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夢鬼理(ユメキリ)ネットワーク  作者: 魔与音・庵
第2章 異世界を旅する夢斬士
10/11

第9話 明日を救う力を持つ者 力に溺れることなかれ

 

【エクスアリア大陸 ヴェルハラ草原 昼刻】



 私は今、目の前の夢喰(ゆめぐい)を斬るため夢鬼理滅刀を握っている……


『夢鬼理……滅……滅……滅殺!』



 私に囁く夢鬼理滅刀を前に人の皮を被った夢喰シーフ型は残り8人……滅殺!


 

「ヒャハハハ、夢斬士(ゆめぎりし)が人を殺めたぞ!」

「ふっ、だったら何? あなたも夢喰でしょ? ならば私はあなたを斬って滅するだけ、ほらよ」


『夢鬼理滅……滅……滅……滅……滅殺!』


「ヒャハハ……そ」


『夢鬼理滅……滅……滅……滅……滅殺!』



 あと7人、夢喰は斬る!

 それが私、夢斬士……私は夢斬士……斬るだけ……私は夢斬士……斬るだけ……私は夢斬士……斬るだけだ!


『朝陽よ! 聞こえぬか? 我の声が!』



 ナニカのコエがキコエタ。


『夢鬼理滅……滅……滅……滅……滅殺!』



【夢宮朝陽が夢喰シーフ型1体を滅しました!】


 あと6人……夢喰は斬る!


『夢鬼理滅……滅……滅……滅……滅殺!』


 それが夢宮の使命!


『夢鬼理滅……滅……滅……滅……滅殺!』


 斬るだけ……それが夢宮の使命!



『夢鬼理滅……滅……滅……滅……滅殺!』



 斬るだけ……それが夢宮の使命!



『夢鬼理滅……滅……滅……滅……滅殺!』



 夢鬼理滅殺! 斬るだけだ!


 

『朝陽よ! 我の声が聞こえぬのか? この腑抜けが!』



 マタナニカノ、コエガ、キコエテキタ! デモ、ワタシは! ユメキリメッサツ!



『夢鬼理滅……滅……滅……滅……滅殺!』



【夢宮朝陽が夢喰シーフ型1体を滅しました!】



「朝陽様! それ以上はダメ! 戻れなくなる!」



 あと5人……あと5人のところでシャリアが……何か言ってきた……



『夢鬼理滅……滅……滅……滅……滅殺!』



 私は夢斬士、夢宮の使命……私は斬るだけ……



「朝陽様! それ以上はダメ! 朝陽! あなたはエクスアリアを夢喰から護るために旅を始めたのではないのですか! 私は……そんな朝陽は見たくない!」



「エクス……アリア……を護る?」



【シャリアが夢殺ノ滅槍弓むさつのめっそうきゅうを発動しました!】




 シュパー――ズババババババァン!



「ヒャッハハ、やっちま…………」



【夢喰シーフ型5体の討滅を完了しました!】



「はっ……滅殺、私は斬……」


『夢鬼理滅……滅……滅……滅……滅殺完了! ヒャハハハ! 私は人を殺めたぞ!』



 違う!

 私が夢鬼理滅刀を抜いたのは、この盗賊達の明日を奪う為ではない……

 切り札である夢鬼理一文字を安易に出さない為……



『朝陽よ、やはり意味を理解していなかった様だな』



 ユメキリ? 私は何を?

 夢鬼理滅刀……私とした事が、殺意の邪想に負けたか…………私は腑抜け者だ。



 『朝陽よ、明日を救う力を持つ者、力に溺れることなかれ、お前の父の言葉だ』




 その言葉は、お父様との約束の言葉……

 ユメキリと契約する前の夢斬士は、ただ夢喰に呑まれてしまった人を滅することが、掟であり使命だった。だから人を滅することの悦びを特異な夢斬士である私が…………明日を救う力の使い方を間違えてはいけない……

 それが私自身が明日を迎える為の力へと繋がるのだとお父様から教わった……

 それなのに私は、ユメキリが用意してくれた夢鬼理滅刀をすぐさま抜いて、私自身の邪想に呑まれた。



『朝陽よ、お前は何故、この地にいるのだ?』



 私がこの地にいる理由……タケミツとユメギリ貮型が起こした夢喰による殺意のファンタジーと化したエクスアリアに夢鬼理ネットワークを作って、夢喰から明日を奪い返して、エクスアリアの地に明日を迎えてもらうためだ……

 人を滅する為だけに私はこの地にいるのではなく、私自身の明日を迎える為、夢鬼理滅刀を抜いたはずだった……

 でも私の手には今、滅した証である赤い血がついている……そう、人の明日を私が奪った血だ。

 本来の夢鬼理滅刀の使い方は、私の想いの力を刀身に乗せて斬る刀で、明日を滅する為の力ではない!



【夢鬼理滅刀を夢鬼理ガジェットへ格納しました!】



 呆然と立つ私にシャリアさんが声をかけてきた。


「朝陽様、ここはあなたが住む世界ではないのです。だから私は、この世界でのあなたの理解者の1人でありたいのです、朝陽様」

「うん……うん……シャリアさん、うん……ごめんね」

「だから泣かないでください、朝陽様」


 私は気づかなかった……

 シャリアさん曰く、夢鬼理滅刀を奮い、盗賊達を滅していた時の私は、涙を流しながら滅していたという…………

 エクスアリアの地を救い、護ることより、夢斬士として意識と夢宮の使命が無意識に優先されていた……だから夢鬼理滅刀は、私の中にあった邪想の力を奮うだけの刀として応えたのだ。



「……シャリアさん、あなたがもし側にいてくれなかったら私は、この世界で見境無き殺戮者となってた……ありがとう」

「朝陽様は何がしたいのですか?」

「私はこの世界で、夢鬼理ネットワークを作り、本来私がいるべき世界に帰ること」

「でもこの世界で一緒に作った夢鬼理ネットワークは、シャリアさんを始めとする、この世界の住人さんたちが管理していく想いの力なんだ、シャリアさん」

「はい! それでこそ、私が着いて行くと決意した、本来の朝陽様です!」


 私が次に夢鬼理滅刀を抜く時は、夢鬼理滅想刀(ユメキリめっそうとう)として抜く!

 明日を迎える為の想いの力、夢覚市の夢宮本家の夢斬士である夢宮朝陽ではなく、今はエクスアリア旅する1人の夢斬士夢宮朝陽として、私はシャリアさんと旅を続ける決意をした。

 新たな私の決意に反応したガジェット内の夢鬼理滅想刀から声が聞こえてきた。



 『夢鬼理滅……滅想、滅想、滅謝!』

 『こちらこそ、ごめんね、滅想刀』



 私たちの目的地のエルタティアへ道のりはまだまだ遠いのである……



 9話

 明日を救う力を持つ者、力に溺れることなかれ 完


 10話につづく!

 

最後までお読みいただきありがとうございました!

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