテムを熱く語り始めた。

「見たまえ。

ここにあるものは、その殆どが実物だ!

今もフランス、ハンガリー、イギリスなどの貴族の末裔達が秘蔵している数々の品があり、その一部がオークションにかけられ、それを落札して入手したものなのだよ。」

そんな数々の秘蔵の品を競り落とした自慢をされても、私としてはドン引きという言葉しか出てこないのよね。

だって、川島氏のコレクションっていわば、由緒正しき古今東西、世界中にある拷問道具の数々なんだもの。

「まずは、これだな。

君達も日本人なら知っているかな。

いや、今や時代劇なんてネット動画でしか存在してないから知らないかな?

これは江戸時代、罪人達を自白させる為に使用されていた拷問道具で、この凸凹の所に正座させて、膝の上からこの石の重しを上乗せしていくものだ。

因みに時代劇では、この拷問をうけて立ち去るシーンもあるが、実際これをうけた者たちの下半身は歩けなくなるほどに足がひしゃげてしまう恐ろしいものなのだよ。」

うひゃ~っ、間違ってもうけたくないわ。

ってか拷問自体、非合法で悪辣なものだと思うけどね。

「これは鞭打ち用の拘束器具で、これは焼きゴテだな。

焼きゴテはブルボン王朝末期のあの、悪名高いジャンヌ・ド・ラ・モット・ヴァロアがうけた事でも有名だ。

焼きゴテの印の部分には罪人を意味する言葉が掘られている。」

あぁ、それならベルばらで知ってたりするわ。

などと思わずうなづく私って…。

「これなんかは特に変わっていて、この棺桶は虫責め用の拷問器具だな。」

嫌ぁぁぁっ!

私は吸血鬼なんだから棺桶形ベッドで寝てるのよ?

そんなの見せられたら怖くて眠れないじゃないのよぉ。

デリカシーないわね、この人。

と思ってると、隣にいる春樹が私の考えている事を見とおしてクスクス笑っているし…。

春樹もデリカシーないから…。

私と春樹がドン引きしているのに、川島氏は構わず熱弁を振るい私達はそれに心なく頷くしかなかった。

革製の首輪なんかも酷いよねぇ。

灼熱の太陽の元、両手両足を拘束して革製の首輪をつけさせられ、それがじわじわ首を絞めていく拷問用の器具ですって。

後、あの悪名高い魔女裁判で実際に使用されたという、強姦用の器具なんて本当に同じ女性として痛ましいし許せない!

「これなんかは高かったんだ!

鉄環絞首形用椅子というものなんだがね?

こいつはスペインの拷問博物館にあったやつで、盗まれていたものなんだが、どうやら闇市場に出回っていたようなんだ。

で、私が落札した一品!

使用方法は椅子に座らされた死刑囚の首を鉄の輪で絞めて後ろを捻る事で首を絞める絞首刑の一種でもあり、拷問器具としても使用された一品だ。

スペインの公式な死刑執行法として1978年に憲法改正により死刑制度が廃止されるまで使用されていた実物の品で、数々の拷問器具の中でもプレミアの価値がある。」

へぇ、じゃあ拷問というよりは死刑執行法が主な使用用途って訳ね。

ってか、これかなり残忍じゃない?

なんか気持ち悪くなってきた。

あと、魔女裁判って針を刺して痛みを感じなかったら魔女とか、水に沈めて浮かんできたら魔女とか、当時はそんな意味不明な拷問裁判もやってたらしい。

本当に考えれば考える程に悪質で愚劣な愚行よね。

とここまで来て、もう私も春樹もグロッキーだったのに、川島氏はまだまだ絶好調な講義を続けようとしていた。

が、それも次の拷問器具で最後!

…と思ったら、扉近くに鎮座するそれは、今までのものとは一線を画していたように思えた。

そして私はこれを知っている…。

これは、鉄の処女。

アイアンメイデンだ。

と私が思わず呟いたのを聞いていた川島氏は、歓喜した。

「おぉ!

君は知っているのかアイアンメイデンを。

そう、これは吸血鬼の君なら知っていても不思議じゃないのかな?」

アイアンメイデン。

鉄の処女とは、ハンガリーの伯爵夫人、あの悪名高き吸血鬼と恐れられたバートリ・エルジェベートが作らせたと言われている。

私達の間でも真偽の物議をかもしだしている伝説だが、まさか本当に実在していたとは正直、驚きを隠せない。

一節によると、メイドの少女がエリザベート[ここではあえてエリザベート]の髪を櫛でとかしていた所、運悪く髪が櫛に絡まってしまった。

激怒したエリザベートは髪留めでメイドの心臓部を刺した。

そして返り血がかかった手を拭うと肌が金色に輝いたように見えた為、処女の血を浴びると肌が綺麗になると信じたエリザベートが、村中の美しい処女を集めて血を搾り取る為に作らせたとも言われている。

女神偶像のように見える棺桶を観音開き[中央開き]にすると、左右、奥には無数の鋭く尖った剣のような棘が無数に内蔵されており、棺桶の中に閉じ込められるとその棘が中に入った人間を無数の棘で突き刺して殺す、とんでもなく醜悪な殺人器具である。






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