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第二章 EP04番外編 苦労する課長

課長は、廊下の隅で携帯を握っていた。

電話の相手は、妻だった。


課長「……ああ、すまん。少し、給料が下がるかもしれん」

課長「いや、まだ決まったわけではない」

課長「大丈夫だ。こっちで何とかする」


大丈夫ではなかった。


通話を切った直後、内線が鳴った。

部長室からだった。


課長は、背筋を伸ばして返事をした。


課長「はい。すぐ伺います」


部長室の空気は、いつもより冷たかった。

机の上には、小宮末広の件に関する報告書が置かれていた。


部長「小宮末広を犯人とし、自殺として処理した件だ」

課長「……はい」

部長「再捜査で、前提が崩れた」

課長「承知しております」

部長「君にも責任はある」


課長は、何も言えなかった。


部長「当面、停職だ」

課長「……承知しました」


それ以上、言葉は出なかった。


部長室を出ると、廊下の音が妙に遠く聞こえた。

課長は自分の席へ戻った。


ヤス田刑事「課長……」


机の上には、まだ書類が残っていた。

朝まで、ただの処理済みの書類だったもの。


表紙には、こう書かれていた。


『解決済みの事件』


課長は、その文字をしばらく見つめた。


解決など、していなかった。


挿絵(By みてみん)




ただ、終わったことにしていただけだった。

次回、第二章 EP05「泣かない女」。

園田で待つ女性は、馬の名前よりも、古い金の流れをよく覚えていました。

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