52 マサル峠を越えて_18
* *
「……とまぁ、そんな具合です。サスパニアの軍、大体100名ほどの部隊が、首都方面より現地に進んできています!」
「了解。ワカったから、先に続けて!」
私が現地にいって、直接見てきたワケでもない説明を、……。
シルファー団長を始めとする指揮車両内のお歴々が、真剣な面持ちで聞いている。
でも、団長おひとりは段々と寡黙になり、……。
顎に手をやったまま、脳内でもの凄い速度で想定を始められているのかもしれない。
「今回派遣されたサスパニアの軍は、各兵員に銃剣という新型兵器を持たせていることがワカっています!」
こちらのその言葉に、一瞬、団長とアントン騎士長、女占い師が、全身総毛立つのが感じられた。
以前、私が火薬をエリクサーの抱き合わせ(バーター)で開発したことがあって、……。
その際に、王族や一部の軍関係者を招いて、王宮の近くの練兵場で火薬の実演をしたことがあった。
これまでに、この世界では火薬が用いられたという記録はほとんどない。
私が貴族寮の裏庭で花火を提供したことと、後はこの練兵場でのデモンストレーションの2つのみだ。
「ハルコン、……。もしかして、新型武器というのは、以前に見せて貰った火薬の爆発力を利用したものなのかしら?」
さすがはシルファー団長だ。こちらが少し話しただけで、もう今回の件の真相に肉薄していらっしゃる。
「はい。おそらく、それで間違いありません!」
「ふむ、……」
団長はこちらの言わんとすることを確認されると、再び顎に手をやって思考を巡らせなさった。
「すまないが、シルファー団長。その火薬というものは、一体なんであるか?」
終始黙って聞いていた中年の一級剣士が、手を上げながら訊ねてくる。
「……」
でも、団長は初めての事態に、思考がまだ定まらないのか黙ったまんまだ。
「ふむ、……」
私は団長の代わりに、中年の一級剣士の頭の中に念話を送り込む。
『炎が瞬間的に燃え広がる、そんな薬です!』
その言葉と共に、彼の頭の中に、20世紀初頭に普及したライフルの発射映像を落とし込む。
「うぉっ!? 何ぞ、これはっ!?」
突然、叫び声を上げながら両肩を跳ね上げる一級剣士。
左胸を押さえているそんな彼を、アントン騎士長が冷ややかに見つめていた。
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