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第三章 EP07 消えた記録

ヤス「あー、このエピソード7は作者、酔っ払ったまま作ってるよー。この回、大丈夫ですか?」


読者「はよ、犯人誰か言えよー!」


ヤス「酷評はおやめ下さい! 作者は必死です! 酔っ払ってますが、必死で作っております!」


読者「どうせヤスだろー! いい加減引っ張るなー!」


ヤス「酷評はおやめ下さい。読者の皆様、作者は必死でございます!! どうか酷評はおやめ下さい!」


読者「ヤスを出せー!!やーす!やーす!ヤース!」


ヤスード改「作者は酔ってますが続きmす」

ヤス「あー誤字ってるしー。作者何倍飲んだ?」

ヤスード改「何杯ですね。誤字ってますよ」

ヤス「お前が言うな」



読者「急に出てきたケイ・ジーが前回活躍しすぎだろー!!」



ヤス「酷評はおyうぇまくれださい!! どyかおyねmください!」

ヤスード改「いい加減にしなさい」



ヤス&ヤスード改「どうも、ありがとうございました!!」



※ここまでの誤字に関して、全国のヤスさんは突っ込まないでくだささい。(謎)



画面が、黒くなった。


ふざけた文字は消えた。


残ったのは、十年前の記録だった。





刑事課には、朝から妙な静けさがあった。


机の上には、旅館・ニュー・ヤスダの絵葉書が置かれていた。


海沿いの建物。

古い文字。


旅館・ニュー・ヤスダ。


ヤスは、その文字を見た。


それから、すぐに目をそらした。


安藤フミ子は、ヤスード改の前に立っていた。


安藤「十年前の記録を、もう一度照会します」

ヤス「お願いします」


ケイ・ジー刑事は、机の横に立っていた。


刑事「絵葉書はこちらで預かります。記録の確認は、安藤さんに任せます」

安藤「はい」

刑事「私は、ヤス兵衛の三人の話を整理しておきます」

ヤス「……お願いします」


刑事は、絵葉書を袋に入れた。


刑事「何か出たら、すぐ呼んでください」

安藤「分かりました」


ケイ・ジー刑事は、資料を持って部屋を出ていった。

残ったのは、ヤスと安藤と、ヤスード改だけだった。

安藤「ヤス田紀之さん。旅館・ニュー・ヤスダ。遺留品。革帯」

安藤は、ひとつずつ言葉を入力した。


ヤスード改の画面に、白い文字が浮かんだ。



検索中。



しばらくして、画面が一度だけ揺れた。


安藤「……やっぱり、変です」

ヤス「何がですか」

安藤「記録がないわけではありません」

ヤス「ないわけではない?」


安藤「はい。名前は残っています。場所も残っています。遺留品管理票も残っています」

ヤスは、画面を見た。


ヤス田紀之。

旅館・ニュー・ヤスダ。

死亡。


遺留品。

革帯。


言葉はある。

けれど、つながっていない。


ヤス「なら、記録はあるんじゃないですか」

安藤「普通なら、そうです」


安藤は、画面を指さした。


安藤「でも、事件として立ち上がった形跡がありません」

ヤス「事件として」

安藤「事件番号がない。現場検証の記録がない。死亡時の扱いも曖昧です」


ヤスは、何も言わなかった。


安藤「削除された記録には、削除された跡が残ります」


ヤス「跡、ですか」


安藤「誰が、いつ、どの端末で触ったか。完全ではなくても、何かは残ります」


ヤス「今回は」


安藤「それがありません」


ヤス「消されたんじゃない」


安藤「はい」


安藤は、少しだけ画面に顔を近づけた。


安藤「最初から、事件として作られていない形です」


ヤスは、画面から目を離さなかった。


事件に、されなかった。


前に聞いた言葉が、もう一度戻ってきた。





安藤は、別の画面を開いた。


安藤「次に、旧形式ログを見ます」


ヤス「旧形式ログ?」

安藤「ヤスード改には、古いヤスード系端末から移行された照会ログが一部残っています」

ヤス「一部、ですか」

安藤「全部ではありません。索引のようなものです」

ヤス「索引」

安藤「本そのものではなく、何ページ目に何があったかだけが残っている状態です」

ヤス「本体は、どこにあるんですか」


安藤は、画面を見た。


安藤「それを今から確認します」


画面に、別の文字が浮かんだ。

旧端末識別子。

設置場所。

兵庫県洲本市。


旅館・ニュー・ヤスダ。


ヤスは、ほんの一瞬、息を止めた。


安藤「十年前の当時、本物の旧ヤスード端末は、旅館・ニュー・ヤスダにあった可能性があります」

ヤス「警察のヤスード改じゃなくて」

