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ピーターと友だち  作者: 六葉翼
バミンガ厶編
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エピローグ

ピーターと友達〜バーミンガム編のエピローグです。ここまでお読み頂いた皆様に感謝。アメリカに舞台を移しても彼の活躍は続きますが。ロックバンドを結成し。駆け抜けた彼と仲間たちの物語。ここまでが一番よいのか…続けるべきなのか。作者は少し思案。未だ登場したばかりの人物。名前だけ出て来た彼。物語はまだ私の中でも続いております。これまで読んで頂いた読者様に感謝です。物語は一度ここで完結です。これからも精進して。物語を綴り続けたいと思います。


エピローグ…Six Sweet Leaf


私はその時起きた一部始終。

ステージの前列で見ていた。


ステージから客席に放り出された。


彼の愛娘の書いた絵本。


他の客が奪ってしまわないように。


拾い上げ。


しっかりと胸に抱いた。


私はフリーの音楽ライター。


日本の洋楽専門誌で記事を書いていた。その仕事は天職だと思った。


けれど出版社を退職して。

今はフリーの身となった。

私が高校時代衝撃を受け。


この仕事をするきっかけになった。

マッドマンとМIDの書籍を書く。


そう決意して渡米した。


六葉葵


それが私の名前だ。


六葉あおい


ライターの表記はそうした。

そちらの方がわかりやすい。

わかりやすさは大切だ。


社員時代は仕事を通して。

彼には何度も取材した。


ジュライザとも親しくなった。

彼の自宅にも何度も招かれた。

個人的な取材で話を聞くことも。


六葉葵という名前は堅い印象。

徳川家とは縁も縁もない家系。

むしろ六葉は神道系からだ。


六葉姓の由来。それは、寺社仏閣や伝統的な木造建築の長押《なげし》や懸魚《げぎょ》に使われる。釘の頭を隠す装飾金物だ。6枚の葉を模した形をしており。家紋や火伏せの願いを込めた意匠らしい。


主に真鍮や銅で作られる。

神職や装飾に関わる職人。


何れかに私の先祖は関わっていた。


そんな事を外国人に説明しても。


「?」


それよりも葵という私の名前。


これが私に恩恵をもたらした。


外国人が最も好む日本人の名前。


AOI。すべて母音。

最も発音しやすい。


「アオイ」


皆がすぐに名を覚えて。

気さくに呼んでくれた。


彼の新しいバンドのメンバーとも親しくなれた。皆いい人たちだった。


日本人の記者や、レコード会社のスタッフとの打ち合わせ。そこに私が呼ばれることもあった。


勿論相応というか、それ以上の報酬を夫妻は用意してくれた。


話に聞く有名な守銭奴。ジュライザのパパより、彼女はずっと気前がよく。きちんとしたビジネスが出来る人でもあった。


「娘が書いてるピータの絵本」


「楽しみだ!」


「日本語版の翻訳は、ぜひアオイに頼もうかしら!」


「抜け目ないねママ!」


「でも、ピーターの伝記は彼の署名でないと…売れないわね!」


「勿論です、ジュライザ」


私は彼の取材をして。

彼の伝記を書きたい。


「クレジットは、ちゃんとアオイの名前も載せるんだそ!」


取材して分かった。マッドマンことピータークロス。世間のイメージとは違う。若い頃、悪徳な搾取者に騙されたせいで。権利関係にはうるさい。


そして普段は妻思い。優しいパパだ。たまに気に入らないことがあると。レコード会社の重役に対して、尻を出して抗議することはあるが。


彼は普段口調も穏やかで優しい。

ちょっとぶっ飛んたおじさんだ。


最初は、バンドのツアーにもジュライザが同行していた。しかし、出産や子育てで、彼女がツアーから離脱すると。他愛もなくロックンロールライフに飲み込まれ。


すぐ薬や酒でぼろぼろになる。


ツアー終了後はレコーディング。薬やアルコールを抜き。妻や子供に迷惑をかけないように。クリニックに入院する。クリーンになってまたツアーに出る。彼に限ったことこではないが。


その繰り返しの人生だった。


初めて会えた時。

私は彼に言った。


「あなたの曲の中では、Sweet Leafが昔から大好きなの!」



Sweetleaf…有名なステビア天然の甘味料ブランド。


Sweetleaf…アマメシバという葉に甘みがある熱帯植物の名前。


スラングでは大麻のことだ。

当然曲はそっちの葉っぱだ。


「米国で本が出せるなら」


ペンネームはSweet Leafがいい。


なんか可愛いかんじだし。

私の大好きな曲だから。


するとピータは笑って。


「なら、ロクヨウさんの6から取ってSix Sweet Leafなんてのはどうだ?」


「葉っぱ数が増えてるわ!」

「いけない子ねピーター!」


そう言ってジュライザは笑った。


そんな私の話はどうでもいい。


主役は此処にいるマッドマンだ。

私はそれを書いて後世に残したい。名も無き音楽ライターに過ぎない。


ロックンロールはショービジネス。

その世界に彼は君臨し続けている。


ステージにはバンドとマッドマン。そしてジュライザしかいなかった。


次第に彼の周りに大勢の人が囲み、さらに人が集まり始めていた。


阿鼻叫喚と混沌が渦巻く世界。


目の前で後に伝説として語られる、舞台が繰り広げられ。高揚する人もいれば。顔を覆って泣く人もいる。


そんな舞台の一隅で。


私は泣きもせず。

嘆くこともせず。


ただステージを見つめていた。

ライターという職業柄ではない。


ロックンロールはショービジネス。

その世界に彼は君臨し続けている。


私の隣で見ていたジュライザ。

舌打ちして席を断つ前に呟いた。

その言葉を私は聞いていたから。


「火薬の量を間違えた」


彼のためなら手段を選ばない。

愛娘の絵本にだって細工する。


目を開けてマッドマン。

あなたの歌う声が好き。

あなたの歌が聴きたい。


あなたの死で結ばれる伝記。

それを書くのにはまだ早い。


音楽があなたの友達でしょ?

ロックンロールはこれから。


まだけして終わらない。

これまでお読み頂き本当にありがとうございました。次回作品も魂を込めて描きます。六葉翼

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