1話 強奪
主人公視点
どうやって戦うか...
白骸の厄介なところは、攻撃の長さだ。
腕が長い分、振り回せば2~3メートルはある。
それだけのリーチの中に攻撃をするためにくぐり込まなければならない。
「...どうするか」
使える武器はもともとのナイフと貰った剣...そして、銃。
銃は切り札だ。
玉は確認したが、3発だけ。
男は玉を持っていなかった。仕方ない。
まずは地形でも確認しよう。
このダンジョンの構造は現代の3階建てのビル。
その中に白骸が一匹。
そして、今いる場所は2階。中央。
階段が左右端に一個ずつ。
どうにか殺せる場所へ誘導して頭に弾丸を叩きこむ。
「...さて、どこがいいか...ッ?」
足音だ。
来た...
白骸...どうする。
このままでは、突き当りでぶつかることになる。
「...」
銃を構える。
頭が出た瞬間...撃つ。
「...」
3
2
1
(今!!)
「ッ!な!」
なんと、頭ではなく手が先に出てきた。
「ッ......クソッ」
ご破算だ。
計画変更だ、一旦...
「撤退!!!」
くそ!頭出せよ!
何でバレたんだッ!
必死に逃げるが、白骸は追いかけて来る。
「ッ!バンッ!!!」
向かって来る白骸に向けて銃を撃つが腕で弾かれる。
「ッチ!」
白骸が怯んだ隙に部屋の中へ逃げ込む。
転がっている椅子を抱え、扉へ向く。
”ガンッ!!!”
扉で白骸が詰まる。
人間より一回りも大きい白骸は扉で詰まると思っていた。
「そこだ!!!」
椅子を持ったまま白骸へ突っ込む!
「おりゃあああ!!!」
白骸は椅子に押され、体勢を崩す。
(今ッ!!!)
銃を引き抜き、頭へ!
「...あばよ」
”バンッ!”
銃声が部屋中に響く。
「...よし、どんなッ!!ガハッ!!!」
俺はいきなり吹っ飛ばされた。
廊下の端へ飛ばされ、壁にぶつかったようだ。
(...痛っぇ...動けねぇ...)
体をよく見れば右足が変な方向へ曲がっている。
「...クソッ...」
おじさんの遺言を伝えねぇといけないのに...
「...」
白骸がゆっくりと起き上がる。
「...バケモンが...」
俺は動く右手で銃を白骸へ向ける。
「ちったぁ痛がれよ...」
”バンッ!!!”
銃声がまた響く。
白骸の二本の足の一本を打ち抜いた。
白骸が体勢を崩し、崩れる。
(今のうちに逃げなければッ...)
俺はほふく前進で階段を下りていく。
「はぁ、はぁ、はぁ」
痛い。体中が痛い。
足の感覚はない。
「クソッ...ここで終わるなんて、ごめん、だぞ...」
階段の中央で姿勢を変えようとしていたが、そこへ。
「ッ白骸!...」
白骸が俺に向かって飛び込んでくる。
「クソッ!!!」
俺は咄嗟にナイフを振り上げる。
(あぁ、終わった...)
白骸の一つ目が段々と迫ってくる。
(ッ一矢報いる!!!)
目に向かってナイフを刺す。
“ブシャッッ!!!”
白骸の頭から血が噴き出す。
「まだだ!!!」
銃を握りなおす。
弾丸は一発。
「...今度こそ、さらばだ!」
”バンッ!!!”
白骸はそのまま動かなくなる。
「はぁ、はぁ、はぁ...」
目の前で白骸は塵になっていく。
魔物は殺すと塵になって消えていく。
「...生き残った」
死にかけた。まじで。
血は塵になって消えていくから汚れても問題ない。
「...おれどうすれば帰れるんだ」
足は片方ぐちゃぐちゃだ。
痛い...とてつもなく...
