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鍋侍と、弟子たち〜戦う前に、飯を食え〜  作者: now here man
第七章 最終章

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違和感。

鳴り響く銅羅。

空を埋め尽くすほどの矢。

村を挟んだ両軍は互いに牽制するように、矢を射ている。


小太朗は生きた心地がしなかった。

子龍の軍からは途切れることなく矢が飛び続ける。

都の軍からはまばらな矢。

劣勢に見える都の軍。


「あれは連弩を使ってる。」

小太朗は思わず口走る。

「技王の作ったやつ?」

桜の言葉に、小太朗は頷く。

「小さい矢を沢山打てるように、作ってあるんだ。だから普通の矢より弱いんだ。」

小太朗は、何かがおかしいと感じながら言葉を続ける。

「だから怪我をすることはあっても、大怪我にはなかなかならないんだ。」


岩之助は、首を傾げる。

「なんでそんな矢を使ってるんだ。」

「多分、直接斬り合わないようにじゃないの」

桜は、答える。

「勝ちたいだけなら他の方法もあると思うんだ。」

小太朗は腕組みをする。

「勝つだけだったら、投石機とかもっと違うものを使うと思うんだ。」

小太朗は、子龍の陣の方を見る。

大体、山に挟まれた村を戦場に選ぶのはおかしいと思うんだ。」

小太朗は、何かを思いついたようだ。

「桜姉ちゃん、地図を貸して。」

桜は慌てて地図を取り出す。


小太朗は地図を広げながら呟く。

「なんで、こんなところで戦を始めたんだろう。」

岩之助が地図を覗き込む。

「技王の国と都の真ん中だからだろ。」

岩之助は、技王の国と都をまっすぐ繋ぐ線を指で描く。


桜は何か気がついたようだ。

「そっか、早く戦を終わらせるなら、街道沿いの広い場所のほうがいいよね。」

岩之助が、手を打つ。

「そのほうが、大軍同士で戦えるな。」

小太朗は頷く。


「もしかして、子龍って人は戦いたくないんじゃないかな?」

三人は目を見合わせる。

「おっさんに伝えなきゃ!」

桜は、都の軍の方へと駆け出した。


軍旗が密集している場所に、佐之助がいると見当をつけて走って向かう三人。

当然のように兵士に止められる。


「佐之助さんの知り合いなんだ。」

小太朗の言葉に、兵士は首を振る。

「子供はこんなところにいたらいかん。」

小太朗は、兵士に押し除けられそうになる。


岩之助は大声で叫ぶ。

「大事なことなんだ!通してくれ!」

岩之助は力任せに通り抜けようとするが、気がついた周りの兵たちが集まってきて、力ずくで抑えられる。


桜は必死に考える。

「そうだ。小太朗、手形を持ってたでしょ。」

小太朗は懐にしまっていた、通行手形を取り出す。

桜は、その手形を兵の一人に見せる。


「確かに、中村殿の字だ。」

手形の字を見た兵は、怪訝な顔で三人を見る。

疑り深そうな目をした兵の一人が、三人を佐之助のところへ案内する。


「佐之助さん。」

小太朗の言葉に佐之助は振り向く。

「こんなところで何をしている!」

鍋蔵もその声を聞きつけてやってくる。

「どうしたんだ。ここは危ない、早く避難しろ。」


佐之助は、三人を連れてきた兵へ声をかける。

「こいつらは怪しい奴らじゃない。警戒してくれてありがとうな。」


小太朗は、地図を取り出し佐之助と鍋蔵に説明を始める。


「…確かにな。」

鍋蔵は、頷く。

「戦場の気を見ると、確かにそうかもしれんな。雌雄を決する気ではない陣形だ。」

佐之助も頷く。


「そうであれば、なんらかの原因があると考えるべきであろうな。」

佐之助は近くの兵へ指示を出す。

「一旦様子見だな。物見の兵を出した。」

佐之助の言葉に、鍋蔵は頷く。

「小太朗、お手柄だな。」

小太朗は、恥ずかしそうに下を向いた。


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