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第31話

 

 第31話 エルタティア山と夢斬貮型 朝陽:中編



夢斬貮型夢領域ゆめぎりにがたむりょういき:エルタティア山 上合域(かみごういき) 夢刻(ゆめこく)



 私とシャリアさんとエイアスさんは、夢斬貮型の夢領域の頂を目指している。

 夢領域の魔物を討滅しながら、少しずつ夢斬貮型の元に近づきつつある。



「……弥乃葉。やっぱり私、戻ります!」

「朝陽様! それはいけません! あれを見てください!」

「シャリア殿……あれは? エルタティア山の中合目? 朝陽殿、あんな切り離された場所まで、どうやって戻るんだ? 二度と戻れないぞ」

「それは……でも私にとって弥乃葉は! ……夢斬士(ゆめぎりし)、夢宮コンツェルンの令嬢、夢宮のお姫様と言われ続けていた私に……ただの夢宮朝陽として接してくれていた大切な子なんだ! だから弥乃葉がいなくなったら私……」



 ――それだけ弥乃葉は私にとって心の支えだった……



 《あははは! 朝陽ちゃん、良いニュースを教えてあげよう! 夢月弥乃葉は僕が殺めてやったよ、あはははは!》



「えっ? そんな! 嘘よ! 夢鬼理(ユメキリ)!」

『朝陽よ、確認中だ、少し待て……』



【夢月弥乃葉とユラキリの生体反応が補足できませんでした】



 ――そんな……弥乃葉、弥乃葉! ……タケミツ! お前は夢斬士ではなく一人の夢宮朝陽として、必ず無醒殺滅(むささつめつ)してやるから!



 《あはははは、次は誰にしようかなー。あっ、そこにいるじゃないか、僕のハーレム要因候補のエルフ美少女シャリアちゃん!》




【夢宮タケミツが夢邪滅喰(ゆめじゃめつぐい)シャリア:ジ・エンドエグゼクショナー型を召喚してきました!】




「はあぁーみぃーつけた! ツギノタケミツツサマノエモノ、ユメミヤアサヒ! アナタノクビヲアヤメテイイ?」



 タケミツは、私達の前に黒く染まった赤き邪想の守護騎士の剣を携え、人の明日を奪った証を全身に浴びてなお悦に浸る、かつてのシャリアさんを想像させる虚像を現出させてきた。



 ――チッ! どこまでコイツは! 人ですらない腑抜けが!



「朝陽様……あの夢の記憶を少しずつ蘇ってきましたよ! 私の夢の中のヴェルレストの村に現れて、いきなり可愛いエルフちゃんと吐き! 村を護ろうとした私に、邪なるオーガを差し向けた無礼者です! 朝陽様、ここは私にお任せくたざい!」

「でもシャリアさん! 私、あなたまで失ったら――」



 ――あなたまで失ったら、私はまた独りぼっちに……



「朝陽様、あなたは別の世界から来たエクスアリアの救世主なのです! だからここで命の光を消してはいけないのです! だからあの場所に行けなくなる前に! 早く! 大丈夫ですから!」



『朝陽! この空間も弥乃葉が()()あの場所と同じように切り離されてしまうぞ!』



 ――そうしたら私達は全員、夢斬貮型の夢領域から出れなくなる……



「シャリアさん! 約束だよ! 信じてるから!」

「はい! 朝陽様! 私は、エルフじゃない! 女神エクスアリアの血を受け継ぎしエクスアリア族ですよ! ヴェルハラの森の守護騎士であり、朝陽様の剣と盾で誠なる友ですから!」

「うん、シャリアさん! あなたも私の大切な友達だよ!」

『朝陽よ、時間切れだ……夢領域の最上域に転移する』

「…………うん、お願いユメキリ」



 《あはははは、じゃあシャリアちゃん。あの日以来の第2ラウンドの始まりだよ!》



「来い! 私は、シャリア・エクス・ア・ロッテ! エクスアリアのユメギリ士だ!」




 ――シャリアさん本当にごめん……ごめん! 私は信じてるからね!




 転移する直前、シャリアさんは微笑みながら私に何かを呟いていた……

 それは夢鬼理滅刀に呑まれた時、シャリアさんが私の名前を朝陽様ではなく、朝陽と呼んでくれた時と同じだ。



 ――だから弥乃葉とシャリアさんが託してくれた明日に繋がる道を振り返ることはできない!




【夢斬貮型の夢領域:エルタティア山の頂上域に転移しました!】



 ビュュュー! ビュュュー! ビュュュー! ビュュュー!



 私とエイアスさんは、エルタティア山の頂を目指して、激風の吹雪の中を歩いている。



「朝陽殿……大丈夫か?」

「……大丈夫なわけないでしょ!」

「ああ、すまない。ただ、朝陽殿の目から涙が見えてな」

「当たり前でしょ! 私を信じてくれた仲間と一瞬で別れるなんて……」



 ――シャリアさん……弥乃葉……私が必ずタケミツを!



「でも私は明日を救う力を持つ者だ」

「朝陽殿は強いな。俺がもし朝陽殿の立場だったら、心の光は既に消えてるだろう」

「私はいろいろな人に支えられて今を生きてる。だから明日を振り返るなんて言葉は夢宮朝陽にはないよ!」

「そうか……俺も覚悟を決めなくては!」




『朝陽よ、夢斬貮型の夢領域エルタティア山、山頂域に到達』



 《待ってたよ〜、僕のVIPハーレム要因、夢宮朝陽ちゃん》



「タケミツ! アンタは絶対に許さない! よくもシャリアさんと弥乃葉を! 力に溺れたアンタに夢宮の名がついているだけで虫唾が走る!」



 《あはははは、言ってくれるじゃないか。でも朝陽ちゃん、エクスアリアに存在する夢斬士は、夢宮陰楼と朝陽ちゃんだけ。しかも遥か遠いフェルレトにいる夢宮陰楼が、こんな所まで来れるわけがない。だから独りぼっちの朝陽ちゃんは、夢喰キングタケミツ陛下である僕には勝てないよ》



「確かにね……でも私は明日を救う護りし力を持つ者、夢宮朝陽としてアンタを斬る! 覚悟はいい? タケミツ!」



【夢宮朝陽が夢鬼理一文字を装備しました!】



 《はあ、相変わらず判断が早いね、朝陽ちゃんは……まあいい、じゃあお望み通り始めようか?》



 私達の目の前に、黒き霧のカーテンが現出した。

 その黒き霧のカーテンから現れたのは、私と同じ夢宮の名前を持ち、その夢宮の理から目を背け続けている腑抜け。



 私の明日を護るため想いの力の一つを悪用し、このエクスアリアの世界を明日を奪う鬼、夢喰の餌場にした腑抜け。



 夢覚市がある現実世界に存在する人に創られた箱庭世界の理を悪用し、ファンタジー現実世界エクスアリアの理を捻じ曲げようと目論む腑抜け。



【夢宮タケミツが夢邪滅想斬士刀・殺むじゃめっそうざんしとう・さつを装備してきました】




 全ての始まりにして腑抜けなる者の名は夢宮タケミツ!




 ――夢斬士を斬るための刀…………弥乃葉、シャリアさん……ユメキリ! 行くよ!




『朝陽よ、了解だ!』



 第31話 エルタティア山と夢斬貮型 朝陽:中編 完。

 第32話へ続く!

最後までお読みいただきありがとうございました!

*4月13日(月) 内容の修正改訂を行いました。

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