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第7話

 

 第2章 ファンタジー現実世界を旅する夢斬士

 第7話 異世界を廻(まわ)る旅 前編



【ヴェルレストの村  朝陽の部屋 7回目の朝刻】



『朝陽よ、おはよう。エクスアリアに来てから七日目の朝刻だ』



 ――もう朝か……、起きなきゃ……。



「はあぁー、おはよー、ユメキリ」


『おはよう、朝陽よ。我達がエクスアリアに来てから七日目だが、少しは慣れたか?』


「……慣れた! ……訳ではないけどね。でもエクスアリアにいるなーって感じはする」


『左様か、朝陽よ。アイリアとシャリアに感謝だな』


「そうだねー。あの日の翌朝に、村の入口からこっそり出て行こうとしたら、かなり怒られたからね」



 ――あの朝の二人が言っていたのは確か……。



「アイリアさんは、『朝陽殿! 見知らぬ世界で過ごす感覚も知らないまま、旅立つのは危険すぎますぞ!』とかさ」


『そうだったな、朝陽よ。シャリアにも言われていたな』


「そうそう! 『朝陽様? シャリアを置いていくなんて……でもまずは、ちゃんと準備をしましょう! 朝陽様が十分お強いのは理解しています! でもそれは朝陽様の世界の話です!』とかさー」


『あの時のシャリアは、本気で朝陽を止めようとしていたからな』


「そうなんだよねー、でもそのおかげで一人で知らない世界に行かずに済んだのもあるし、でも……」


『朝陽よ。お前の明日を救う力は、エクスアリアでは脅威となり得る力なのだろうな』


「えっ? ……そうなのかな? あんまり実感が湧かないな……」



 ――確かにヴェルレストの村には、向こうの世界で当たり前の物は無いし、私の装備も剣と魔法の世界の装備から大分離れているし……、まぁなんとかなるでしょ!



「あの日から一週間、エル……いやエクスアリア族の人達と一緒に過ごしたり、アイリアさんから地図を貰って、エクスアリアに住む民達の事を教えてもらったのは良いんだけど……」


『流石に覚えきれないか?』

 

「この目で見ないと、流石にね……、でも今日は旅立ちの日!」


『そうだな、朝陽よ。だがこのまま旅立って、本当に大丈夫か?』


「大丈夫だよ! だって私は明日を救う力を持つ、夢覚市かは来た夢宮一族の夢斬士、夢宮朝陽だよ」


『左様か、朝陽よ。それなら我は構わぬが……』



 ――ん? 珍しくユメキリが言葉を濁したような……。



『我は朝陽が大丈夫ならば、それで良いのだ。我は朝陽が、明日を救い、明日を護り続ける想いを支えるユメキリ』


「うん! 頼りにしてるよ、ユメキリ!」


『うむ。そうだ朝陽よ、旅の準備はもう良いのか?」


「うん、いつでも行けるよ」


『左様か。それと言い忘れていたが、コンツェルンの夢斬参型との通信を今も試みている』


「どう? やっぱりダメ?」


『いや、微かに夢斬参型と繋がり、参型が問題なく稼働している事だけは把握できた』


「それは良い知らせだね。でも私が夢覚市に帰る時、一体どれぐらいの時が進んでいるんだろうね……」



 ――こんな事になるなんて、あの時は考えても無かった……、今更言っても遅いんだけど。



『朝陽よ。我が参型と微かでも通信ができているのであれば、生じた刻のズレは微々たるものだ』


「えっ? どう言うこと?」


『向こうの世界の住人が、エクスアリアにいる夢宮朝陽を探す……、即ち夢宮朝陽の存在は消えてはおらぬ証だからな』


「つまりユメキリと夢斬参型が命綱って事だね」


『左様だ、朝陽よ』




 ――夢宮コンツェルンと繋がりがもしも無くなったら……、今はそんなことを考えてる場合じゃない。



『しかし、いくらユメキリである我であっても、この世界で今後何が起きるかは、それは分からぬ』


「そうだよねー、ユメキリも私と一緒に、この世界に存在しているからね」


『左様だ、朝陽よ。このエクスアリアは向こうの世界とあらゆる理が違う、話が通じぬ場合もあるかも知れぬ』


「そうだね、どんな人がいるかも分からないしね」


『左様だ、だから夢鬼理滅刀(ユメキリメットウ)を、ガジェットの中に用意した。朝陽よ、この言葉の意味、お前は当然理解しているな?』



 ――夢鬼理滅刀、夢覚市では抜く必要がない人を滅する事ができ、明日を奪う力……。

 


「まあ、エクスアリアには、魔法みたいな聖なる力があるみたいだし……、しかも夢領域に棲みつく夢喰を自分で討滅して、殺意の邪想を取り込んでしまう世界だからさ」


『左様だ、朝陽よ。それと――』


「もし万が一、私の命の灯火が消えたら、夢喰の侵蝕を止める明日を救う力を持つ夢斬士がいなくなる! そうしたら本当にこの世界が殺意に呑み込まれて崩壊する……、そう言うことだよね?」


『左様だ、朝陽よ。この世界で朝陽の明日を奪おうとする者に対し、この滅刀で明日を奪ったとて、それは朝陽自身が明日を迎えるための術なのだ』


「そうだね。それがファンタジー現実世界だもの」


『左様だ、朝陽よ。ただし、我は刻想器(コクソウキ)だった時の記憶は曖昧ではあるが、想いを叶えし刻想器は邪なる想いを持つ者とは契約はしない理を持つ事だけは、鮮明に覚えている』


「そういえば、ユメキリと刻想契約する前に、刻想器が見せてきたのは、夢喰に喰われる明日だけだったような……」


『そうだ。明日を奪ってから護る事、明日を最初から護る事は、例え酷似した言葉でも、その意味は、当然違うからな』


「確かにねー、まぁそうはならない様に気をつけるよ」


『うむ、朝陽よ。ただし、お前が滅刀を抜く時は、『明日を救う力を持つ者、力に溺れることなかれ』の夢宮の一族に受け継がれし、この掟を忘れるな』


「うん、分かったよユメキリ……ありがとう」


『礼には及ばん……、シャリアから通信だ』




【夢宮朝陽とシャリアが通信を開始しました!】



《『朝陽様、おはようございます! 旅立つ前よく眠れましたか?』》


「うん、ちゃんと眠れたよー! シャリアさんは準備できた?」


《『はい! 出発の準備はもうできています! アイリア様の家の前でお待ちしております』》


「了解! 今から行くから少し待っててね」


《『分かりました! 朝陽様』》




 【夢宮朝陽とシャリアの通信が終了しました!】



 ――ヴェルハラの森の守護騎士という頼もしい肩書きを持つシャリアさんと旅をする事ができるなんて、私は恵まれ者だ。



「明日を救う力を持つ者、力に溺れる事なかれ、だよ」



 ――夢宮一族に受け継がれ、お父様から教わったこの掟。

 私がまだエクスアリアで生きている理由。

 シャリアさんと旅を始められる理由……。



「じゃあユメキリ、行きますか!」


『了解だ、朝陽よ!』



 ――これから先、どうなるのかは分からない。

 でも私は夢覚市から来た明日を救う力を持つ夢斬士として、必ず旅を終わらせて夢覚市へ帰る!



 第7話 異世界を廻る旅 前編 完。

 第8話へつづく!

*2026年4月16日(木) 内容の再構成改訂を行いました。

*2026年8月27日(木) 一部内容の改訂を行いました。

*2026年8月30日(日) 一部内容の改訂を行いました。

*2026年9月8日(火) 一部内容の改訂を行いました。

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