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第二話 「世界ログ」

「死亡率……78%……?」


レインは思わず呟いた。


少女の頭上に浮かぶ半透明の文字。



【対象:シエル】


状態:衰弱

空腹:極大

信頼度:0


ユニークスキル適性:

【星読】


現在死亡率:78%



ハッキリ見える。


今までの断片的な文字とは違った。


まるでゲーム画面みたいに、情報として理解できる。


「なんだよ……これ……」


レインは目を擦る。


だが消えない。


むしろ視線を向けるほど、さらに細かい情報が浮かんできた。



原因:


・栄養不足

・高熱

・外傷悪化


推奨行動:


・水分補給

・解熱薬

・栄養摂取



「……」


レインは数秒固まった。


意味が分からない。


でも。


“助け方”が分かる。


そう思った瞬間、身体が勝手に動いていた。


「おい、立てるか?」


少女は反応しない。


意識がかなり薄い。


レインは少し迷ってから、少女を背負った。


軽い。


驚くほど軽かった。


まともに食事をしていなかったのだろう。


「とりあえず、宿だな……」


幸い、追放時に渡された金が少しだけある。


長くは持たない。


でも見捨てるのは後味が悪かった。


その時。


視界の端に、また文字が浮かぶ。



【クエスト】


『瀕死の奴隷少女を救え』


成功報酬:


【世界ログ】解放率上昇



「……は?」


レインは足を止めた。


クエスト?


なんだそれ。


ゲームじゃあるまいし。


だが文字は消えない。


それどころか。



制限時間:12時間


失敗時:


対象死亡



「ちょ、おいおい……」


レインは頭を抱えたくなった。


なんなんだこれは。


だが少女の身体は熱いままだ。


迷っている暇はない。


レインは雨の街を走り始めた。



「……一泊銀貨二枚だよ」


古びた宿屋。


受付の老婆は、レインの背中の少女を見て嫌そうな顔をした。


「奴隷なんか連れ込まないでおくれ」


「金は払います」


「……はぁ」


老婆は渋々鍵を投げて寄越した。


かなりボロい宿だ。


だが今のレインには十分だった。


部屋へ入ると、すぐ少女をベッドへ寝かせる。


ログを見る。



現在死亡率:74%



少し下がっていた。


「宿に入っただけで下がるのか……?」


意味は分からない。


だが。


やるべきことは分かる。


レインは急いで薬屋へ向かい、安い解熱薬とパン、それからスープを買って戻った。


財布の中身はほとんど消えた。


「これで助からなかったら泣くぞ……」


そんなことを呟きながら、少女へ水を飲ませる。


すると。



【応急処置成功】


死亡率:74% → 51%



「うおっ!?」


一気に下がった。


レインは目を見開く。


「マジでこれ、見えてる通りなのか……?」


その時。


ベッドの少女が小さく動いた。


「……ぁ……」


銀色の髪が揺れる。


ゆっくり瞳が開いた。


赤い瞳。


だがその目には、強い警戒が宿っていた。


少女はレインを見るなり、身体を強張らせる。


「っ……!」


怯えている。


レインは慌てて両手を上げた。


「いや、待て。別に何もしない」


少女は何も言わない。


ただ、震えていた。


その首輪が小さく鳴る。


奴隷。


きっとまともな扱いを受けてこなかったのだろう。


レインは少し困った顔をした。


「……とりあえず、飯食うか?」


そう言ってスープを差し出す。


少女は数秒迷い。


やがて、恐る恐る受け取った。


その瞬間。



信頼度:0 → 3



「……増えた」


「え?」


「いや、なんでもない」


レインは慌てて誤魔化す。


だが内心かなり驚いていた。


信頼度まで変わるのか。


少女はスープを飲みながら、小さな声で呟く。


「……なんで、助けたの」


「え?」


「私、奴隷なのに」


レインは少しだけ考えた。


そして肩をすくめる。


「……死にそうだったから?」


本当にそれだけだった。


すると少女は少しだけ目を丸くした。


まるで。


そんな理由を言われると思っていなかったみたいに。


その時。


レインの視界に、新しいログが浮かぶ。



ユニークスキル適性

【星読】


解放条件を確認。


対象との信頼度を上昇させてください。



「……は?」

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