第33話 第30話:裏 弥乃葉編
第33話
第30話:裏 エルタティア山と夢斬貮型 弥乃葉編
【夢斬貮型夢領域:エルタティア山 邪滅コロシアム 16回目の夢刻】
――うーん、これはよくある黒霧のカーテンの先が、円形の岩場で囲われたボス部屋でしたーみたいなやつね! まっ! 余裕余裕!
「この世界まで、朝陽ちゃんを追ってくるなんてさー、どんだけ朝陽ちゃんが好きなんだよ、夢月弥乃葉!」
「なんとでも言えば、腑抜ケミツ! 朝陽に明日を救ってもらったからわたしは今、生きてるんだ! だからわたしにとって、朝陽は命の恩人で親友なんだ!」
「命の恩人で親友ねー……、なるほどね、だからお前の夢領域には何十人もの朝陽ちゃんがいたわけだ、あはははははは!」
――コイツ、どうやってわたしの夢領域に入ったの……、確かにこの世界へ来てからまた夢を見れるようになったけどさ!
「当たり前でしょ! わたしと朝陽は親友! 朝陽を傷つけるお前をわたしは許さない!」
「あっそ! でも君はコイツらの餌になるだけだからー、朝陽ちゃんとはもう逢えないよ、邪滅チートスキル〈邪滅魔獣召喚〉!」
《『ガァァァァァァ、ヒューマアリアオンナ、エサエサエサエサエサ、ウマソーヒューマリアオンナ』》
――えっ? これは……ボス級キマイラ二体? 全身に眼がびっしりついてるし、キモッ!
「それじゃあ、僕はこの特等席から眺めてるからさー! あはははは!」
《「弥乃葉! 弥乃葉!」》
――朝陽の声が聞こえる、でもわたしは大丈夫! わたしは朝陽の剣、だからわたしは大丈夫!
「朝陽、大丈夫だから!』
《『ガァァァァァァァ! オンナウマソウ!』》
――右からの爪撃にシュッと左に躱して! 次は前からの攻撃を右にヒョイと避ける!
「お前に喰われるなんて、ありえないから!」
《「ダメ、私も戦う!」》
――朝陽がここで死んでしまったら、誰がこの世界の明日を救うのよ! ほんとに朝陽は朝陽なんだから!
「明日を救う力を持つ者、力に溺れることなかれ! 明日を救う力を持つ正義の夢斬士たる夢月弥乃葉は、目の前にいるこんなやつらには負けないから! さあ来い!」
《『ガァァァァァァァ! ヒューマリアオンナウマソウウマソウ!』》
――また同じ攻撃パターンか! 躱し方もさっきと同じだよ!
「朝陽の声が聞こえなくなった……よし! 夢羅鬼理、本気でいくよ!」
【御意、主人弥乃葉。夢羅鬼理震動刀を右手に装備、ブレードモードへ移行なり!】
――えっ? なんか軽くない? しかもうるさくなくなった気がする!
《『ガァァァァ――リアオ』》
「ふん! 夢羅明祓滅斬〈ユラメイフメツザン〉!」
《『ンナウマ――』》
――すごい! あの巨大キマイラを一瞬で斬り裂いた!
「はぁー! なんだよ、その刀……高周波ブレード? そんなモン、いつ造ったんだ!」
《『ガァァァァ!』》
――前からの変な球の攻撃を右にシュッと避けて!
《『ウマソウナヒューマリアオンナニクガァァ!』》
――右からの攻撃を左にヒョイと避けながら懐にローリングして!
「雑魚が! 消えてな!」
《『ガァァ――』》
【主人弥乃葉、夢邪滅喰(笑)ハリボデキマイラの二体の殲滅、完了なり!】
――これがエクソダスソウルガチ勢のボス撃破の仕方だー!
「どうだー、腑抜ケミツ! お前の気持ち悪い召喚獣は、正義の明日を救う……あれ、いない? どこへ行った?」
【主人弥乃葉! 後ろなり!】
――はっ? 後ろ? いつの間に!
「邪滅聖挫〈ジャメツセイザ〉の貫き! これでゲームセットだよ!」
――刃が……わたしの胸元……宙に浮い……て。
「イッタァァァァァァァァァァイッ!」
「油断したね、夢月弥乃葉! 君がエクソダスソウルのガチ勢なのは、向こうの世界では有名じゃないか! あはははははは!」
「こ……このひきょ……もの!」
「あははははは! なんとでも言えばいいさー! ここはゲームのファンタジー世界とは違うんだよ、残念だったね! ひゃはははははは!」
――隙を……みせちゃ……った、いつも……朝陽に言わ……れてたのに……。
「夢月弥乃葉、我が軍門に降る気はないか?」
――なに……いって……んの……。
「わたしは……あさ……ぐはっ!」
「夢月弥乃葉、もう一度聞くよ、我が軍門に降る気はない?」
――また……刃……が。
「お前が我が軍門に降れば、朝陽ちゃんをお前だけの朝陽ちゃんにしてあげれるんだよ!」
「わ……た……しは……あさ――」
「あー、流石に耐えられなかったか……流石はヒューマリアだわ、弱っ! ……夢月弥乃葉の夢領域へ邪想ネットワーク接続開始……」
――……タケ……ミツが……おかし……朝陽に伝え……でも……。
《『オイ、夢月! 呆けている場合ではない!』》
――『……カ、陰楼様?! どうして……』
《『お前は朝陽の剣と盾だろーが! あの夢覚の地にある高く聳える塔で、俺に語った朝陽への想いはこの程度だったのか? この大腑抜けが!』》
――『うるさいな! 大体、あの時だって……ってあれ? なんで陰楼様の声が……』
《『お前が右の手に握りしその刀のおかげだ!』》
――『えっ? 夢羅鬼理のおかげ?』
《『そうだ、朝陽と夢鬼理、それと夢覚の地の夢衛士とやら達に感謝するがよい!』》
――『意味わかんないし! 陰楼様は一体どこにいるのよ!』
「あれっ? 夢月弥乃葉の夢領域に入れない、どうしてだろう、ん?」
《『俺か? 俺なら……』》
「ここにいるぞ、夢月! フン、鬼理無醒祓滅斬〈キリムサフメツザン〉!」
「グハッ! ユメミヤ・カゲロウ!」
「なるほど……貴様は大腑抜けのタケミツではない! 消えろ! 鬼理無醒祓滅斬」
「な――」
――陰楼様……良かった……。
「……ふぅ、夢月よ、まだ命を散らす時ではない! 鬼理刻!」
『承知したぜ、主君陰楼……、某の力を持つ夢羅鬼理よ、夢月――――』
――えっ? なにも聞こえない。
【御意――夢羅鬼理モードへ移行なり】
――えっ? 夢羅鬼理モード……なにそ――。
第33話
第30話:裏 エルタティア山と夢斬貮型 弥乃葉編 完。
第34話へつづく!
*2026年10月7日(水) 一部内容の改訂を行いました。