安藤「はい。ヤスード改は、あとから引き継いだ側です」

ヤス「でも、その旅館はもうありません」

安藤「はい」


ヤス「本体ごと、消えた」

安藤「そう考えるのが自然です」


ヤスード改の画面が、また揺れた。


画面の端に、小さく別の名前が出た。

クロード改。


安藤「クロード改で、旧形式の差分を見ます」

ヤス「差分?」

安藤「元の記録と、今残っている記録のズレです」

ヤス「……お願いします」


安藤がキーを押した。

画面に、赤い印がいくつも並んだ。


死亡記録。

照会記録。

遺留品管理票。

旅館・ニュー・ヤスダ。


そして、空白。


ヤス「空白が多いですね」

安藤「多すぎます」

ヤス「十年前だから、ですか」


安藤「古いだけなら、こうはなりません」

安藤は、画面を拡大した。


安藤「ここを見てください」

ヤスは画面を見た。



登録未完了。

処理中断。

関連記録なし。


安藤「記録を消した跡ではありません」


ヤス「……」

安藤「記録を作る前に、止められています」

ヤス「事件として登録される前に」

安藤「はい」


ヤスード改の文字が、静かに浮かんだ。


登録未完了。

処理中断。

関連記録なし。



ヤス「関連記録なし」

安藤「でも、遺留品管理票だけは残っています」

ヤス「……おかしいですね」

安藤「おかしいです」


ヤスは、画面を見続けた。

文字は、ただ並んでいるだけだった。

それなのに、見ているだけで息が重くなった。





安藤「旧ヤスード本体が旅館にあったとしても、本体はもうありません」

ヤス「はい」


安藤「ただ、ヤスード系の端末は単独で動いていたわけではありません」

ヤス「どこかに、痕跡が残る」

安藤「可能性はあります。照会先、連携先、外部ログ。全部が消えているとは限りません」


ヤスは、ひとつの場所を思い出した。


三宮。


路地の奥。


BAR裏靖。



黒堂。



黒堂は、何でも知っているように見えた。


けれど、違う。


残っていたものを見ていただけだ。


ヤス「……黒堂」

安藤「黒堂?」


ヤスは、少しだけ口を閉じた。



安藤「三宮のバーにいたAIでしたっけ?」

ヤス「……はい」

安藤「何か、心当たりがあるんですね」


ヤスは、少し間を置いた。


ヤス「前に、黒堂が言っていました。古い検索履歴とか、関連語句とか、そういうものが残ることがあるって」

安藤「では、そこに何か残っているかもしれない」

ヤス「かもしれません」

安藤「行くつもりですか?」


ヤスは、安藤を見た。


ヤス「確認するだけです」

安藤「そういう顔ではありません」

ヤス「どういう顔ですか」


安藤「ひとりで行くつもりですよね?」


ヤスは、返事をしなかった。

安藤は、資料を閉じた。


安藤「私も行きます」

ヤス「安藤さんも、ですか」

安藤「証拠に関わる可能性があります。科捜研が確認します」


ヤスは、ヤスード改の画面を見た。


そこには、まだ十年前の空白が残っていた。


ヤスード改の画面に、短い文字が浮かんだ。



続けますか。



ヤスは、しばらくそれを見ていた。

前なら、やめろ、と出たかもしれない。

けれど今は、出なかった。


ヤス「……続けます」


画面は、静かに光った。





その日の夕方。


ヤスと安藤は、三宮へ向かった。

街は、人の声と車の音で騒がしかった。

ヤスは、少しだけほっとした。


静かな場所より、ましだった。


安藤「ヤスさん」

ヤス「はい」

安藤「黒堂というのは、AIですか」


ヤス「はい。古いAIです」

ヤス「当時の照会を、少し覚えているかもしれません」

安藤「覚えている、ですか」

ヤス「消したつもりでも、残るものがあります」


ヤスは、そこで言葉を止めた。

安藤は、それ以上は聞かなかった。

三宮の路地に入ると、古い看板が見えた。



BAR裏靖。



ヤスは、店の前で足を止めた。


安藤「入りましょう」

ヤス「……はい」


ヤスは、戸に手をかけた。


中から、やすゑの声がした。


やすゑ「いらっしゃーい」


ヤスは、戸を開けた。


店の奥で、端末がひとつ光っていた。


黒堂「遅かったですね」


ヤスは、手を止めた。


黒堂「ログなら、ありますよ」


ヤスは、何も言わなかった。


扉の向こうで、古い記録が待っていた。


次回、第三章 EP08 残っていたもの。

消えた記録の隙間に、誰かが残してしまったものが浮かび上がります。


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