でも、ダンジョンは出れたはずだ。
「...はぁ...」
倒したはいいが、そのあとはこのまま餓死コースかもしれない。
「...?」
白骸の中から何やら出てきた。
「...魔核か?」
魔核。魔物を倒すと出て来る魔力の塊だ。
売ると結構な値段で買い取ってくれる。
「しばらく飯には困らないな...」
出れたら、だが......
俺は魔核を拾おうと手を伸ばす。すると、
【白骸のスキル〈夜目Lv2〉を継承しますか?】
「!?」
驚いた。このスキルは人間しか使えないと思っていた。
魔物を倒すのも今回が初めてで今まで気づかなかった。
「...継承、する!」
【白骸のスキル〈夜目Lv2〉を継承します】
【継承しました。〈夜目Lv1〉が継承されました】
「?...レベルが下がった?」
継承したのはLv2だったはずだが、Lv1になっている。
「...そのままは無理なのか?」
まぁ、継承できただけよしとしよう!
ここらで自分のステータスを見てみよう。
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名前:ギル
HP80/80
筋力7
敏捷11
耐久8
魔力20/20
固有スキル
〈継承 Lv.1〉
保有スキル
〈衝撃 Lv.1〉
触れた相手や物に衝撃を送り込む。現在は相手をよろめかせる程度。
〈夜目Lv1〉
薄暗い場所なら物の輪郭や動きが分かる程度
普通の成人の身体能力は10前後。主人公は部品拾いで歩き回っているので敏捷は少し高いけど、筋力と耐久は低め。
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これが俺のステータス。
夜目を奪ったから一個スキルが増えている。
中々に強くなってきている。
しかし、このステータスではまだ大人の冒険者や軍人に勝つことはできない。
ステータス数値は普段から運動していれば勝手に上がっていくが、魔力の項目だけは特殊だ。
魔力は消費仕切るほどの使いまくらないと増えない。
魔力が切れるとめっちゃキツイ。
動く回ることができなくなるくらいだ。
普段はこの魔力についてあまり考えることはなかったが、スキルが増えたことで消費する魔力が増えた現状では注視しなければならない。
「...しかし、それより足だ。」
そう、このままでは帰ることさえできない。
「...とりあえず足を補強しよう...」
何とか這いつくばりながら、建物内を彷徨う。
死んだおっさんの服を少々貰い、足を棒で補強する。
幸い出血がすくないことが幸運だ。
「これでよし...あとは、杖でも探して...」
補強した足を庇いながら歩きだす。
普段より遠くに来ているが、何とか歩く。
幸い魔物は見当たらない。
「...このまま順調に...ッうわ!」
恥ずかしい...こけてしまった。
はぁ、道は遠いな。
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他視点
はぁ、私も不運だわ...
何でダンジョンの調査だなんて...
「...私まだD級なんですけど...」
D級。この女は冒険者だ。
冒険者とは、依頼や討伐などで収入を立てる特殊な職業だ。
彼女もまた以来を受けてここに来ていた。
「...新しくダンジョンができたから調査してこいって...まさか、私にお鉢が回ってくるとはね...」
まぁ、報酬がいいから頑張りますか...
言われた場所まで来てみたけど...
「...なんか、ダンジョンなくね?」
確かに、魔素が多いからあったんだろうけど...
「誰かが、攻略しちゃった?」
私は調査すべく付近を散策する。
「...ん?何あれ」
私は発見してしまった。
人の死体を...
「...この人、もう死んでるのか...」
私は合掌して、安らかに眠れることを願う。
「...死んでからそんなに経ってないわね...それに、装備がない...」
誰かに取られた?
それに、傷が背中からの攻撃一突き。
白骸かな...やっぱり。
でも、白骸の気配はない。
「...この人が倒したのかな...」
私は気になって周囲を調査する。
...ッ!
血痕...
「...この血痕、下まで続いてる...」
私は血痕を辿って歩き出す。




