第40話
第40話 邪滅魔術嬢バレディナ:前編
【バレディナ夢邪滅夢領域 邪刻】
「ここが夢邪滅夢領域……禍々しい紫空……」
『邪想ネットワーク……これ程までに邪想の黒霧の夢領域とはな』
「ユメキリ?」
『朝陽よ。我ら刻想器であったモノは邪な想いと刻想契約はしない。だが所詮、邪想ネットワークは別の概念である夢魔の妖王から生まれし、偽りの模倣ネットワーク』
「えっ? つまりユメキリさん、それって?」
『弥乃葉よ、夢鬼理ネットワークシステムの知識は、我であるユメキリと朝陽の刻想契約から生まれしシステムだ』
「そう。だから私とユメキリの関係を模倣できない以上、いくら邪想ネットワークが夢鬼理ネットワークを基に造られたシステムだとしても、模倣ネットワークに変わりはないってこと」
私とユメキリはあの日から一心同体。
夢鬼理ガジェットと夢斬ガジェットは、使用できる機能は同じ様に見えても全くの別物、だから邪想ネットワークも同じ。
――システムの核は模倣できない……にしても暗いエルタティアの街みたい……。
《ようこそ〜ワタシの箱庭、バレディナダークタウンへ!》
「朝陽様、あれを見てください!」
「シャリアさん? ……あ、あれは! あんな高い塔の頂上に、あれが……」
――あれがバレディナ……禍々しい眼の杖、禍々しい眼のローブとハット……しかもパッと見、弥乃葉と同じぐらいの少女じゃない!
《「あーはははー! 驚いた? 夢宮朝陽。この姿はお前とそこの茶毛娘の世界では、美少女闇魔法使いなんだってさ! タケミツ様が教えてくれたのー!」》
――チッ! 偽りの称号と力に溺れた腑抜けが!
「なるほどね、バレディナさ。アンタ、完全に人を辞めちゃったんだね、タケミツに唆されて、可哀想にね」
《「あーはは――、えっ? どういう事? 私は……あれ? スレイアアリア人の聖なる力使い……『バレディナちゃん、キミは力を欲した、だから我がキミに力をあげたんだよ。キミが握りし邪滅の杖、夢邪斬想士魔術杖・殺、それがキミの命と引き換えに邪滅の力を与えた我、夢喰王タケミツとの契約である!』…………ふふっ、あはははそうだったぁ! バレディナの魂の内100、征服完了!」》
『朝陽よ。我がバレディナから感じていた違和感は、邪想侵蝕への最後の抗いだった様だ』
「ユメキリ、じゃあもうバレディナは?」
『朝陽よ。バレディナへの揺さぶりは効かぬぞ』
――タケミツ! やはり夢邪滅四重鬼卿はお前の欲望の化身だったのか!
《ガヤガヤガヤガヤ(バレディナ様、あー、バレディナ様へ邪想の力を! あーバレディナ様! あーバレディナ様!バレディナ様へ邪想の力を!)ガヤガヤガヤガヤ》
「まずいな……朝陽殿、どうするんだ?」
「エイアスさん、メリディさんはこの夢邪滅夢領域にいるはず、だよね? エルタデュータ貮型!」
『チッ! マスター朝陽、気づいていたか』
「舌打ちすんな、いつも言ってるでしょ! 夢斬貮型としてメリディさんの想いの力を受け取り、エルタデュータ貮型としてエイアスさんと契約したアンタならできるでしょ!」
『チッ! 流石はマスター朝陽だ。マスターエイアス、メリディはこの夢邪滅夢領域の最深域に囚われているはずだ』
「了解だ、エルタデュータ貮型。朝陽殿、メリディ様は必ず俺が救い出す!」
「うん! エイアスさん、メリディさんは頼んだよ!」
「ああ、朝陽殿」
『行くぞ、マスターエイアス! 貮型夢領域シールド展開!』
貮型のその言葉と共に、エイアスさんはメリディさんがいるであろう夢邪滅夢領域の別空間へ消えた。
《「あーあ行っちゃったねー、ワタシしーらないっと!」》
「どういうことだ! 答えなさいバレディナ!」
《「今ここでワタシに狩られる夢宮朝陽……いいや貴様達に答える義務はーないのー! あっはははははーひゃははは!」》
『朝陽よ、来るぞ!』
「うん! みんな行くよ!」
【夢邪滅四重鬼卿夢邪滅喰バレディナ型と夢宮朝陽、シャリア、夢月弥乃葉が交戦を開始しました!】
――私達は明日を救う力を持つ者達、必ずバレディナを斬って、メリディさんとエルタティアを救ってみせる!
【夢宮朝陽が夢鬼理想始刻文字刀・エクスを装備しました! 現在:白聖想モード!】
《「あははは、残念でしたー!そんな刀を握った所で、タケミツ様より授かりし、大いなる邪滅の力に勝てないのよー! 《邪滅闇蝕光弾!《ダークバスター》》
――黒き邪光の閃光弾か……。
「ハァ! 吸属換想斬!」
――コクモンジ、お願い!
【コクモンジ・エクスが闇の邪滅の力を聖なる白き光に換装中……】
《「ひゃはははは! 自ら隙を見せるとは! 夢宮朝陽ぃぃぃ!」》
「朝陽様、来ます!」
「シャリアさん、弥乃葉、援護をお願い!」
「了解、朝陽!」
「分かりました、朝陽様!」
黒の高き塔の頂上から見下ろしていた、タケミツの誘惑に負けしまい邪想の力に溺れ、人を辞めてしまった夢邪滅四重鬼卿の一柱が目の前に来た。
邪滅魔術嬢バレディナ……あなたを解放する為には、無醒殺滅しかない!
――それがこの世界を侵蝕してしまった力の一つを持つ者の責任と責任の果たし方だ!
第40話 邪滅魔術嬢バレディナ:前編 完。
第41話へつづく!
お読みいただきありがとうございました。




