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RPG!!〜聖女になりたい転生令嬢〜  作者: こんぺい糖**
第一章 転生先は公爵令嬢!
3/47

Lv3 ▼7歳で縁談なんて聞いてないですよ!?

 また誰か使用人さんらしき人が来たよ!?


 いつもこのぐらいの人が訪れるのかな。

 だとしたら、(ルーナ)も大変だ。ついつい自分に同情しちゃう。


「ロル、お嬢様はお食事中よ。時間をおいて下さいと旦那様にお伝えして」


 ナイスです、アンさん!! と思ったのも束の間。


「いえ、なにがなんでもお嬢様を連れてくるようにとのことですので……時間がありません。急いでご準備を!」


 ええー。そんなに急ぐ用事ってなんですかー。


 そもそもお父様のことを覚えている自信がないのですが? 使用人の方々はごまかせても、実の父親にはバレちゃうと思うんだけれど。


「お嬢様、お食事中失礼します。旦那様がお呼びですので、ドレスに着替えさせていただきますね」


 アンさんとロルさんがどんどん話を進めていく。


「は、はい」


 はっ! ついうなずいてしまったけれど、これってつまり朝ご飯を食べる時間を逃しちゃうのでは!?


「ではお嬢様、ただ今よりドレスを選ばせていただきますね。少々お待ち下さい」


 そう言うとアンさんはあれこれとドレスを選び始めてしまった。


 もう逃げられそうにない。


 うう、マイブレックファスト―!!


*****


「お嬢様! 大変お可愛らしいですよ!!」


 朝ご飯を食べそこねて拗ねている私をどうにかおだてながら、アンさんたちはお父様――つまり公爵様の書斎まで案内してくれた。


「旦那様、お嬢様をお連れしました」


「ああ、入りなさい」


 扉の向こうから低く威厳のある声が聞こえてくる。それは初めて聞く声のはずなのに、『間違いなくお父様だ』とわかる声。


「し、失礼いたします」


 恐る恐る中に入ると、その声に似つかわしくない、柔和な笑みを浮かべたイケメンさんがいらっしゃいました。


 うわぁ……さすがルーナの父親。超絶美形だよね。


 アンさんもそうだけれど、この世界には美形が多いのかな?


 ということはルーナの『お母様』も美人なのかなあ。

 ……あ、でも、そっか。今思い出した。ルーナの母親は、彼女を産んですぐに亡くなっているんだった。


 自分のことながら他人事のように思いつつ、とりあえずお父様に挨拶をする。


 今は目の前のことに集中しよう!


「お父様、おはようございます」


「おはよう。朝から呼び出してしまって、すまないね」


「いえ、大丈夫です」


 本当はお腹がすいて倒れそうですが。


 というか、お父様は私の丁寧な対応を見て驚かないんだね。さすがに親の前では少し猫かぶってたのかな、ルーナ。


「君たち、ルーナと私を二人きりにしてくれないか?」


 お父様に命じられ、アンさんとロルさんは頭を下げて部屋を出ていく。


 え、ということは二人きり!? すごく不安!


 パタンと扉が閉じられてしまい、深い沈黙がその場を支配する。


 最初にその沈黙を破ったのは、お父様だった。


「実はな、これはまだ公表していない話なのだが……先日、王家からお前と王太子殿下との縁談の申しこみがあった」


「縁談、ですか」


 えええ縁談って! 七歳児で縁談するのが普通なの!?


 それとも、王太子殿下がロリコン野郎さんなのだろうか。


「貴族の者であり、同時に王太子殿下と年齢が近い娘がお前だけだったようだ。殿下は、お前より一つご年長でいらっしゃる」


 よ……よかったあ! そうだよね、そんなに歳の離れた相手との縁談はないもんね。


 でも、縁談か。この世界のこともまだよくわかってないのに、王太子殿下の伴侶としてふさわしい振る舞いなんてできるのかな?


「そして、本題はここからだ」


「はぁ」


 縁談だけでもいきなりでビックリなのに、まだあるの……? 怖いんですが。


「王太子殿下がな、お前をひと目見たいとおっしゃっているんだ」


 うわぁ、すごく心臓に悪い本題ですね?


 元庶民には、王族の方に謁見するなんて緊張どころの話じゃないよ。


「そうなのですか。それで、殿下はいついらっしゃる予定なのですか?

「それが……お忍びですでにいらっしゃっているんだよ」


「は?」


 ええええええ!? すでにいらっしゃっているって、なに!? 王太子殿下好奇心旺盛すぎるよ!! これで大至急呼ばれた謎が解けたよ、もう!


「というわけで、今すぐ応接間に行こう。殿下をこれ以上お待たせするわけにはいかないからね」


 お父様はひきつった笑みを浮かべ、私を応問答無用で応接間まで連行していった。

 連行の様子を心配そうに見つめる、アンさんたちメイドさん一同。私になすすべなどなく、アンさんたちにヘラリと笑いかけることしかできなかった。



「お待たせしました」


 引き締まった表情をしたお父様に続いて、応接間へ入る。


 本当にお忍びなのだろう、護衛の騎士も最低限しかいない。


「失礼いたします。遅くなってしまい申し訳ありません」


「いえ、大丈夫ですよ。こちらが押しかけてしまったようなものなので」


 そう、子供らしからぬ受け答えをして微笑んだのは――。


「え、まさか……嘘でしょう?」

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