↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/43

第4話

 第4話 エクスアリアの地 後編


【ヴェルハラの森 ヴェルレストの村周辺 夜刻】



「へぇーすごいなー! 蛍がいっぱい!」


『朝陽よ、これは蛍ではないようだ』



 ――えっ? これ、蛍じゃないの?



「朝陽様。これは私達の村の奥にある女神エクスアリア様の泉から溢れ出ている聖なる力の素みたいなものですよ」


「そうなんだね。私達の世界で、こんな神秘的な体験できないからさ」


「そうなのですか? でも朝陽様からは白き聖なる力が見えますよ、だって朝陽様は救世――」


「だからシャリアさん! 私は救世主じゃなくて、明日を護る力を持つ夢斬士!」


「ユメギリシですか……でも私の中では、もう朝陽様は救世主様ですので!」


「もう……、好きにして」


「はい! 救世主様の朝陽様!」



 ――『シャリアさん……、数時間前まで夢喰(ゆめぐい)に憑かれて、私の首を狙った子だったのに……』



『朝陽よ、もう終わった事だ。あと少し遅ければ、シャリアは助からなかった。それ故(ゆえ)に朝陽は殺められていたかもしれん』



 ――『そうだよね。元気なエルフのシャリアさんだけど、私がシャリアさんの夢領域(むりょういき)ゲートを閉じなければ、シャリアさんの元気な姿も見れなかったもんね』



『左様だ、朝陽。シャリアの明日(あす)を救ったのは、お前なのだ』



 ――私は日本人で、人の明日を護りし、明日を救う力を持つ夢斬士だ! なんて言いたいところだけど……、なんかさっきから同じ場所を回っているような……。



「シャリアさん。あとどれぐらいで着きそうかな?」


「すみません、朝陽様。村は女神エクスアリア様の御加護と村の長が使う迷いの聖なる魔法によって、正しい道順を踏まないと辿り着けない様になっておりまして……」


「そうなの?」


「はい、でもようやく見えてきましたよ朝陽様! ほら、あそこがヴェルレ――」



《シュュースパー!》



「あっ! ちょっ……ちょっと待ってよ! シャリアさん! どうしちゃったのかな?」


『朝陽よ、どうも嫌な予感がするな。我を纏(まと)っておいた方が良さそうだぞ』


「嫌な予感?」


『左様だ、朝陽よ……嫌な予感だ』



【夢宮朝陽がユメキリバトルスーツを装備しました!】




 ――これで良しっと! あれがヴェルレスト村の入口、えっ? あれは……紫黒の大きなスライム? 嘘でしょ。



「……もしかしてエクスアリアの魔物も夢を見るの?」


『朝陽よ。朝陽が地に足を着けているこの世界は、1秒の刻を紡(つむ)ぎ続ける数多(あまた)にある並行世界の1つなのだ』


「私達の本来住む世界と同じ様な世界ってこと?」


「左様。だからスライムも命あるモノ……、当然、夢を見る事もあるのだろう」


「スライムも命あるモノで夢を見る事もある……」


『どうした朝陽よ? 我が代わりにやるか?』


「大丈夫! ユメキリはサポートをお願い!」


『朝陽よ、了解した』



 ◇ヴェルレストの村 門付近◇



【夢宮朝陽が夢鬼理夢斬士刀《ユメキリユメギリシトウ》を装備しました!】




 ――夢鬼理一文字を使うにはまだ早い、だから普段使用しているこの刀で斬る!



『朝陽よ、対象を解析中……解析が完了した!』




【討滅対象夢喰名:夢喰ベルゼスライム型】




 ――はぁ……スライムの夢喰なんて聞いたことない……でも、夢喰の影響で巨大化したスライムが大振りが来たら……あっ! あそこにいるのはシャリアさんだ!



《ガヤガヤ(ああ……この村ももう終わりだ……あんな巨大な邪神スライムが……ああ終わりだ……)ガヤガヤ》


《「皆の者、我が村の守護騎士が一人、シャリアが正気に戻ったのだぞ! 白き聖なる緑光剣と聖なる緑光弓を持つシャリアと守護騎士隊が我達にはいる! だからしっかりするのだ!」》


《ガヤガヤ(アイリア様……シャリア様とてあの様な邪神スライム……、ぁぁ終わりだ……終わりだ)ガヤガヤ》


《「終わりじゃありません! 女神エクスアリア様の選びし救世主の夢宮朝陽様があの邪神スライムを討つべく、この村に来ています! 村は救われるのです!!」》



 ――はぁ、シャリアさん……私は救世主じゃないし……、でも理解してくれそうもないな……。



《「誠かシャリア! その救世主様はどちらにおられるのだ?」》


《「アイリア様! あちらにおられます!」》



 ――なんか……かなり視線を感じるんだけど……、まっ私にできることは一つ! 目の前にいる夢喰を討滅することだけ!


