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第18話

 第18話 エクスアリア炒飯と夢宮一族:1


【フェルレトの街 住宅域 13回目の夜刻(ヨルコク)】



「弥乃葉(ヤノハ)さ、本当にチャーハンを作るつもり?」


「ふっふーん! わたしは『正義の異世界料理人、夢月弥乃葉!」なんだから、エクスアリアチャーハンを作るのさ!」



 ――本当に作れるのかしら……、お米っぽい食べ物をフードの中に入れてたし。


「さッ! 家の中へ入りましょー! 鍵、お願い」



 ――はぁ、本当に大丈夫かな……、なんだか心配になってきたわ……。 



 ◇夢宮陰楼の家内◇



「おー、これが『伝説の夢斬士、夢宮陰楼様の城さ!』的な広すぎる家だねー!」


「本当に大丈夫なんでしょうね」


「大丈夫、大丈夫! あっ、あれは!」


「はぁ、何か見つけたの?」


「朝陽、キッチンみたいな場所を見つけたー!」


「はいはい……でもアンタさ、火はどうするのよ」


「朝陽さんよ、正義の異世界夢斬料理人の夢月(ユメツキ)弥乃葉シェフの手に掛かれば、こんなの楽勝楽勝! 『フライパンとの一騎討ち、炎を制した者のみ、チャー神が降臨!』って……」


「朝陽様。こちらのやのはーさんは、目の前で何をしているのでしょうか? 円の鉄板を握り、剣を振る動きをしているのだけは、分かるのですが……」


「多分……料理を作ってくれるみたい」



 ――シャリアさんは、フライパンを見たことが無そうだし……、フライパンを振るなんて想像もつかないんだろうな……。


「……な感じで、エクスアリアチャーハンを作るからさー、二人とも目の前のテーブルに座りながら待っててよ!」


「……分かったわ。シャリアさん、座りましょうか」


「はい、朝陽様」



 ――本当に心配だわ……、色々と……。



《「よし! 先ずは……、下ごしらえだ! ユラ――――チョー!」》



 ――ん? ユラなんとか? チョーは聞こえたけど……、隣のキッチンにいるから見えない!




《トントントン! トントントン!》



 ――包丁が無いのに何で切っているのよ!



《トントントン! トントントン!》



《「下ごしらえはこんなもんかな! えーと、次は火を起こして! ユラ――!」》



 ――また、ユラなんとか……。




「あのー、朝陽様」


「やっぱり弥乃葉が気になる?」


「いえいえ、シャリアが出会ったユメギリ士は、朝陽様と陰楼様だけでしたので、やのはーさんみたいなヒューマアリアのユメギリ士がいるとは……驚きました!」



《「よしよーし、ユラ――、ありがとう! 今から始まる一騎討ちには、このフライパンみたいなやつと炎さえあれば、楽勝だぜ! でも普通に熱ッ! ユラ――、ご飯出して!」》


《『あ――――のは、りょ――いナリ』》



 ――はっ? なんでチャーハンを作るだけで一騎討ちになるのよ! ていうか、ご飯を出したっぽい、ユラなんとかがさっきから気になる……、ナリ? なんの声だろう?



《ジャァーー! カツン! カツン! ジャァー!「ほのおーが熱いぜー!」》



「朝陽様、美味しそうな料理の匂いがします」


「そうだね……、でも嫌な予感はしてる……」


《ジャァー! カツン! カツン!「汗、それはシェフの証、熱いぜー!」》



 ◇数刻分後◇


「ヘイ! 二人共、お待ち!『正義の異世界夢斬料理人たる弥乃葉シェフ様がー! ファンタジーの現実世界であるー! エクスアリアにある食材のみを使って作りましたー! うーんこりゃ絶品エクスアリアチャーハン!』だよ」



 ――……ちゃんと五目チャーハンっぽくなってる……、香りも……、あり得ない……。



「ありがとう弥乃――」


「どういたしまして、夢宮朝陽様!」


「でも貸したお金は、後でちゃんと返して貰うからね」


「分かってる、分かってる!『朝陽に借りたお金は、必ず朝陽からお金を戴くぜ!』だから、分かってるよ!」


「はぁ? それだとアンタにまたお金を渡さないといけない話になるでしょ!」


「あっちゃー! そうなるね……ごめんね」



 ――全く! 弥乃葉は弥乃葉なんだから!



