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第16話

第16話

 とある冒険者パーティーの夢喰(ゆめぐい):4



【リクル夢領域(むりょういき):迷宮域最深域《めいきゅういきさいしんいき》夢刻(ゆめこく)】



「オラヨォー!」


「ぐっ! ……セイ!」


「当たらねぇよ!《『この力は最強なんだからよー!』》ヒャヒャヒャヒャァー!」



 ――夢喰化したリクルさんの剣撃が重すぎて……、夢鬼理滅想刀(メッソウトウ)じゃなかったら今頃……。



「オラァ! オラァ! オラァ!」



 ――ぐっ! 上からの滅多打ち……でもまだ大丈夫!



「《『夢斬士(ユメギリシ)の夢宮朝陽(ユメミヤアサヒ)、お前』》雑魚すぎ、ヒャヒャヒャヒャァー! オラぁ!》



「くっ! このままでは……」


「もらったァァァァァァ! 《『夢宮あさ――』》」



「危ない、朝陽様!」



【〈緑浄槍光(リョクジョウソウコウ)〉が夢喰ジェノリクル型にヒットしました!》】



「ぐはっ! ああああァァ! この《『雑魚エルフ如きが最強リクル様の』》邪魔をすんじゃねーよ!」



 ――次はシャリアさんに狙いを定めたか……、でもそうはさせない!



「クソエルフ! テメェから試しあや――」



「夢鬼理想滅斬(ユメキリソウメツザン)!」



「ぐはっ! て、テメェー!」



 ――よし! やっと斬撃が通じた! 



「アンタの狙いは私でしょ! それとシャリアさんはエルフじゃなくてエクスアリア族だから! ハァッ!」



【リクルに想滅的中(そうめつてきちゅう)! リクルに想滅的中! リクルに想滅的中!】



「《『このままでは……この力は最強だぁ!』》えっ? ちょっと待て……こ――《『リクル、お前は俺達の力に大人しく呑まれてろ!』」



 ――今、一瞬だけリクルさんの声が聞こえたわ! これならリクルさんの明日を救える!



「シャリアさん! もう一回、あの矢撃をお願い!」


「はい! 朝陽様!」


「アノヤゲキヲオネガイダァ? ナメテンジャ――」


「邪なるオーガに呑まれし哀れな冒険者よ! ハァッ!」



【シャリアの《緑浄槍光》が夢喰ジェノリクル型にヒットしました!】



 ――私は明日を救う力を持つ夢宮朝陽!



「夢鬼理想滅斬! ハァァァァ!」



【夢鬼理滅想! 想滅更的中《そうめつさらてきちゅう》! 想滅更的中! 想滅更的中!】



「《『グハァ! コノチカラハサイキョー! コノチカラハムザメシデハーレム!』》

 なんだよ、今の言葉は? 俺はそんな言葉は知らないぞ!

《『オトナシクムザメシデジェノサイド』》

 おい、また知らない言葉か……ん? 悪い、そこの剣士の方!

《『ユメグイオ――』》

 黙れ! 俺はセロツとミリュテと明日を迎えたい! だからお願いします!

《『ゴチャゴチャウルセーナ!』》

 はやく!

《『ムザメシデジェノサイドハーレム!』》」



「あわわわ、朝陽様! 一体どうしたのでしょう?」


「説明はあと! ユメキリ、一文字をお願い!」


『朝陽よ、了解だ!』



【夢宮朝陽が夢鬼理一文字(ユメキリイチモンジ)を右手に装備しました! 夢鬼理双刀(ユメキリソウトウ)モードへ移行!】



 ――想いの力の二刀流……、リクルさん、今、救うからね!



【夢宮朝陽の夢鬼理カウンター、想昇中(ソウショウチュウ)!】



「コノチカラハムザメシデジェノサイドハーレム!コノチカラハムザメシデジェノサイドハーレム!コノチカラハムザメシデジェノサイドハーレム!コノチカラハムザメシデジェノサイドハーレム!」



 ――明日を奪う力で、ジェノサイドして、ハーレム? ……チッ! 《《アイツ》》の影響か……腑抜けが!