『我がついているぞ、朝陽よ』


「うん! じゃあやりますか!」



【夢宮朝陽と夢喰ベルゼスライム型が交戦を開始しました!】



《ガヤガヤ(おおー、白き聖なる力……あれは正しく女神エクスアリア様が選びし救世主……女神エクスアリア様、救世主に御加護を……)ガヤガヤ》





 ――みんな、夜空に向かって拝んでるし……、やりづらいな……。


「ハァ! ハァ! 次、セイ! キリがない!」



 《ビヤァ! ビヤァ! ビヤァ! ビヤァ!》



「しかもネバネバして気持ち悪い……、斬ると分裂しちゃうし……、はぁ困ったな」




《ビヤァ! ビヤァ! ビヤァ! ビヤァ!》




「チッ! しかも斬撃も効いてない! セイ!」



《ビヤァ! ビヤァ! ビヤァ! ビヤァ!》



 ――ネバネバしててほんとに気持ち悪い……。



『朝陽よ、どうするのだ?』



 ――『うーん……しゃーない、アレを使うしかないか』



『朝陽よ。穹撃型(きゅうげきがた)のユメキリIV型を使うか?』



 ――『お願い! でも弓矢は苦手だし、万が一ここで外したらかなりまずい』



『ならばどうするのだ? 我は矢撃を放つことはできぬ』



 ――『だよね……あっそうだ! ここにシャリアさんがいるじゃない!』



『なるほど、ユメキリIV型をシャリアに渡すか?』



 ――『うん! お願い、ユメキリ!』



『了解した、ただ……』



 ――『ユメキリIV型との分体契約か……』



『左様。朝陽と我があらゆる型の夢喰を討滅できる様に造った我の武装分体。武装分体の利用は分体との契約が必要だ』




 ――『でも今はこれしか方法が無いの! 一度夢喰の力に呑まれたシャリアさんの中にある白緑光の聖なる力が、明日を護りたい想いの力だったら、シャリアさんの想いにユメキリIV型が応えてくれるはずよ!』



『了解した、朝陽よ。……IV型よ、起きろ!』



 ――今はシャリアさんの所へ行かないと!




 ◇ヴェルレストの村 中央広場付近◇


 

《「あわわ、この粘りが身体に纏わりついて寒気がします、矢撃も通じない……、一体どうしたらいいのでしょう……」》



《ビャァァ――》



【夢喰ベルゼスライム型分裂体、一体を滅しました!】



「ふぅー、間一髪だった!」  



「ありがとうございます、朝陽様!」


「シャリアさん、大丈夫?」


「シャリアは大丈夫です、朝陽様! でもあの邪な魔物なのですが、シャリアの中にあった禍々しい邪なる力があるみたいです!」


「そう! あのスライムさんは邪なるオーガを取り込んでいるみたい」


「やはりそうなのですね……、一体どうすれば良いのでしょう?」


「シャリアさん、私のこの武装だとあのスライムさんを救えない……、だから私の力の一つを使ってあのスライムさんを救う為に、シャリアさんの力を貸してくれないかな?」


「朝陽様が持つあのスライムの魔物を救う力をシャリアが……、私も朝陽様に邪なる力から救っていただきました」


「シャリアさん、私は救世――」


「でも、朝陽様が救世主ではないと何度言われても、もう朝陽様は私の救世主様なのです! だからシャリアはあなたに力を貸すのでなく、朝陽様が持つ白き想いの力の一つとなります!」


「うん! ありがとう、シャリアさん!」



『久しぶりだねー朝陽!』



 ――『久しぶりだね、ユメキリIV』



『シャリアに力を貸せ、と主の一対(あるじのいっつい)ユメキリに言われたよー』


 ――『うん! シャリアさんにユメキリIVの力を貸してあげて欲しい、ダメ?』


『シャリアの想いは、もうワタシに届いてるからいいよ! だからガジェットからワタシを出して!』



 ――『ありがとうユメキリIV、よろしくね!』



【夢鬼理ガジェットからユメキリIV型を召喚しました!】



「シャリアさん。これがあなたが使う明日を救う力、私の想いの力の一つだよ」



「これは……なんでしょう、少し大きな弓? それと声が聞こえます……、こちらこそはじめまして……、えっ? 私の名前はシャリア・エクス・ア・ロッテです、ユメキリIVさん」


 ――よし! なんとかユメキリIVと契約ができたみたいね。


「シャリアさん、スライムさんの明日を救おう!」


「はい! 朝陽様」



【シャリアがユメキリIV・穹撃型を装備、夢喰ベルゼスライム型との交戦に参加しました!】



 ――私の首を殺めようとしていた、数時間前のシャリアさんはもういない! 私の隣にいるのは、ユメキリIVの白緑光の鎧《はくりょくこうのよろい》を纏っているシャリアさんだ!



