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ピータと友だち



覚束無い指先。虚ろな瞳。

空になった酒のボトル。


次第に曖昧になる記憶。


今流れているのは。

それは覚えてるぜ。


NIDのアルバム収録曲。


初のバラードSnow blaind だ。


「娘の絵本…まだ全部読んでないんだ。俺は難読症なんでね。ある日、急に本が読める時があるんだ。その時はまとめて沢山本を…!」


彼の手元から本が滑り落ちる。

とてもとても大切な本だった。


彼の指先が裏表紙の端を掴む。


ページが捲れ彼の目の前に。

最後に書かれた文字が現れる。


見覚えがある文字だが。

娘の文字ではなかった。


私がロドニーを殺した


私がロドニーを殺した


その文字が目に入った瞬間。


彼は引き金を引いた。


銃声が会場に響いた。


騒然となる場内。


彼の体が椅子から崩れ落ちる。


吹き飛ばされなかった頭。

まだその顔に残された。

マッドマンの瞳。


虚空を見ていた。


お前…そこにいたのか。


ギブソンのTシャツにジーンズ姿。美しい若者が目の前に立っていた。


懐かしい。


まるで少女のように優しげ。

あどけなさの残る微笑み。


ロド二ー


天使のように微笑む。


セイレム


いつも口にくわえていた。

お決まりの煙草の銘柄。


「母と同じ名前の煙草」

「興味本位で吸ったら」

「手放せなくなったよ」


ローズ


ロドニー セイレム ローズ


お祈りの言葉みたいだ。


それが彼の名前。

俺はそう呼んだ。


いつか雪で前が見えなくなった。


雪が晴れたその先には。

誰もいなくなった。


見渡す限り一面の砂漠。


砂漠のような世界。


ただ1人歩いた。


お前が救いだった。


砂漠のような世界で出会った。


1輪の薔薇。


俺の魂の失われた欠片。


目が霞んできたな。


思い出した。


こんな時にどうでもいい話。

俺が歌ったモリソンの曲は…


もう1曲は、when the music is overだった…かな。


今思い出したぜ。



音楽が終わる


音楽が終わる


その時には


明かりを消してくれ


音楽は君の素敵な友だち


終わりの最後の日まで


ずっと友だちなんだ。



【バーミンガム編 了 エピローグへ続く】

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