第7話 異世界を廻る旅 前編
エクスアリアの地に私が来てから1週間後……
【エクスアリア ヴェルレストの村 朝刻】
【朝陽の部屋】
エクスアリアの地で私は、7回目の朝を迎えた……
1週間前のあの日、すぐに旅立つ事も私は、考えたのだが、ヴェルレスト村の長であるアイリアさんと私の旅に同行してくれるシャリアさんに無防備すぎると止められてしまった。
ユメキリと契約した幼かったあの日から私は、夢を見る事ができる夢斬士として、十数年もの間、日々鍛錬をしてきた。
このエクスアリアのことも知らず、ユメキリと夢鬼理ガジェット頼りで、旅に出るのは確かに無防備すぎるという2人の意見も確かになと私は納得できた。
アイリアさんとシャリアさんからエクスアリアの地について教えてもらいながら、ヴェルレスト村の人達と交流しながら、1週間かけて旅の準備をした。
今日は旅を始める日、出発前の確認をする私にユメキリが話しかけてきた。
『朝陽よ、泉に納めたユメキリII型の稼働状態は良好だ』
「それはよかった、安心して旅立つ事ができるね。ユメキリ、準備はできた?」
『朝陽よ、我の動力源はヒトの想い、ヒトが選択肢を選び続ける限りつきぬ。それと朝陽よ、ガジェット内も整理してある』
「ありがとう、ユメキリ! コンツェルンとの通信はやっぱりダメ?」
『ああ、夢宮コンツェルンの我の分体の1つであるユメギリ参型へ通信を試みた結果、稼働はしている事は確認できた……だがそれ以外は確認できなかった』
「やっぱりか……私が向こうの世界へ戻った時、時間はかなり過ぎてるのかな…………」
私は8月8日の夕方、夢覚市の夢宮コンツェルンビルの屋上から私専用の夢鬼理ネットワークのゲートを使ってエクスアリアの地へ来た。
今回の任務のサポート役として、夢宮心裡が、夢覚市からエクスアリアをユメキリとユメギリ参型を通じて、ナビゲートしてくれるはずだった。
しかしエクスアリアと夢覚市との時間を心裡に確認する間もなく、夢覚市とエクスアリアを繋ぐ、夢鬼理ネットワークの転移ゲートは、消滅してしまった。
『朝陽よ、ここは朝陽と我が帰るべき世界と時の法則、あらゆる理が違うのだ。夢鬼理滅刀をガジェットに入れてある、この意味は分かるな?』
夢鬼理滅刀……夢喰だけを斬る夢鬼理一文字と違い、人を滅する事もできる刀……
私たちの世界で使う事がないこの刀をユメキリが夢鬼理ガジェットに入れたという事は、この世界を旅する上で必要になる場合があると言うこと。
……人を滅する力……人の明日を奪う力……
「まあ、元々が魔法の力がある世界だし、私は夢覚市へ帰るまで、命の灯火を消すわけにはいかない! 私の命の灯火が消える……それは夢斬士のいないエクスアリアの地が夢喰に完全に支配されてしまうこと、だよね、ユメキリ?」
『左様だ、夢鬼理滅刀をこの世界で奮ったとて、それは朝陽自身が明日を迎えるための術であり、朝陽と我の約束だ。我は刻想器だった時の記憶は曖昧だが、邪な想いを持つ者と刻想器は契約はしない。なぜなら邪な力へ呑まれた者に待つ未来は破滅しかないからだ。朝陽よ、その刀を抜く時が来たら抜くがよい』
「分かったよ、ユメキリ……ありがとう」
『朝陽よ、礼には及ばん……シャリアから通信だ』
【シャリアが夢宮朝陽へ通信を開始しました!】
『朝陽様、おはようございます!よく眠れましたか?』
「うん、バッチリだよ!」
『シャリアさんは準備できた?』
『はい、準備できてます!』
「よし、じゃあシャリアさん、行くよ!」
『はい、朝陽様! アイリア様の部屋でお待ちしております』
「うん、分かった!」
【シャリアとの通信が終了しました】
シャリアさんという頼もしい戦士と旅をする事ができるなんて、私は恵まれ者だ。
『明日を救う力を持つ者、力に溺れる事なかれ』
夢宮一族の当代総帥であるお父様の教えがなければ、私は今、この部屋にいる事もできず、シャリアさんと旅をする事も無かっただろう……
「よし! じゃあ行きますか! ユメキリ!」
『ああ、朝陽よ』
長い旅の始まりの一歩として私は、外へと続く扉を開けた!
後編につづく!
最後までお読みいただきありがとうございました!




