第15話 とある冒険者パーティーの夢喰 その3
とある冒険者パーティーの夢喰 その3
【冒険者リクルの明日の夢領域への転移を完了しました!】
初めてエクスアリアの住人の夢領域に入ったが…………この夢領域はフェルレトの街? 迷宮?
「朝陽様、ここが他者の夢の領域なのですか?」
「そうだよ、シャリアさん。驚いた?」
「ええ、朝陽様。まさか私が他者の夢の中に入るなんて…………」
シャリアさんが驚くのも無理はない。
ここは、確かにリクルさんの夢領域だ。
ここが夢領域なのは、断片的な場所の繋ぎ目が至る所にある特徴があるからだ。
リクルさんが日常生活で見ているフェルレトの街と迷宮の通路等が無意識に再現されて混ざり合う場所、それが夢領域だ。
「シャリアさん、この夢領域のどこかにリクルさんと夢喰がいる。でもリクルさんを見つけても声をかけちゃいけない」
「朝陽様、なぜ声をかけてはいけないのですか?」
「それはね、シャリアさん」
私はシャリアさんになぜ夢領域のリクルさんを見つけても話かけたらいけないのかを説明した。
声をかけてはいけない理由は、この夢領域はリクルさんの意識の中に世界の1つだ。
私たちはユメキリ達の力を使い、安全な方法でリクルさんの夢領域にいる。
他者の夢領域に現実で存在する者がいること自体が、理を無視した異物であり、だから夢の中のリクルさんに声をかけてはいけないのだ。
「あわわ……もし声をかけたら私たちはどうなるのですか?」
「夢領域の外へ飛ばされて、2度と戻って来れなくなる」
『朝陽よ、煽りすぎだ、シャリアよ、この領域にいる者達の違いは分かるか?』
「違いでしょうか? ああっ! 私たち以外の者たちは白と黒です」
『正解だ、シャリアよ。ん?』
「どうしたの? ユメキリ」
【ユメキリがリクルまでのルートを表示】
『朝陽よ、ルートを表示した』
「ありがとう、ユメキリ」
『礼には及ばん、朝陽よ』
私とシャリアさんはユメキリが表示したルートを辿りながらリクルさんの元へ向かった。
【リクルの夢領域 迷宮域 夢刻】
ユメキリのルート表示によって、私とシャリアさんは、リクルさんの夢領域にいる夢喰が現出させる夢領域の魔物を滅しながら、迷宮域まで辿り着いた。
「朝陽様、リクルさんの夢領域はどこまで続くのでしょうか?」
「どこまで続くか? シャリアさん、もしかして疲れた?」
「そうですね……夢領域の魔物が、邪な力をここまでぶつけてくるとは、予想以上でした。朝陽様は、大丈夫なのですか?」
「え? 大丈夫だよ、シャリアさん。幼い頃から私はユメキリと鍛錬しながら、夢喰と戦ってきたからね」
「そうなのですね。シャリアも朝陽様の様な夢斬士になって、朝陽様の盾になれる様に精進します!」
「シャリアさん、ありがとね。シャリアさんが側にいてくれなかったら、私はここにいないからね。ありがとう」
「いえいえ! お礼なんてとんでもない! あれ?」
何かを見つけたのか、シャリアさんが前方に向かって走っていった。
走っていった先にいた何かに向かい話しかけようとしているシャリアさんを見た私は、シャリアさん止めた。
「シャリアさん! ダメ!」
「えっ? でもお怪我をしている冒険者の方みたいでしたので……つい」
「シャリアさん、それは夢喰の罠だから気をつけてね」
「はい、気をつけます……朝陽様」
シャリアさんからすれば、初めての他者の夢領域の探索で、ケガをした冒険者が迷宮内にいたら、シャリアさんが放っておけないのは分かる。
私も最初はそうだった……でもそれこそが、夢斬士を捕捉する為のセンサーみたいな機能を持つ、夢喰の罠なのである。
「シャリアさん。時期になれるからさ、大丈夫だよ」
『シャリアよ、気にするな』
「はい! 朝陽様、ユメキリ様」
私たちが迷宮域をしばらく進んでいると、最深部なのだろうか? 迷宮の通路の先から男の人の声と剣を振るう音が聴こえてきた。
「おりゃァァァァァァ!」
迷宮域最深部で私達が見た人物は、ファンタジーで定番の剣と盾を持った冒険者リクルさんの夢像だった。
迷宮域最深部で、リクルさんは叫びながら魔物狩り続けている。
「おりゃァァァァァァ! 次! ミリュテ! セロツ! あと何体だ…………あれ? ミリュテ? セロツ? どこへ行ったんだ!」
シャリアさんが、ミリュテさん達を探しているリクルさんに声をかけようとしたので、私はシャリアさんを制止した。
「なぜです! なぜ止めるのですか! 朝陽様」
「シャリアさん! 落ち着いて、あなたがここでリクルさんに声をかけたら、私たちが人の明日を救う事ができなくなってしまう」
「明日を救う?」
「そう! 夢領域でリクルさんに声をかけてしまったら帰り道が消えてしまうの……そうしたら私達はどうなるか、シャリアさんは分かる?」
「どうなるのか…………2度と朝陽様と旅ができずにこのリクルさんの中から出られない? 朝陽様、そう言うことですか?」
「シャリアさん、そう言うことだよ。分かってくれた?」
「はい! 私は朝陽様の盾ですから!」
『シャリアよ、気づかれてしまうぞ……ん?』
「どうしたの、ユメキリ? ……ユメキリ、夢鬼理滅想刀をお願い」
『朝陽よ、了解した』
「え? 朝陽様? 一体どういう?」
「来るよ! シャリアさん!」
ユメキリが気づき、私達が見たもの。
「これは……この者の力、はははははは! なんて、なんて素晴らしい力の持ち主…………これは最強、最強だ!」
それは殺意の邪想、夢喰の力に魅入られ始めたリクルさんの姿だった。
「爽快だ! ミリュテ、セロツ! 待ってろ! この力こそあれば! 俺たちは最強のパーティーになれる! その前に……夢覚市から来た邪魔者の侵入者、夢宮一族の夢斬士、夢宮朝陽、お前をこの最強の力で殺めてやるよ!」
『夢喰の解析開始………………解析完了!』
【ユメキリが夢斬士達へ夢喰情報を共有しました!】
夢喰ジェノリクル型ね…………
ジェノサイドのリクル…………まさにテンプレート設定な夢喰だ。
「この力は最強! 最強だ! 最強だ! あはははははははは! 夢斬士は殺めてやる!」
「やれるものならやってみなよ! 夢喰ジェノリクル型さん!」
兜と鎧、剣と盾、リクルさんが装備していた武装が、夢喰の影響によって、凶々しい殺意の武装へと変貌を遂げてしまった。
そんなリクルさんへ私達ができることは1つだけ! リクルさんの夢喰を斬る!
「リクルさん! 今、助けるから! 行くよ、シャリアさん!」
「はい、朝陽様!」
これがエクスアリアが殺意のファンタジー世界と化していく過程…………だけど、私とシャリアさんは、リクルさんに明日を迎えてもらう力を持っている。
なぜなら私たちは…………
夢の中で明日を奪う鬼を斬る者! 夢斬士だから!
第15話 とある冒険者パーティーの夢喰 その3 完
その4へつづく!
最後までお読みいただきありがとうございました。
次回16話です。




