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第19話 エクスアリア炒飯と夢鬼理ネットワーク その2


 エクスアリア炒飯と夢鬼理ネットワーク その2


 フェルレト支部から帰ってきた陰楼さんは、右手に袋を持っていて、神妙な顔をしながら、炒飯を食べる私達を見ている。


「おい、お前達、飯を食べに行ったんじゃないのか? 勝手に火を使いやがって…………まあいい。

 ほらよ、朝陽、今回の冒険者リクルの夢喰(ゆめぐい)討滅依頼の報酬だ」


「あ、ありがとうございます……えっ? こんなに?」


 ――この袋、かなり重いんだけど…………



「ああ、これでも足りないぐらいかもと依頼者のミリュテは、エリディアに言っていたそうだぞ。

 夢喰討滅依頼は、報酬の量ではない……お前も夢斬士(ゆめぎりし)なら分かるだろ?」



 そう、報酬の量ではない。

 夢斬士にとって、大事なものはお金ではなく、夢喰から明日を護る事。

 夢喰に、明日を奪われてしまった人の大切な人達が、最後に縋る(すがる)砦として、私達が存在することを、忘れてはいけないのだ。



「はい、明日を救う力を持つ者、力に溺れることなかれ、ですね」

「そうだ、朝陽、それが夢宮の夢斬士の掟。 ……聞いてるか? 夢月」

「はい! 『もちろん聞いてるさ、私は正義の夢斬士、夢月弥乃葉(ゆめつき やのは)、だぜ…………』って、イッタい!」



 私は何を見ているのだろうか? 

 遥か昔の夢斬士の始まり先祖と騒がしい後輩との掛け合いは、言葉でどう現したら良いのか、分からないぐらいの不思議な気分だ。


「コイツが何故、エクスアリアにいるのか? 朝陽の前になぜいるのか? これを知りたいのだろう、それはだな……」



 陰楼さんの話をしようした時、急に真面目な顔になった弥乃葉が、陰楼さんの言葉を遮るかの様に、割って入った。


 

「はいはい! それは私から話すよ、陰楼様」

「……いいだろう、ではお前から話せ」

「はい、陰楼様、ではでは。

 8月8日の夕方、コンツェルンビルから朝陽が、夢鬼理ネットワークを使って、この世界に渡った事は覚えてるよね?」

「勿論、覚えてるよ、8月8日だよね? 私がエクスアリアへ来てから、まだ2週間ぐらいで、ユメキリも今日の朝、まだ夢覚市はまだ8月だと言っていたから。

そこから考えたら…………今、夢覚市はお盆明けぐらいじゃない?」

「はあ……やっぱりかー、私がエクスアリアへ渡った時の夢覚市は、8月30日。だから約10日以上、時間がズレてる」

「え! そんなにズレてるの? まさか10日以上もズレてるなんて…………」

「まあ、朝陽の気持ちも分かるよ。

 でもね、夢鬼理ネットワークを遮断したのは、コンツェルン側からしてみれば、朝陽なんだよ」

「え? どういうこと?」

「夢羅鬼理、ユメキリさんへデータ転送をお願い」

『承知』



 【夢羅鬼理(ゆらきり)が、ユメキリへモニタリングデータを転送しました】



 こ、これは…………

 弥乃葉の持つ夢羅鬼理から転送されたデータを再生した私は、あまりの内容に驚愕してしまった。

 そこには私が、夢鬼理ネットワークと遮断された後から、シャリアさんと交戦を終えるまでの映像が収められていた。

 映像の中の私は、初めて出会った時のシャリアさん……いや夢喰だった時のシャリアさんによって、命の灯火が消されていた。

でもそれは、紛れもなく、偽りの映像データだ。



「あわわわ、私が朝陽……様を…………あり得ないです! この映像は幻です!」



「こら、夢月 弥乃葉! ちゃんとした説明になっていないだろうが! これは、夢魔の妖(むまのあやかし)という殺意の邪想の源である存在が、お前の時代の夢覚の地にある、夢鬼理ネットワークからこれ以上、夢斬士を来させない様にした細工だ。

 夢喰とは、夢魔の妖が進化した存在だが、なぜ夢魔の妖が、夢鬼理ネットワークの存在を知っているのか? なぜエクスアリアの地に、本来なら会う事すらできない、俺と朝陽が、同じ場所にいるのか? エクスアリアの夢喰が、本来知らない筈の夢覚の地の言葉と知識を語るのか? 朝陽、お前ならもう答えは出ているはずだ」

「はい、夢宮……タケミツ……ですね」


 1人の少年と一刀の想いの力によって引き起こされた夢鬼理ネットワークを使った、 エクスアリアへの誤接続による異世界転移。


 

 やはりこれがエクスアリアを殺意のファンタジー世界へと変貌をし始めた結果、そして全ての始まりだったのだ。




第19話

エクスアリア炒飯と夢鬼理ネットワーク その2 完

その3へつづく!

最後までお読みいただきありがとうございました。

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