「朝陽様……シャリアはどうしたら良いのでしょう?」



 ――あっ! シャリアさんはチャーハンを見たことが無いし、日本語も分からない……だったら



「えーとシャリアさん」


「なんでしょうか?」


「ユメキリIV型に、私と弥乃葉の言葉が分かるようになりたいと、お願いしてみて」


「えっ? ユメキリIV型さんにですか?」


「そう、そうすると私と弥乃葉の世界の言葉と文字が分かるようになるから」


「分かりました! ユメキリIVさんに言葉が分かる様になりたい、とお願いをするのですね」


 ――恐らくこれで、シャリアさんも大体の日本語が分かるようになるはず。



「ちゃーんと、美味いエクスアリアチャーハンにしたんだよー! 『正義の異世界料理人たる夢月弥乃葉シェフが、炎を制して作った自慢の一品……それが、エクスアリア炒飯だぜー!』って感じだから食べてみて! エルフさんもさ」


「弥乃葉さん? エクスアリアにエルフという種族はいませんよ」


「そうそう! このエクスアリアにエル……えっ!」


「はい、エクスアリアにエルフという種族は存在しません」


「ん? もしかしてわたしの言葉、いつから分かっていたの?」


「今です! 朝陽様と弥乃葉さん達の世界で使う言葉を、ユメキリIVさんに分かる様にしていただきました!」


「はぁー? 『そ、それは……チッ、チート!』チートを使ってるよー!」


「あわわ! ちーと? ちーとを使う? とはなんでしょうか?」



 ――シャリアさんが聞いても、シャリアさんが意味を理解できない言葉は、そのままなのね……。



「チートはチート! でもそれなら早く言ってよー!」


「はいはい。それじゃあ二人共、じこ――」


「はいはいー! わたしの名前はー、『夢の中に棲む鬼である夢喰(ゆめぐい)を斬る者、その者達を人々は明日を救う夢斬士と呼ぶ……』の夢月弥乃葉です!」


「あわわ、どう返したら良いのでしょうか……」


「ちょっと弥乃葉! シャリアさんが困ってるじゃない!」


「あっちゃー! ごめんね、シャリアさん」


「謝らなくて大丈夫ですよ! えーと……シャリアの名前は、シャリア・エクス・ア・ロッテです! 女神エクスアリアの泉と霊峰樹海ヴェルハラの森の守護騎士、シャリアはヴェルレストの村から来ました!」


「うんうん、やっぱりシャリアが名前だったんだねー!」


「そうです、シャリアです!」


「……『にしてもー、シャリアちゃんも朝陽と同じでボディスタイルが良いなー、少し羨ましいぜー』ですね」


「あわわ! 返事に困ります……」


「はいはい、弥乃葉。シャリアさんが困ってるでしょー」


「うんうん! シャリアさんの人柄もなんとなくー、分かってきたし! 折角作ったエクスアリアチャーハンが冷めちゃうから早く食べてね!」


「それじゃあ……いただきます!」


「いただきーまーす?」


「美味しい……、ちゃんとチャーハンになってるし……」


「あわわ! 初めて食べるちゃはーん! 美味しいです!」


「ふっふーん! どうだー! 絶品エクスアリアチャーハンはー、って嬉しい!」



《「うまそうな飯の匂いが、外から漂っていたが……、ここからだったか……」》



 ――ん? この声は……。



「お帰りなさい、陰楼さん!」


「今、戻ったぞ……チッ!」



 ――あれ? ちょっと怒ってるような……、流石に火はまずかったかな……。



 第18話 エクスアリア炒飯と夢宮一族:1 完


 第19話へつづく!



 


*2026年6月28日(日) 内容の構成変更改訂を行いました。

*2026年9月14日(月) 一部内容の改訂を行いました。

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