「シャリアさん、私があの子を村の外まで連れて行く囮になる、だから私とあの子が村から出たら矢撃をお願い!」



「分かりました! 朝陽様!」


《ビャァァァ! ビャァァァ!》



「こっちこっち! こっちだよ! 夢喰ベルゼスライムさん!」



《ビャァァァ! ビャァァァ!》



 ◇ヴェルハラの森 ヴェルレストの村周辺広場◇



 ――よし、ヴェルレストの村の外に出た!



【シャリアに夢宮朝陽の現在地情報を共有中……】



 ――シャリアさんが知らない文字の合図かもしれない、でもきっと、ユメキリIV型がシャリアを導いてくれるはず!




《ビャァァァ! ビャァァァ! ビャァァァ!》



「さぁ、終わりにしましょう! ベルゼスライムさん!」



 ――ん? ヴェルハラの村から大きな白緑の光が見える!



『朝陽よ。シャリアの夢鬼理カウンターが想昇が完了したようだ……、弓撃が来るぞ!』



「了解!」



【シャリアが夢殺ノ滅想穹《むさつのめっそうきゅう》を発動しました!】



《ズババババババババババァー!》



 ――あの距離から巨大スライムさんの中心に矢撃を放てるなんて……なんて凄い力なの……。



【夢喰ベルゼスライム型の討滅、スライムの夢領域ゲート閉鎖が完了しました!】



 《ビャァァァ…………ピヤ?》



 ――仲間が迎えに来てくれて良かったね、蒼色スライムさん。


 

「こんな短時間でユメキリIV型を使いこなすなんて……、後はシャリアさんに任せれば大丈夫、野営地へ戻ろう」


『朝陽よ、了解した』



【ヴェルハラの森 野営ポイント付近 夜刻】



 ――これからどうしようかな……、今日はもう休もう、明日の事は明日になったら考えれば良いし。



『朝陽よ、これで良かったのか?』


「うん! これで良かったのよ」


『朝陽よ、シャリアのあの白緑光の聖なる力。あれはお前が持つ、明日を救う白き想いの力と同じだ』


「そうだねー、でも正直な気持ち、ついさっきまで現実に近い夢の世界の中にいる様な感覚だった」


『左様か。だが我達がいるこの世界にもしも何も知らぬ普通の人間がいたのなら、その様に考えるだろうな』


「そうそう。でもね、シャリアさんやヴェルレストの村の人達を見ていたら、私が見ていた人達は本当にこの世界で生きる人なんだなー、と感じたの」


『左様か。確かにこの世界は朝陽と我が存在する世界とあらゆる理が少し異なるだけで、命あるモノが今を生きている現実世界だからな』


「ふふふ、ただ、あの転送帰還ゲートを再起動する為には夢斬貮型が必要。エクスアリアの人達に協力をお願いしないといけない、だから――」


『朝陽よ、長くなるぞこの旅は……朝陽は、それでも良いのか?』


「今更なにを言ってんのよ、ユメキリ! 夢喰が一度侵蝕した以上、この世界にも明日を奪う鬼から護る為の想いの仕組みである夢鬼理ネットワークシステムVer.エクスアリアを作る必要がある! それが夢斬貮型と腑抜けミツの夢宮タケミツと一緒に夢覚市へ帰る方法だと、私は信じてるから!」


『左様か。朝陽がどの様な選択をしても、朝陽の剣と盾である我、ユメキリはいつでも朝陽の側にいるからな』


「ありがとうユメキリ!」



 ――エクスアリアに夢喰が棲みついたのは、間違いなく私が造ったシステムが原因……。



「すぐに帰れる、なーんて甘く考えていた私は腑抜けだなー」


『朝陽よ。過ぎてしまった事を振り返っては前には進めぬ。朝陽が腑抜けぬためには、これから朝陽がどうしたいかで明日は変わるのだ』



 ――えっ? どうしたいかって? ……うん、あれだ!



「ユメキリ、私は決めたよ! 明日を救う力を持つ、明日を護りし夢斬士の夢宮朝陽として、エクスアリアに住む人々と一緒に同じ明日を迎えたい!」



 ――明日を救う力を持つ者、力に溺れることなかれ! 私が今やるべきことはそれしかない!



『左様か……ん? 朝陽よ、シャリアから通信が入った』


「了解! 通信を繋いで」


『朝陽よ。了解した』



【夢宮朝陽がシャリアと通信を開始しました!】



《『えっ? そのまま話せですか? あわわ……』》



 ――ユメキリIV型が教えてくれたのね。



《『えーと、朝陽様! シャリアの声が聴こえていますかー?』》



 第4話 エクスアリアの地 後編 完。


 第5話に続く!

*2026年4月9日(木) 構成変更改訂を行いました。

*2026年8月25日(火) 一部内容を改訂しました。

*2026年9月7日(月) 一部内容を改訂しました。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。