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3. カナちゃんとあかりちゃんと、外国人グループ



-2年前-


タキガワくんのお通夜に行った。


最後のお別れ。


雨が降っていた。


もう五月だというのに、

冷たい雨の降る、とても悲しい夜だった。



新宿にもどった私たちは、カラダがすっかり冷え切ってしまったので、

何か食べることにした。

お店を探して歩いた。


冷たい雨の降る夜の新宿の街は、

いつもより、静かで寂しかった。



何より私の知らないタキガワくんの話を

ふたりからたくさん聞きたかった私は、

席に着くと、すぐに、


いつから具合が悪かったのか、とか、

いつ入院したのか、とか、

お見舞いにいったのか、とか、

最期の様子をふたりに聞いてみた。


彼が入院したのは、3月のことで、

その時には、すでに、

すい臓ガンが末期の状態で

深刻な病状だったらしい。

自発呼吸も困難だったという。

治療も辛く苦しいものだった。と

聞かされていた。


そして、旅立ってしまったのが、

2ヶ月後の5月の10日のことだった。


お見舞いは、行くかどうか迷って

止めたそうだ。 

ご家族に、いらぬ気遣いをさせてしまうと

いけないから、ということだった。


病院に、入院患者向けのサイトがあって、

せめて、メールだけでもと

そこにお見舞いのメールを送ったという。


タキガワくんとカナちゃんの元上司

という人が、お見舞いに行った時に、

タキガワくんが、

カナちゃんから届いたメールのことを

嬉しそうに話していた。と

連絡をくれたそうだ。 


カナちゃんは、

読んでくれたみたいで、よかった。

と言った。 


それを聞いて、私も、よかったと思った。


ふたりは同期入社で職場が一緒だったことで仲良くしていたらしい。

同期だけど、

タキガワくんの方が4歳年下だった。

と話した。


私はふたりに聞いてみた。


タキガワくんは、亡くなった時、

何歳だったの?

皆で同じ職場だったのは何年前?


一緒にいたのは、10年くらい前の事で、


彼は、34歳の若さで旅立ってしまった。


カナちゃんも、あかりちゃんも、

私と同じで、何年もタキガワくんとは

連絡を取ってなかったと話した。


これから、いくらでも会えると思っていた。


カナちゃんとあかりちゃんは、

代わる代わる話してくれた。


タキガワくんの恋愛話、

職場での様子や出来事、

飲み会での様々な思い出話、

皆で行った北海道スノボ旅行のエピソード、

たくさん話を聞いた。


ふたりは、

もう一度タキガワくんと飲みたかった。

と残念そうに言った。


私も同じ気持ちだった。


私は、空いている席に

彼が居てくれてるといいなぁ。

と思って、飲んでいた。


見えないけど、そこに座っていてね。


心の中で話しかけていた。




そろそろ遅くなってきたので、

帰る前に化粧室に行こうと席を立った。


あるテーブルの横を通り過ぎたとき、

後ろから声をかけられた。


振り返ってみると外国の人だった。


私は、観光客かと思い、

注文の仕方がわからない。とか、

メニューを読んでほしい。とか、

何か困っているのかも。と思って  


何ですか?と応えた。


するとその人は  


一緒に飲みませんか? 


といって私を驚かせた。


驚きのあまり、とっさに言葉もでず、


ふたりに聞いてみて・・・。 

といって自分たちのテーブルを指差してから化粧室に向かった。


ふたりのことだから、

うまくかわしてくれてるだろうと、

戻ってみると、

意外なことにテーブルの人数が増えていて なんだか盛り上がっていた。


ことわらなかったのか・・・。 


立ちすくんで、自分のテーブルの方を

見ているとお店の人が、私に


大変なことになってますね。

と話しかけてきた。


私はそれにうなずいて、自分の席に戻った。


これでもう、

タキガワくんの話も出来ないなぁ。

と思ったらもう帰りたかったけど


すぐに席を立つのも、気が引けて、

少しだけ付き合うことにした。


アメリカ人が2人、韓国人が1人、

日本人が1人のグループだった。


同じ会社の仲間で

ご飯を食べにきてたみたいだった。


日本人の彼はアメリカに住んでいて

何かの会社をやっていて、

日本での仕事があるから

一時的に日本にもどってきた。

と話した。


仕事が終わったらアメリカに帰る。

ということだった。


私はその話がなんだか作り話のように

聞こえていたけど 

特に自分には関係のない話だったから、

なんとなく聞いていた。 


(つづく)



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