↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
2/21

2. 不思議な携帯電話



タキガワくんの3回忌で

お墓参りに行く朝のことだった。


そろそろ起きて、

出掛ける準備をしよう

と、思ったその時、


携帯電話が鳴った。


いつものアラーム音でもないし、

電話でもない。


そもそも、

普段はマナーモードにしてるから

音は出ないはず。


突然、大きな音がしたから驚いて、

夕べ、何か操作を誤ったのかと

あわてて携帯を手に取った。


アラームでも、電話でもなかった。


携帯電話のなかに録音していた

CDの曲だった。


ほとんど聞くことのなかった、

オルゴールバージョンの曲で、

タイトルの、 優しい光 という文字が

表示されていた。


思いがけず、大きな音が鳴ったから

驚いて、

少し、心臓がドキドキしていた。


鳴った理由に全く心当たりがなかった。


当時はガラケーだったから、

スマホと違って、たまたま指が触れて、

ということもなかった。


携帯を開いて、

何かのサイトにアクセスして、

アルバムを選んでから、

やっと曲が聞ける。

という仕組みだったと思う。


だから、

携帯からその曲が流れるはずない

と思った。


故障かもしれない。


でも、

私はタキガワくんの仕業かもしれない

と思った。


私が、なかなか手紙を書かないから、

少し、怒っているのかもしれない。


私は歩きながら考えていた。


タキガワくんが私に頼みたいことが

あるとしたら、それは、


お母さんのことしかない。


今日は、必ず、ご挨拶しよう。そう考えた。


携帯電話は、壊れてなかった。


その後、あかりちゃんと、カナちゃんと

携帯電話で連絡を取りあって、

待ち合わせ場所に向かった。


音楽が突然、

流れ出したのも、

あの日の朝だけのことだった。



何日かして、やっと手紙を書く事ができた。


昔、10年ほど前の通勤電車の中でのことや、一緒に出かけた時に、

タキガワくんが話していた

母の日のお花の思い出話も書いた。


お母さんの知らない、タキガワくんのことを少しだけでも知らせて届けたかった。


タキガワくんがそうして欲しいと

携帯の音を鳴らしたんじゃないかと思えた。



お母さんから、お返事が届いた。

手紙を喜んでくれたみたいだった。


息子からの母の日の贈り物だと思った。


と書かれていた。


(つづく)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。