「残念だけど、アンタは逆に夢覚市の夢斬士達に、逆ジェノサイドされて終わりだよ! 夢殺ノ双文字想滅斬《ムサツノソウモンジソウメツザン》!」



 ――明日を救う力を持つ者、力に溺れることなかれ!



「《『ムザ――――――』》」



【夢喰ジェノリクル型討滅、夢領域ゲート閉鎖完了!】



 ――あの禍々しい剣と鎧が消えた……ん?



「剣士の方……ありがとう、セロツ……ミリュテ」



《プシューーー!》



「左手、熱ッ、右手も熱ッ!」



【夢鬼理ガジェットに夢鬼理一文字と夢鬼理滅想刀を納刀しました!】



 ――ふぅ……、とりあえずはこれでよし! あとは帰るだけ。



「朝陽様! やりましたね!」


「うん! とりあえずここから早く出よう!」


『朝陽、シャリアよ。冒険者リクル夢領域から脱出する』



 ――エクスアリアの夢喰……、私とシャリアさんだけでは、対処が難しくなるかもしれないわね……。


 

 ◇ミリュテ達の拠点夕刻(ゆうこく)



「よっと! ふぅーなんとか戻ってこれた」


「あわわわ! やっと戻ることができました」



『では、冒険者リクルの夢領域ゲートとの接続を解除する』



 ――白い霧のゲートが消えた、えーと……リクルさんは? ん? ミリュテさん?



「おかえりなさい! リクルは……リクルは?」


「大丈夫だよ、あれを見て」



 ――穏やかな顔をして寝てる、良かった。



「すぅー、すぅー、すぅー……おいおいセロツ、ミリュテ! いつの間になんでそんな大き……い? あれ? 俺は長い夢を見ていたのか?」


「リクルさん! リクルさん!」


「あれ、なんだこれ? なんで鎖で繋がれてるんだよ、外してくれよ」


「もう! 全くリクルさんは!」


「ミリュテ、やめろって!」


「……もうリクルさんが帰ってこないかと……」


「泣くなよ、ミリュテ……心配かけたな」



 ――ミリュテさんにとって、リクルさんも大切な一人の仲間、ということね。



「でもさっきまで変な夢を見ていたんだ、ミリュテ」


「夢、ですか? リクルさん、どんな夢を見たの?」



 ――変な夢? もしかして私達がリクルさんを斬った夢かな?



「ああ、ミリュテとセロツと迷宮に潜っていたら、急にお前達が消えたんだ」


「うん、それで?」


「お前達を探しながら魔物を斬っていたら、いきなり巨人の手が現れた」


「あはは、巨人の手が現れたの?」



 ――やっぱりそっちの方向に変わってくれたみたいね。



「信じられないだろ? でも巨人の手が迷宮から出してくれて助かったんだぜ、しかも巨人の顔を見たら何故かお前達だった」


「はぁ? 夢の中で助けたのは――」


「ミリュテさん、それはダメ」



 ――ミリュテさん達からリクルさんの明日を救う依頼を受けて、私とシャリアさんでリクルさんの明日を救った、それだけ……。



「はい、それを言ったらダメなんですね?」


「うん、そうだよ。ミリュテさんは、セロツさんとリクルさんと明日を迎えたい、でもそれはリクルさんにとっても同じ想いがあるんじゃないかな?」


「そう! 俺はミリュテとセロツのパーティーで、いつもの朝を迎えたいんだ!」


「リクルさん……」


「じゃあ、私達はこれで失礼しますね」



 ◇ミリュテ達の拠点 屋敷内◇



 ――うん! これが明日を救う力を持つ夢斬士の本来の仕事! リクルさんとミリュテさんの笑顔が見れて良かった!


「あっ、ユメミヤさん。リクルの事を助けてくれて、ありがとう」


「いえいえ、セロツさん。夢の魔物から明日を救う特夢位冒険者ですから」


「特夢位冒険者のお二人、この度は本当にありがとうございました!」


「いえいえ、それでは、私達は帰りますね」



 ◇フェルレトの街 中央広場付近 夕夜刻◇



 ――あれ? 何か忘れてる気もするけど……、まっいいか、リクルさんの明日を救えたし!



