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鍋侍と、弟子たち〜戦う前に、飯を食え〜  作者: now here man
第七章 最終章

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残響。

土埃に包まれる。

鍋蔵の横には技王。雲長は土埃の中に消えていた。


ことの起こりは、二日前。

火事の件で不審な動きを見せた子龍を拘束し、雲長と技王が追求した結果、他国との繋がりがあったことが発覚した。


監禁していた子龍が夜半に脱獄し、敵国の勢力と合流。技王に反旗を翻した。


情勢は一気に悪化。技王の領地の半数が瞬く間に奪われた、城を追われた技王達。

今では、追われる身となってしまった。


「兵器庫を抑えられたのが痛かったな。」

技王は呟く。

「子龍は、俺が育てた弟子です。弟子の不始末。俺が処分します。」

雲長は、技王が止めるのも聞かずに、走り出した。


残された技王を鍋蔵が護衛する形となった。

「闇に乗じて、都にでも逃げ込むか。」

技王は不敵な笑みを浮かべる。

「都には昔の仲間がいる。しばらく身を隠し、再起を謀る。」

鍋蔵はその言葉の奥に、一抹の不安があるのを嗅ぎ取った。


雲長は駆ける。

愛馬の息が弾むのを感じている。

「俺の生き方は間違っていたのだろうか?」

頭の中に浮かぶのは、火事で失った妻、そして年端もいかぬ我が子のこと。


この国の民の為、それだけを考えて生きてきた。

「自分の代わりの、技王を支える人物として子龍を育てた。子供の頃からずっと見てきていたはずなのに、心の中まで推し量ることが出来なかった。」


手綱を握りしめる手が、震えている。

その震えを消すために、雲長は愛馬に鞭を打った。


子龍の初陣を見送った日。

緊張で青白い顔をした子龍の肩を叩き、励ました。

戦から無事戻ってきた子龍を思わず抱きしめたこと。

様々な思いが脳裏をよぎる。


…どこで道を間違った。

その思いが頭から離れない。


出迎えた子龍は、背後に多数の部下を従えている。

見知った顔ばかりだ。

「こんなにも…。」

雲長は愕然とする。

軍部が雲長と子龍、それぞれを支持する派閥に分かれつつあることは感じていた。

雲長は、自分の甘さを呪う。


「子龍、主君に刃向かう不届きものよ。その首にこの刃をくれてやる、覚悟しろ。」

「雲長さん。このままではこの国は崩壊してしまう。なんでそれがわからんのですか。」

二人は剣を抜き、睨み合う。


先に口を開いたのは、子龍だった。

「都からの侵略を防ぐためには、この国だけの力では無理なんです。外国の力を借りてでも防がなければ。」

「その外国の狙いは、この国だけではない。都も含めた全ての国の支配だ。何故、それが分からん!」


睨み合う二人を曇った空が見つめている。

「技王は甘い。技術だけでは国は守れない。この国にはそもそも人が少ないのだ。」

「だから、豊かな国のために技術を磨いている。」

子龍の言葉に、雲長は答える。

どこか虚しさを感じる。

何度も繰り返してきたやり取りだ。

「国とは民だ。一時属国になったとしても民がいればやり直せる。」

子龍は、何度も言葉にしてきた事を口に出す。

「その民の幸せを奪うのが、属国だというのが何故分からん!」


稲光がきっかけとなった。

二人の剣が交わる。


倒れた雲長が最後に見たのは、子龍の代わりに泣き始めた空と、失ったはずの妻と子供の笑顔だった。

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