52 マサル峠を越えて_22
* *
私の所属するファイルド国は、現在、善隣外交を展開している。
だからこそ、武力で相手を圧殺させることのできる銃火器という兵器を、決して公にしてはイケないと思っている。
「なら、……さ。実際に使用するところを、見てみたいわね!」
シルファー団長は、先ほどあぁ仰ったけど、……。
それは、明確な国是に対する違反行為だ。
そもそも王族が決して言っていい科白ではなく、……。
内々でも、こっそりとでも話してはならない言葉だと私は思った。
「シルファー団長っ!」
「なっ、何よっ!」
こちらの表情を見て、一瞬たじろいだような表情を浮かべられる団長。
普段温厚で笑顔の私が怒鳴ったものだから、内心ではかなり驚いたのではないかと思われる。
ステラ殿下やアントン騎士長、女占い師、ミラの4名も、こちらの剣幕に直ちに真剣な表情に変った。
ただ一人、中年の一級剣士だけは、こちらを挑むような表情でじっと見ている。
椅子に立膝をついて座っているのは、……さ。
こちらから、わざわざ彼の精神の中に潜入するまでもなく、……。
私の言葉次第では、いつ何時でも飛びかかって、一刃を食らわせてやるくらいのことを考えているのだろうと推察された。
私はファイルド国が好きだ。
私は、その頂点であるファイルド王家を敬っている。
ラスキン国王陛下、王妃殿下、キャスパー第一王子、シルファー第二王女、皆様に大切に扱われ、こちらも仕えることを誇りにしてきた。
だからこそ、王家の一員であるシルファー・ファイルドには、決して道を誤って貰いたくないのだ。
「シルファー団長。銃の道は、修羅の道です。この先には荒野しかありません。どこかの国が開発したら、直ぐに裏切り者が他所の国にその技術を流してしまいます、……」
「……」
「そうなったら最後、もう後戻りはできません。どうか、前言撤回をお願い致します!」
一貴族が王族の言葉を咎めることは、本来行われるべきではない。
場合によってはお家取り潰し、……。
本人の命は、先ず失うことを覚悟しなければならないことだと思う。
つまり、次の瞬間には、飛びかかってきた中年の一級剣士の放つ白刃によって、こちらの首と胴が生き別れになる、……。
そんな事態だって、十分あり得るワケだ。
なら、……。
次にシルファー団長の発せられる言葉次第で、私の今後の運命が決まるということだね。
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