「あのー、朝陽様……」


「どうしたの?」


《ガヤガヤ(おいおいあのヒューマアリア人のネェちゃん見ろよ!)ガヤガヤ》


「明日を救ったリクルさんの言葉の意味を……朝陽様は、ユメギリ士として、既に知っていたのではないのですか?」


「うん! でもまさかあそこまで夢が変わるなんてね、予想以上だったよ」



《ガヤガヤ(おい見ろよ! あそこにいるエクスアリア族を連れているヒューマアリアの女)ガヤガヤ》



「でも、私一人じゃ無理だった。シャリアさんが居てくれなければ、リクルさんの明日は救えなかった」



《ガヤガヤ(ホントだ! あの中央広場で異国の言葉で騒いでる女と同じ格好だ!)ガヤガヤ》



 ――えっ? 中央広場に異国の言葉で騒ぐ女がいるの? 


「いえいえ、シャリアは朝陽様の近衛であり、エクスアリアのユメギリ士ですから! ……朝陽様、先程から街の中がざわついていませんか?」


「確かにさっきから、住人のみんなからの視線を感じるような……」



《ガヤガヤ(聞いてくれよー、あの異国の女! 俺が親切に声かけてやったら、訳の分からない異国の言葉を発しながら、喉に剣を向けてきやがった!)ガヤガヤ》



 ――訳の分からない異国の言葉を発しながら、剣を向ける異国の女ねー……、私が明日を救った後、夢斬士になった騒がしいあの子の記憶が蘇るなー……。




《「だーかーら! お前達が何を言っているのか、こっちは分からないって言ってるの! 『我が名は正義の夢斬士、ユメツキ ヤノハだ!』……ていうか……」》



 ――そうそう……、数年前に夢斬士になって、自称正義の夢斬士の後輩と名前が同じ……、今も多分、向こうの世界で一人で……。



《「君! フライパンを持ってる! それはどこに売ってる? ……なるほどー『正義の夢月弥乃葉シェフ』は、売ってる場所を大体掴めた! ありがとう!》



 ――そうそう……シェフを自称して、自分の夢斬ガジェットの武装保存領域にフライパンを入れる癖があるのよね……。



《「にしてもー、この広すぎる街のどこに朝陽がいるのよ! この世界に転移したら変な神殿『いいや、異世界へ召喚された僕に与えれた最初の試練は、もちろんダンジョンさ』みたいな場所だったし!」》


《ガヤガヤ(おい! この茶毛のヒューマアリア、さっきから何言ってんだ?)ガヤガヤ(知らねーよ! 異国の言葉なんだからよ!)ガヤガヤ》



 ――そうそう……、変な一人芝居が癖で、すぐに騒いで私を困らせる後輩も栗色の長い髪の子……、ん?



「朝陽様、どうかされましたか?」


「ううん、大丈夫」


「それなら良かったです、ギルドに帰りましょうか」


「そうだね、帰りましょ――」


『朝陽よ、このまま帰るつもりか?』


「えっ? だって弥乃葉がこんな場所にいる訳がないもの」



 ――弥乃葉がいるわけないじゃない……、『そうだー! 久しぶりに人の夢領域に入ったから、その副作用による幻だ!』



『朝陽よ、夢領域に入った副作用があるわけがあるまい、第一あれは……』



《「わたし……『いいや我の名前は正義の勇者夢斬士、夢月弥乃葉だー!』……全く! どこにいるのよ、朝陽は!」》



――はぁ……『やっぱり弥乃葉か……』



『左様だ、朝陽よ。あれは夢宮本家所属の夢斬士、夢月弥乃葉の様だ』



 ――今朝から噂になってい……じゃなくて、どうして弥乃葉がエクスアリアにいるのよ!



 第16話 

 とある冒険者パーティーの夢喰:4 完。

 

 第17話へつづく!

*2026年4月28日(火)内容の再構成改訂を行いました。

*2026年9月11日(金) 一部内容の改訂を行いました。



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