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第31話

 第31話 エルタティア山と夢斬貮型 朝陽:中編



【夢斬貮型夢領域《ゆめぎりにがたむりょういき》:エルタティア山 中合域(ちゅうごういき) 16回目の夢刻(ゆめこく)】



 ――弥乃葉……。



《『あー! 昨日夢の中で助けてくれた人、やっぱり夢宮コンツェルンイメキャラのA.Y! じゃなくてありがとうございました!』》



 ――弥乃葉の明日を救った私を弥乃葉が見つけ出して、コンツェルンに乗り込んできた時の言葉……、なんで今になってこの時の記憶が甦ってくるのよ! だから……。



「やっぱり弥乃葉の元へ戻ります!」


「朝陽様、シャリアも同じ想いです! ですがあれを見てください!」



 ――えっ? …………道が黒霧で何にも見えない! 



「あれはメリディ様と拐った黒い霧の結界か!」


『エイアスよ、あの黒霧は微かに違うようだ。バレディナがメリディを拐った時に使用された黒霧の結界が同一の結界ならば、メリディの時と同様、我が弥乃葉の現在地と生体反応を把握できるはずだ』



 ――えっ、それって……どういう……こと?



「……つまり、弥乃葉殿はもう……」



《『へー、コンツェルンのお姫様令嬢は、モテモテな感じなのにね……うん、決めた! わたしは朝陽さんの友達『いいや正義の明日を救う者たる朝陽の親友、夢月弥乃葉!』になるから、高校を卒業したらコンツェルンに就職希望だからよろしくー!』》



 ――弥乃葉だけがあの日以来ただの夢宮朝陽として接してくれた……、この世界にも追いかけて来て……、でも一瞬で目の前から消えてしまった……。



《『明日を救う力を持つ者、力に溺れることなかれ! 明日を救う力を持つ正義の夢斬士たる夢月弥乃葉は、目の前にいるこんなやつらには負けないから! さあ来い!』》



 ――弥乃葉……、それでも私はアンタを信じてるから!



 ◇夢斬貮型夢領域:エルタティア山 中合域 上合域前広場◇


「朝陽殿、シャリア殿、もう少しで休憩が取れる広場に着くはずだ」


「うん、少しだけ休もう」


「はい、朝陽様」


《「あははは! 休憩に入る朝陽ちゃんへ良いニュースを教えてあげるよ!」》


「はっ? 今度は何? アンタ、趣味悪すぎ! だから腑抜けなんだよ!」


《「腑抜けか……、まあいいや、朝陽ちゃんの親友、夢月弥乃葉は死んだよ、僕が夢月弥乃葉の背後からグサァって貫いてやったよ!」》



「えっ? そんな……夢鬼理!」


『朝陽よ、少し待て……』



【夢月弥乃葉の生体反応……反応無し、夢羅鬼理の武装反応……微弱】



 ――う、嘘でしょ……弥乃葉……。



「そう。夢月弥乃葉は僕が貫いてやったんだー! あははははははっ!」


「う、嘘でしょ……嘘だ……嘘だ……」


「おっ、朝陽ちゃん捕獲チャンス、ダークホールド!」


「嘘だ、嘘――」



《「ダメ、朝陽様ー!」》



 ――えっ? ……シャリア……さん? 緑光剣でタケミツの黒霧を斬った?



「朝陽様、ここはシャリアにお任せください!」


「ダメ! あなたまで目の前からいなくなってしまったら!」


「シャリアなら大丈夫です! シャリアもこのエクスアリアの世界で明日を救う力を持っているユメギリ士なのです!」


「シャリアさん……」


「それと、悦に浸るあの者を見て、シャリアが邪なる力に呑まれ始めた刻の記憶が甦りました」


《「やーと僕の事を理解してくれたんだね、シャリアちゃん! それじゃ僕とシャリアちゃんの第二ラウンド決戦会場へご招待ー!」》



 ――あれは! 弥乃葉を拐った時と同じ黒い霧!



「必ずあなたの元へ戻りますから、心配しないで、あさ――」


 ――シャリアさん! また……独りぼっちに……、チッ! タケミツ、この外道腑抜けが!



「朝陽殿……、すまない」


「なんであなたが謝るのよ……」


「涙、朝陽殿の目から涙が見えてしまった……」



 ――……涙? 本当だ……、夢斬士になったあの日以来、涙は流さないと決めていたのに……。



「ありがとう、エイアスさん」


「いいんだ、朝陽殿」



 ――それだけあの二人への私の想いは、大きな想いだった……、でも私はあの二人を信じてるから……弥乃葉、シャリアさん!



『朝陽、エイアスよ、直にこの場も黒霧に呑まれる』


「うん、分かった」


「ああ。急ごう、朝陽殿」



 ◇夢斬貮型夢領域:エルタティア山 上合頂上中継域◇


「朝陽殿、あれを見てくれ!」


「あれ? あれは……」



 ――広めの山道の先に階段先に白い光が見える……『この夢領域の転送帰還ゲート?』



『朝陽よ。あのゲートの先こそ、我達が本来行くべき現実に存在するエルタティアの霊峰、夢斬貮型が突き刺さりし霊峰の頂の様だ』


「つまり罵倒神の守護剣の元まであと少しということだな」


『左様だ、あの階段の先、そこまで辿り着ければ……ん、タケミツ!』


「待ってたよ〜、VIPSSRハーレム枠の夢宮朝陽ちゃん」


「キモっ! 明日を救う力を持つ夢宮の血が貴様にも流れているなんて! 虫唾が走る!」


「ふーん、でもさー! この世界にいる明日を救う力に溺れた愚か者は、朝陽ちゃんと夢宮陰楼しか残っていないんだよなー!」


「だから貴様は腑抜けなんだよ、タケミツ!」


「僕が腑抜け、か……、なら試してみるかい? 二体一でも全然構わないけどね!」


「朝陽殿、俺も地聖の剣と地聖の盾で助力する、だからこの愚者を!」


「……エイアスさん、ありがとう」



《『チッ! 朝陽、そこへ辿り着くまでにもう少し時間がかかる、無理をするな、持ち堪えるだけでよい!』》


 ――陰楼さん? 夢鬼理にもエイアスさんにも聞こえていないみたい……でも!



【夢宮朝陽が夢鬼理夢斬士刀を装備しました!】



「はあ、僕をまだ腑抜けと見ているなんて酷いよな、朝陽ちゃんは……、まあいい、今から夢喰キングたる夢宮タケミツ陛下への反逆の罪により、二人共、この刀で滅してあげるよ!」



【夢宮タケミツが夢邪滅想斬士刀・殺《むじゃめっそうざんしとう・さつ》を装備してきました】



 ――刀鞘から黒い刀が抜かれただけで、こんなに大きな殺意の邪想?! ありえない!


『明日を救う力を持つ者、力に溺れることなかれ……』


 ――この掟を信じる私が、明日を奪う力に溺れた者に負けるなんて、絶対にありえないから!



 第31話

 エルタティア山と夢斬貮型 朝陽:中編 完。

 

 第32話へ続く!

*4月13日(月) 内容の修正改訂を行いました。

*2026年10月4日(日) 一部内容の改訂を行いました。

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