↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
19/21

完結】Orionの奇跡~そばにいるから~ 19. お守りと手紙 2



海斗からメールが届いた。


今週は東京に戻っていて

LA行きも来週になったから

今日か明日に会いたい。


ということだった。


今夜は遅くなるけど、

それでもいいなら会いたい。


遅くなるから、どこかに泊まって

一緒にいたい。


というようなことをいう。


私は泊まらないで、帰るけど

海斗は疲れてるだろうから、

ひとりでゆっくり泊まったら?


とこたえた。


明日の仕事帰りに会う約束をした。


明日はタキガワくんの四十九日。

旅立つ日。


海斗には、浅草で買ったお守りを渡したい。


どうしても会いたかった。




翌日の夕方、

仕事が忙しくて、抜けられないと

メールが入っていた。 


また今度ね。

と返したら


遅くなるけど会いたい。 

どこかに泊まって・・・。


と、また夕べと同じことを言っている。


私はどう返事をしたらいいのか、

迷い始めてしまった。 


タキガワくんが旅立つその時だったから

海斗の言葉なのか

タキガワくんの言葉なのか

わからなくなってしまって・・・。



タキガワくんが、あの夜、

何か言いたそうにしてたのは・・・。と


また、私の頭は混乱してきてしまった。



・・・・・・・。


だけど、海斗はタキガワくんじゃない。


私は、

また今度でいい。

別の人を誘ってあげて。

と返事をした。


海斗は、

ショックだ。

と返してきたけど、

軽い感じだったから 

ただ、言ってるだけだとわかった。


いちばん最初に、

会えない。

と言ったときは、

あんなに悲しそうな弱々しい声に

なってしまったのに


今度は軽い感じだったから、

彼はちょっとおしゃべりを楽しんでるだけ。


それなのに、あれこれ、迷って、考えて、


空回りだったのか。


翌朝、海斗はメールをくれた。


夕べは忙しくてオフィスに缶詰めだった~。


それから、また、連絡が途絶えてしまった。




タキガワくんは、いつもそばにいると感じていたのに四十九日を過ぎてからは

もう近くにいないことがわかった。


そう感じた。


それまでは、彼に話しかけるときは

自分の心の中に話しかけてた。


ただ心に向かって話しかけていた。


だけど、今は彼に話しかけるときは 

空を見るようになった。


電車の中でも、

歩いているときでも、

部屋で休んでいるときでも

空を見ながら話しかけている。


いつのまにか自然とそうなった。


私の心は、

彼の居場所を知っているみたいだ。






ー2年後ー


海斗からメールが届いた。

今、東京にいるらしい。


待ち合わせした。

あの日のお守りを渡せることになった。


渡したいものがあるって、言ってたけど。


お守りを渡した。

喜んでくれたみたいだった。


書いてるものがあるって言ってたけど、

何か、書いてたの?


手紙。ちょうど、届いてる頃だと思う。


海斗は今、仕事がとても忙しいと話した。


2年前のことは、もう、

すっかり記憶が薄れてるみたいだった。


少し話して、お店を出て、駅まで歩いた。


別れ際、

もう、ハグのポーズもなかった。






海斗にに出会って

握手をしたり、

ひざ枕の話を聞いてなかったら


考えないようにしてきたことで、

忘れてしまった

あの頃の色々な疑問の答えを

自分ひとりで

見つけることが出来ただろうか。


タキガワくんが逝ってしまったことが

ただ悲しくて

何も考えられなかったんじゃないかと思う。


あの頃の、彷徨っていた自分のことも

目を背けて、

向かい合わないようにしてきた。


今では、遠くからなら

少しだけ、眺められるようになった。


答えは全部自分の中にあったけど 

ひとりではたどりつけなかったと思う。


タキガワくんのお母さんへの

手紙も届けられなかったかもしれない。


もしかしたら、全部がただの偶然で

私が、海斗にタキガワくんを

重ねて見てしまっただけかもしれない。


だけど、

本当にそれだけのことだったのだろうか。


タキガワくんはとにかく

お母さんに手紙を書いて

届けたかったんじゃないかと

私は思っている。


あのひと月半は、いつもそばに彼がいて

何か伝えようとしている気がしてた。


不思議な日々だった。



タキガワくんは

あの頃の

自分だけでは

どうしようもできなかった私に

立ち直るきっかけをくれた。



海斗は

そんな大切なことを

忘れてしまっていた

どうしようもない私に

気づかせるきっかけをくれた。


ありがとう 


タキガワくんと海斗へ        

あねご




【本編完結】

(エピローグへ つづく)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。