↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/50

スピンオフ第3話・タカセはキューピッドになりたい。



 聖都市のショッピングモール。


 レインとタカセは、エミリへの贈り物を探すため、雑貨屋を訪れていた。


「実用性のある物を選んでみよう。エミリの好みはわかるか?」


 タカセに尋ねられ、レインは腕を組んで考え込む。


「んー……そういえば、店にすずらんの花が飾ってあったな。好きで飾ってると言っていた」


 すると、タカセはありもしない眼鏡をかけ直す仕草をした。


「選ぶ物が見えてきたな。真実はいつも一つだ」


「お前、楽しんでるだろ」


 その時だった。


「あっ、タカセだ〜!」


 下校途中らしい女子高生たちが、タカセに向かって手を振った。


 タカセも無言で手を振り返す。


「きゃー! 神対応!」


 黄色い歓声を背に、レインは小さくため息を吐いた。


「……コード・リーパーも大変だな。俺はようやらん」


「今は任務中じゃないからな……グレイにも、愛想よくしろと言われている」


「タカセ〜、指ハートして〜!」


 タカセは黙って指ハートを作る。


「きゃー! 可愛い〜!」


 歓声がさらに大きくなる。

 その様子を見ていたレインは、呆れたように目を細めた。


「お前、適応力高すぎんだろ」


「これも職務だ」


 タカセは至って真面目な顔で答えた。


「……職務ねぇ」


 レインは、先ほどまで歓声を上げていた女子高生たちを横目で見た。


 コード・リーパーは、国家に認められた殺人許可ライセンスを持つ者だ。


 裏社会の脅威から市民を守る一方で、その活動は世論にも左右される。どれほど優れた実力があろうと、市民の信頼を失えば、彼らの立場は揺らぎかねない。


 近頃ではダークヒーローなどと持て囃され、若い隊員にはファンクラブまであるらしい。


「……お前も大変だな」


「何がだ?」


「いや。俺には無理だと思ってな」


「慣れればどうということはない」


「慣れたくねぇよ」


 レインは呆れたように肩をすくめた。


 *


 一方、その頃。


 エミリもまた、店の買い出しのためにショッピングモールを訪れていた。


(──コーヒー豆と、ミルクが足りなかったから……)


 買い物リストを確認しながら店内を歩いていた、その時。


 けたたましい警報音が鳴り響いた。


「強盗だー!!」


 エミリの目の前を、武装した強盗犯が駆け抜けていく。


 その後を追いかけるように、店長らしきおじさんが慌てて飛び出してきた。手にはリモコン。さらにその後ろから、若い従業員が血相を変えて追いかけてくる。


「店長! 絶対に! ボタンを押したらダメです! それ、モール全体の施錠ボタンです! お客様が閉じ込められちゃいます!」


「えっ!?」


 エミリは、目の前で繰り広げられる光景をそわそわと見守っていた。居ても立っても居られず思わず声を上げる。


「あ、あの! 私、警察を呼びますから……!」


 エミリは慌ててスマホを取り出す。


 「ありがとうございます! 女神!」


 店長が感激の声を上げた、その時。


 つるっ。


 店長の手から、リモコンが滑りかけた。


 ポチ。


「「「あ」」」


「店長ーーーーー!!」


「テヘ」


【緊急施錠装置発動。緊急施錠装置発動】


 無情なアナウンスが、ショッピングモール全体に響き渡った。


 ──こうして、居合わせた客も従業員も、もれなく全員、閉じ込められることとなった。



 *



 タカセは考え込む。


「タイトルと展開に齟齬がないか?」


 レインはタカセの肩をポンと叩いた。


「諦めろ」



(つづく!!!!!)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。