第17話 夢宮本家の2人目の転移者
正義の夢斬士、夢月弥乃葉、参上!
夢宮本家の2人目の転移者
【エクスアリア大陸 フェルレトの街 13回目の夕刻】
「たく! 何を喋ってるのかも、何が書いてあるのかも全然分かんない! 朝陽! どこにいんのよ!」
ミリュテさんの冒険者パーティーの夢喰を無事討滅した私とシャリアさんは、エクスアルディアギルドのフェルレト支部へ向かっていたのだが、フェルレトの街の中央広場の近くを通りかかった時に、何やら騒がしい声が…………日本語? なんで? でもなんか、聞き覚えのある声だった気がする。
「朝陽様、朝陽様と同じ服を着ていますよ、あの人。朝陽様の世界のむざめしーから来たのでは?」
「あっ、よくよく見たら……そうかも」
確かにその声の主は、何故か夢斬士に支給される非戦闘服を着ている。
「朝陽様、こちらに向かって来ますよ…………」
「あー、朝陽! やっと見つけた! こんな所にいたなんて!」
「弥乃葉? なんでここにいるのよ! どうやって来たのよ!」
「久しぶりに会った夢斬士の後輩に対して、いい挨拶してくれるじゃない……もっとこう、『会いたかったよー、弥乃葉! 私もよ、朝陽!』とか、あるでしょうが!」
「あんた、一応、本家所属の夢斬士の一人でしょ! 言うわけないでしょ!」
「はぁ? 朝陽! 朝陽がこの世界のゲートを通過してから、私達がどれだけ朝陽の事を、心配したと思ってるのよ!」
夢月弥乃葉……この子は私と同じ夢宮本家所属の夢斬士の一人、19歳の女の子……ちょっと変わった後輩の夢斬士だ。
「総帥も心配してたよ、『こんな事になるなら、朝陽を行かせたらならぬかったな!』てさ!」
「お父様がそんな事、言うわけないでしょ!」
『弥乃葉よ。お前はどうやって、エクスアリアへ来たのだ? 夢覚市の夢宮コンツェルンとの夢鬼理ネットワークは、遮断されているはずだぞ』
夢鬼理ネットワークの転移ゲートの遮断、ユメキリと夢斬参型との通信は、部分的に遮断されているのに、なぜ弥乃葉が、エクスアリアにいるのか?
弥乃葉へユメキリが問いは、私も同じ事を思っていた。
「ユメキリさん、えーとそれは…………ある人がコンツェルンに来たからかな……『ここが、俺が護った明日の夢宮家か! すげえな、朝陽! 俺は、今も感動しているぜ!』ってね」
私は、ふざける弥乃葉のペースにあやうく呑まれる所であったが…………陰楼さんが夢覚市に行った? でもどうやって、夢覚市へ行ったのだろうか?
「朝陽、鬼理刻刀って、知ってる?」
「知ってるよ、私の先祖、夢宮陰楼の刀でしょ?」
「そう、『人は俺のことをこう呼ぶぜ! 夢斬士の始祖! 鬼理刻刀を握る、夢宮陰楼様だ! 覚えておくがいい!』って……空中に浮いてる?」
会話の中で、癖のあるセリフを話す弥乃葉を遮る様に、陰楼さんが弥乃葉を片手で持ち上げていた。
「夢月! 余計なことを話すな。本当にお前は、朝陽と同じ、未来の夢覚の地の夢斬士か?」
「陰楼様、まさしく私は『そう夢宮本家の夢斬士、夢月弥乃葉だ! お見知り置きを!』……て、離してよ!」
「………………朝陽、お前も大変だな、ほらよ」
ドスン!
「いったー、『もう少し、レディは丁重に扱うべきだぜ、旦那』、イッター!」
「はいはい、普通に喋ろうな、夢月 弥乃葉。
またあの時の様に、お前はぶん投げられたいのか?」
「それだけは勘弁してよー『せっかく、先輩に会えたのに……』なんだから!」
「あの…………朝陽様、本当にこの人は、ユメギリ士なのですか? 何を話しているのか、分からないですが、手振りと素振りで、予想はできます…………」
「一応この子はね、こう見えても任務の時は、真面目な夢斬士なんだよね…………こう見えてもね」
「そうなのですか? 朝陽様みたいな覚悟を持つ者達が、ユメギリ士ばかりだと思っていたので…………」
「あ、朝陽! なーにが、こう見えてもよ! たく!」
……まあ、この子をみたら誰でもそう思うよね……夢覚市でこの子の夢領域で夢喰討滅した次の日に、私を名指しして、コンツェルンに乗り込んできたぐらいの子だから…………ちょっと普通の夢斬士とは違うんだよね。
私達は通常、SNS夢鬼理ネットワークから夢覚市や夢喰を討滅の依頼があれば、日本全国どこでも夢喰討滅に行く。
夢喰に明日を奪われた人達の大切な人は、社会的地位のある人や子供だったり多重多様で、夢領域はSNSでは繋がっていない。
だから夢宮本家は夢覚市中心、夢宮分家は全国担当と役割が分担されることで、夢喰から人の明日を護る夢斬士の活動を強硬にしている。
「朝陽、とりあえずここで長話するのは、フェルレトの住人に迷惑がかかる。かといってこいつをいきなりギルド支部へ連れ帰ったらそれもまた面倒になる」
「はあ? 陰楼様よ、『正義の夢斬士! 弥乃葉様はみんなの味方だよ!』って感じの私がなんで面倒なのさ!」
「はあ……お前のその癖が原因だよ」
「ガーン! ストレートパンチ!」
「とりあえず、朝陽、シャリア、弥乃葉、俺の家に行くぞ」
一応、頼もしい後輩の弥乃葉とシャリアさんと私は、陰楼さんの自宅へ向かうことになった。
――あれ? ギルド支部……報酬!
17話 夢宮本家の2人目の転移者 完
18話へつづく!
最後までお読みいただきありがとうございました!




