第2話
第2話 朝陽、エクスアリアへ 後編
【夢鬼理ネットワークシステム管理者:夢宮朝陽の現実世界エクスアリアへの転送転移が完了しました!】
◇現実世界 エクスアリア ヴェルハラの森◇
【『ご武運を……、明日を救う力を持つ者、力に溺れることなかれ!』】
「ほー、静かな森ね。私が住む世界と変わらない……でも、ここがエクスアリアなんだよね?」
『左様だ、朝陽よ。ここが現実世界エクスアリアだ、上を見てみるが良い、あれが我達の世界にあるか?』
「上? あれはなんだろうね? 水が流れてる?」
――向こうの世界と同じ様に見える森なのに……。
「ここがファンタジーな現実世界、エク――」
『朝陽よ。夢宮心裡から通信が入った』
「了解。心裡との通信を繋いで」
『朝陽よ。了解した』
【朝陽ルームから夢宮朝陽に通信が入りました】
《『あー、こちらは夢宮コンツェルンの夢宮心裡です、朝陽、聞こえる?』》
「こちら夢宮朝陽です。大丈夫、聞こえているよ」
《『ふぅ、無事に転送転移できたみたいで良かったわー』》
「うん。でも夢領域じゃないのに、武装が自動解除されないね」
《『ちょっと待ってね……、確認してみるわ』》
「うん。お願いします、心裡」
――ヘッドギアの現在地情報もエクスアリア?に更新されてる。
《『お待たせ、朝陽』》
「でっ? 武装が自動解除されない理由は?」
《『夢鬼理ガジェットからの情報から考えると、普段朝陽達が活動している夢領域と今、朝陽が目にしているエクスアリアが……えっ? 朝陽! 今すぐ転送帰還ゲートに戻って!』》
「どうしたの? ねぇ! どうしたの? 夢斬貮型はどこにあるの?」
《『これ……ジャミ……ング……?』》
――えっ? 私の声が聞こえてない?
《『朝陽……これ……支……で……ごめ……』》
【朝陽ルームとの通信が強制遮断されました】
――朝陽ルームとの通信が強制遮断……、嘘でしょ!
「ねぇ! 心裡! ねぇ! ……ダメだ」
『朝陽よ、後ろを見ろ!』
――えっ? 後ろ?
《ジリジリジリジリ! スパーン!》
【夢鬼理ネットワークシステムの転送帰還ゲートが強制遮断されました】
「転送帰還ゲートの強制遮断?! もう勘弁してよ……、さっさと腑抜け達を回収して帰るつもりだったのに!」
――夢鬼理ネットワークシステム、再起動……、だめだ! 反応すらない……。
「まさか転送帰還ゲートが目の前で消えるなんて……、これじゃあ夢覚市へ帰れないじゃない……」
――こんなことになるなんて全く予想もしてないし、食料も当然無い、どうしよう……。
『腑抜けるのか? 朝陽よ。幼き日々のあの時の様に……』
「なに言ってんのよ、ユメキリ! 夢斬士は……、本来なら夢斬士は、夢斬士になった時点で夢を見ることができない」
『左様。それがヒトの明日を奪う夢喰から明日を護る夢斬士の理……』
「そう。でも私はユメキリのおかげで、夢斬士の理から少し外れた、夢を見る事ができる明日を救う力を持つ夢斬士として、今日まで頑張ってきた!」
『左様だ、朝陽よ』
「だからあの頃の幼く腑抜けだった夢宮朝陽はもういないのよ! それはユメキリが一番分かってるでしょ」
『左様、あの約束の日から我は、いつでも朝陽の側で、朝陽の事を見ていたからな』
「そうそう。にしてもこの森は広そうだね……ん?」
《ズバァァァァー!》
「光る矢? ……よっと!」
――あの光の矢みたいな攻撃はなに? ていうか、あんな弓撃は、今まで見たことがない!
『朝陽よ。こちらに高速で向かって来る者がいる、お前の予想が的中したな』
「もう勘弁してよ……、でもやるしかない! ユメキリ、やるよ!」
『朝陽よ。了解した!』
――この子……、もしかして女の子? でもこの感じは……。
「――――? ――――――? ――――――!」
――えっ? 何を言っているのか全然分からない! でもこの子は……。
「夢覚市にも日本にも世界にも存在しない……」
『そうだ、これはファンタ――』
「ファンタジー世界の定番のエルフさんでしょ? 私でもそれぐらいは分かるわよ」
――髪は綺麗な紫黒長髪、尖った耳とバランスの良い身体のスタイル。
でも手に握る黒き緑光を放つ剣は場違いでしょ。
「――――? ――――――? ――――――!」
――なにこの子、いきなり首元を狙ってきた?! しかもなに喋っているか分かんないしさ!
『朝陽よ。これは異世界語だな! 翻訳を開始……』
【ユメキリが言語解析中……エクスアリア語の日本語翻訳が完了しました!】
――エクスアリア語? この子、また首を狙ってきた!
「はぁ、やっぱりアンタが話していた言葉……チッ! 腑抜けが!」
――そんな言葉を放っているなんて……場違いすぎる!
