52 マサル峠を越えて_16
* *
『どうしたのぉ? 元女盗賊ぅ?』
こちらの事情を知らない「半次郎」が、元女盗賊にそれとなく話を振ってくる。
『いや、……。問題なかと、……でやすよ!』
その表情が、極めて冷静に見えたのか、……。
『ふぅ~~ん。何か隠しているみたいだけど?』
直ぐにけろっと表情を入れ替えると、「半次郎」は元女盗賊にそう訊ねた。
『何もなかよ!』
『まぁ、いいさね。とりあえず、ウチもその話に乗っかるとするからね!』
『それがよか!』
『で、……。これから、一体何が起ころうとしてるの?』
そう「半次郎」が元女盗賊に訊ねた、……そのタイミングで!
私は、クマと角ウサギの群れを、野盗達に向けて解き放った。
突然のことに、泡を食った様子の野盗達。
クマの一撃で、プレートアーマーを着込んだリーダー格が吹き飛び、……。
ショートソードを喚きながら振り回す三下の間隙を縫って、角ウサギが腹部に打突を加えたり、……。
野盗達は次々と叫び声を上げながら、獣達の爪や牙の餌食となっていった。
ものの数分後には、野盗達の概ね半分ほどの陣営が崩壊してしまっていた。
『……』
『いやはや、……。さすがはウチらのボス、ハルコン様々だねぇ、……?』
そう言って、元女盗賊の表情を見つつ、ニンマリとした笑顔で訊ねてくる「半次郎」。
『知らん。アタイば、覚束なか話ば、せんとよかっ!』
『はいはい、……。って、あれぇ――っ!?』
すると、戦闘現場のその先に、……。何かが光る気配を感じた。
どうやら、陽光がプレートアーマーのような磨かれた金属に反射したのかもしれない。
『軍、……だすな!』
『だねぇ、……』
さっそく、先ほどまでの浮ついた気持ちを切り替えて、目つきが鋭くなる「半次郎」。
同じ頃、私はカラスの群れを通じて、空からその軍の動きを確認していた。
サスパニアの首都エドモンド方面から、総勢100人規模の軍隊がやってくる。
「あっ!? 小水戸中尉がいるね!?」
おそらく、野盗封じに石原中佐さんが、中尉を現地に派遣したのかなぁと思われた。
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