0話 生きるために
序盤で初めましてです。
主人公視点
おれの名前はギル。
まぁ、覚えてくれたらありがたい。
俺も何で自己紹介しているのかわかんない。
だけども、今は結構理不尽な世界で生きている。
もともと現代日本人だが、ひょんなことからこの世界にやって来た...
いや、気づいたらここにいたが正解だ。
今は6歳。
小学生くらいの年齢だが、俺は今、廃墟を彷徨っている。
自分でも驚きだ。
普通異世界っていったら夢と希望溢れるものだろ。
何で、ホームレスなんですか?
何でなんですかねえ、神様...
まぁ、神様。居なかったけど...
「...はぁ...腹減ったな」
そう、家無し小僧のおれには飯を食う金さえない。
だから、こんな危険な場所に来ているのだが...
「...あぁ、そういえばこの世界を紹介してなかったな...ここは葦原島。
島って言っても横断するには5日ほどかかる大き目の島だ。」
しかし、この世界はおかしなもので文明があるがだいぶ荒廃している。
現代ほどの文明が以前あったのだろう、郊外に出れば崩れたビル、穴の開いた道路、鉄筋性の橋。
懐かしき現代を彷彿とさせるものが結構残っている。
今が何年で、ここがどんな世界なのか不明だが、おれは生きている。
さて、話を戻そう。
俺は今、金を稼ぎに来ている。
先ほども述べた通り、現代の遺産が残っているためいろいろ残っているのだ。
例えば、金属系。銅線とかだ。
後は鉄。鉄筋。鉄板。
電池などもそうだ。
それらは売れる。なんとか生きていく上で大事な収入源だ。
「...しかし、今日は静かだな...」
普段であれば、動物や虫が結構残っているのだが今日はいない。
「...さっさと集めて帰ろう。腹減ったし...」
まだ6歳。食欲旺盛だ。
それから周りを散策していたが、今日は何も無かった。
「はぁ、飯抜きか...」
そんなことを呟きながら、帰ろうとした瞬間。俺は固まった。
遠くに、魔物がいる。
そう、この世界にも魔物はいる。
しかし、みんなが思っているようなモンスターではない。
直立約2.5メートル。
- 普段の前かがみ姿勢:高さ約1.8メートル
- 腕の長さ:肩から爪先まで約1.7メートル
- 体重:約90キロ
不気味だ。頭に一つ目の化け物。
名前は白骸。
もうちょっと可愛げのあるモンスターがよかったわ。
しかし、文句ばっかり言ってられない。
何とかして逃げなければ...
「...ッ!」
俺はいい方法を思いついた。
足元にあった石を拾い、反対側へ投げる。
「...よし...」
白骸は音のしたほうへ向かって歩き始めた。
作戦勝ちだな。
俺は、白骸の目線が逸れたのを確認してすぐさま逃げ出す。
・・・・・・・・・
・・・・
...何とか、逃げ込んだ。
「...はぁ、心臓に悪い...」
あいつは動きも早いし、鋭い爪で攻撃してくるため子供でも勝ち目がない。
それでも、逃げ切れたのでよしとしよう。
「...ここどこだ。」
普段、散策している場所より遠くに来てしまったようだ。
景色自体は一緒だが、雰囲気が悪い。
まるで空間が濁っているようだ。
「...出口を探すか」
早速歩き回ってみる。
10分後・・・
30分後・・・
1時間後・・・
「...なんで、出れないんだ...」
景色が変わらない。
建物の外には道路も隣のビルも見えているのに......
「...出れない...」
そうして、俺はある結論に至る。
「...ダンジョン...?」
そう、ダンジョン。みんなも大好きダンジョン。
夢が詰まってお宝いっぱい...
「...現実はそんなに甘くねえんだよ」
6歳。しかも、スキルなんて都合のいいものはない!
どうやって出ろと?
俺には普段持ち歩いてる切れ味の悪いナイフしかない。
俺はナイフを手に取り、眺める。
「...自害か?」
そんなアホなことをしていると遠くで歩く音が聞こえた。
「ッ!」
俺は咄嗟に、部屋の中へ入る。
「ゲホッ!ッ...」
誰かが咳き込む音だ。
「...」
俺はゆっくりと近づいていく。
「...あぁ、クソッ...どじったな...」
どうやら人間のようだ。
しかし、油断はできない。魔物が人間に化けている可能性だってあるのだ。
「...痛って...」
俺は声をかけてみることにした。
「人間か?」
「ッ!だれだ!」
「...人間か?」
「どこから喋ってやがる!」
随分話が通じない。
「...はぁ、俺も人間です。人間であってますか?」
「...あ、あぁ、人間だ」
俺はその様子から物陰から出ることにした。
「ッ...?子供?」
「子供で悪かったですね」
男は子供が出てきたことに驚いているようだった。
「...あ、すまねぇ。こんなところだからな用心深くなってるだけだ」
「...怪我...ですか」
「へッ、どじ踏んだぜ。」
男は以外にも元気そうだが、服の上でもわかる量の出血をしている。
「...白骸か」
「あぁ、どじったぜ...背中から一突きだ...」
「...」
見た感じ、この人はもう助からない。
「...おい、坊主。こっちこい」
男に手招きされる。
(...これは行ってもいいのか?)
内心不安になる。
「何もしねぇよ!...死にかけの人間の頼みくらい聞けって...」
男の精一杯の強がりを受け、俺は仕方なくそばへ行く。
「...はぁッ!...痛てぇな......おい、坊主。お前は生きて帰れ...まだお前は死ぬべきじゃねぇ」
男は俺の顔を見ながら、語り掛けてくる。
「...俺の装備もくれてやる、剣に、ほれ...」
男が差し出した手には拳銃があった。
「これで、あいつの脳天を打ち抜け。そしたら出れる...」
「...おじさんのほうが当たるでしょ」
「ははッ...いつもなら当たるんだがな、今はもう目が見えねぇ...」
「...」
「受け取ってくれ...じゃねぇと、死ねねぇだろ...」
「...」
仕方なく、受け取る。
実際ありがたい。自分の今の装備では白骸に勝てない。
「...ありがとよ...あと、生きて出れたら俺の家族に伝言頼むわ...」
「誰に?」
「オモ亭っていう宿屋がある。そこの女将だ。」
「...何て言えばいい...?」
「...すまねぇ...ってな」
「...」
「...後は頼んだぜ?」
「...頼まれ次いで一ついいか?」
「なんだよ。湿っぽくわかれようぜ?」
「...あんたスキル持ってるか?」
「あぁ、あるぜ。」
「...それを貰っていいか?」
「は?...スキルを...もらう?」
「あぁ」
男は驚いた顔をしていた。
「そんなスキル、聞いたこともねぇ。」
「言ってないからな」
「ッは!そうかい......まぁいいさ、どうせ死ぬ身だ。俺のスキルもってけ!」
【固有スキル〈継承〉が発動しました】
【譲渡意思を確認しました】
【〈衝撃Lv1〉を獲得しました】
「...衝撃っていうスキルなんですね」
「ッ!?...ほんとに、スキルが...」
「ありがとうございます。これで生きる希望が見出せます」
「...なら、遺言も伝わりそうだな...」
「...」
「...頑張れ、よ......」
男はこと切れたのか、急に静かになった。
「...死んだか...ありがたく、使わせてもらう...」
さすがに、目の前で死ぬ人間には心揺さぶられるものがある。
「...どうか、やすらかに」
手を合わせ合掌する。
しばらく、黙禱したのち、俺は歩きだした。
「...感傷に浸るのはここまで...やるか」
よろしくどうぞ!