「あなたを殺めていい? あなたの首なら殺めれそう! 決めーた、あなたの首を殺める!」
――『いとも簡単に夢喰を倒したんだ、このエルフは! ユメキリ、解析をお願い!』
『朝陽よ、了解した。対象を解析中……解析完了!』
――『ありがとうユメキリ、このエルフの情報をお願い!』
『このエルフの名は、『シャリア・エクス・ア・ロッテ』だ。我達がいるこの森の守護騎士として、活動している様だ』
――『ありがとう、ユメキリ』
『どうするのだ、朝陽よ。我が代わりにやるか?』
――『ありがとうユメキリ……でも私がやるから大丈夫!』
「さぁいくよ! 夢喰のエルフさん!」
【夢宮朝陽と夢喰エグゼクショナー型が交戦開始しました!】
「あなたあの異物と違う? あなたは何者? あーでもそんなことはあなたには関係がなかった! だって私はあなたの首を殺めるだけだから!」
「遅い! アンタ、それでも守護騎士なの?」
――はぁ……また懲りもしないで、首を狙ってきたし……
「それとさ、私の首を殺めるだって? 笑わせるなよ、そんな剣捌きで何言ってんの! アンタ、一応守護騎士みたいだけど……、それでも遅すぎるから!」
「遅すぎる? 好き勝手に言ってくれるわね! ならばこれならどうかしら? ガァァァァァァァァァ!」
――はぁ……この子がこれ以上、夢喰の力を使ったら救えなくなる……、ていうかまた首を狙ってきたし!
「はい! はい! ほらほら! そんな剣捌きじゃね、私の首は殺めれないんだよ! 分かる? 夢喰エグゼクショナー型のシャリアさん!」
「あーあ、言ったわね! ならワタシはあなたをエグゼクショ……、えっ? あれ? エグゼク? ワタシは――」
――『ん? 一瞬だけ反応が鈍ったわ! これならいけそう! ユメキリ、一文字をお願い!』
『朝陽よ。了解した!』
【夢宮朝陽が夢鬼理一文字を装備しました!】
「あなたはなに? ワタシはなに? あなたはもしかして……エクスアリアの救世――」
「残念だけど私は……この世界の救世主ではない! 明日を護る夢斬士だ!」
【夢宮朝陽の夢鬼理カウンターが想昇中………】
――十数年前の幼く腑抜けだった私は、ユメキリに頼ることしかできなかった……、でも今の私は明日を救う力を持つ、明日を護りし夢斬士の夢宮朝陽として夢鬼理一文字を握っているんだ!
「だから! 私は救世主じゃなくて夢斬士だ! ごめんね、シャリアさん……、私達とタケミツのせいで……、夢殺ノ一文字斬!」
【夢宮朝陽が《夢殺ノ一文字斬》を発動!】
「あわ……、これで解放される……、あり……がと……う」
バタン!
【夢喰エグゼクショナー型の討滅及びシャリア・エクス・ア・ロッテの夢領域ゲート封鎖完了!】
《プシュー!》
「熱っ! 早くガジェットに入れなきゃ」
【夢鬼理一文字を夢鬼理ガジェットに格納しました!】
――ふぅー、なんとかこの子の夢喰を討滅できた。
「夢領域の中に棲み始めた夢喰が人の明日を奪い尽くすと原因不明の昏睡になる……、この世界に棲み始めた夢喰は少し違うのかな?」
『朝陽よ、どうやらその様だな』
――この子にも大切な人達がきっといるはず、それはどの世界でもきっと同じ。
『明日を奪う力から明日を救う力を持つ者が、最後の砦となる。それが我達の住む世界の夢斬士の理だ』
「そう。それが明日を救う力を持つ者である夢斬士の理、私達が開発した『SNS:夢鬼理ネットワークサービス』も、その為にある」
『左様、朝陽は明日を救う力を持つ夢宮に生まれし者。そして我は、朝陽の"夢喰から明日を護り続ける想い"から生まれし、想いを叶える存在だったユメキリ』
――それが『明日を救う力を持つ者、力に溺れることなかれ』という掟を持つ夢宮の家に生まれた私と想いを叶える存在だった夢鬼理と交わした刻想の契り。
「もしも……想いの力とこの世界の魔法の力が似た様な力だとしたら、夢喰を簡単に倒せた理由にもなるし、なんか厄介な事になりそうな予感……」
『そうだな、朝陽よ……ん? シャリアの中にあった殺意の邪想の力が消えたようだ』
「あれ? 髪が綺麗な金色に変わっていく……」
『朝陽よ、どうするのだ?』
「どうするも何も決まってるでしょ! ……あの広そうな場所で野営する、だから野営設備をお願い!」
『朝陽よ、了解した』
――夢宮タケミツと夢斬貮型が、この世界へ来た時に夢喰が憑いて来てしまった事は、この目で確認できた……。
けれど事態が起きてしまった以上、夢鬼理ネットワークシステム管理者として、このままこの世界を放ってはおけないし、明日を救う力を持つ者である夢斬士:夢宮朝陽として、明日を奪う鬼から人の明日を救い護るというこの想いは、どの世界にいても変わらない!
第2話 朝陽、エクスアリアへ 後編 完。
第3話へつづく!
*2026年4月7日(火) 内容再構成改訂を行いました。
*2026年8月24日(月) 一部内容の改訂を行いました。
*2026年9月7日(月) 一部内容の改訂を行いました。




