1. タキガワくんと海斗とあねご
海斗からメールが届いた。
2年前に私から送信したメールの
返信だった。
2年前の5月に、私は浅草寺に出かけて
お守りを買った。
海斗に渡すために買ったものだったから、
どうしても渡したくて
もう一度、連絡してね。
という内容のメールを送ったけど
返事はなかった。
あれから2年、
そのお守りは、いつも私の通勤バッグの
ポケットに入っていて、この頃は、もう、
その存在も忘れかけていたくらいだった。
>Heee~y あねごー!メール見てなくて~
ごねんねーっ! で、元気? 順調?
もう、返事はないものと思っていたから
驚いた。今頃になって何?
2年だよ? 1年じゃなくて2年・・・。
>>返事をくれないのは忙しくて
メールを見てないから?
>>それとも、もう
面倒になってしまったから?
2年も前の自分のメールを見せられて、
少し、気恥ずかしい気分になった。
2年も経ってからメールの返信をする人が
いるなんて・・・・。
もう、忘れてると思ってた。
海斗?
あまり驚かせないで・・・。
元気です。
私は2年前の出来事を思い出していた。
そして思った。
手紙を書かなくちゃ。
タキガワくんのお母さんに。
2年前から迷って、
出せずにいた手紙を書こう・・・。
タキガワくんのお墓参りに行った。
3回忌。
その場にいた彼のお母さんに挨拶をして、
声をかけた。
2年前、彼のお通夜に出かけて
見かけた時とは別人のように見えた。
お通夜で見かけた時は、涙はなく、
むしろ怒っているようにさえ見えた。
深い悲しみと、混乱。
理不尽な運命に対して
怒っていたのかもしれない。
怒りを感じることで深い悲しみに
やっと耐えて
あの席になんとか座っていた。
そんなふうに見えた。
今は、悲しみに深く傷ついたまま、
ただ、耐えている。
毎日、ここに来て謝ってるんですよ。
私が悪いんです。
丈夫な体に生んであげなかった
私が悪いんです。
その言葉が私の心を突き刺した。
自分を責めることで悲しみに耐えているの?
何も言葉を返せなかった。
涙をこぼさないようにするのが
精一杯だった。
心に突き刺さったあの言葉が
耳からはなれないでいた。
手紙を書こうと思っていたけど、
どう書き出していいものかと迷って、
あれから4日も過ぎてしまっていた。
そこに海斗からメールが届いた。
あの時と同じタイミング・・・・5月10日
(つづく)




