表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
暴食者は異世界を貪る  作者: 蒼和考雪
二十三章 神の剣
681/1638

1


 ニネフォス王家、現在の王家かそれとも以前の王家か、そもそもこの世界国の王の血筋など入れ替わることも珍しくなく、国の移り変わりも珍しくはないこともあって王家というものの血や歴史は完全には信用しきれないもの。そこにさらに浮気や不倫など、不貞までふくめればわけのわからない家系図となることだろう。まあそういった話は本筋には関係ない。王家という歴史ある家、国における重要な立ち位置の家系、特に王家となると国を作り上げる最初、国家の樹立に関わることも珍しくはないだろう。王家はなぜ王家なのか。最初国を作るとき、王家はどうやって国を作り上げたのか。人々をまとめるにはこの世界においてはどうしても力が必要となる。その力はさまざまであるが、強力な力であればあるほど、国家を作り上げるのには役に立つだろう。何せこの世界において戦乱は珍しくなく、魔物という驚異が多く存在し特殊能力を持つ獣も珍しくない。そういった存在から守る、そういった存在を排除し安全な場所を作る、それを成すのに力が必要なのは当然のこと。その力というものはその時その時で色々話は違ってくる。基本的には集団の力、兵をまとめる将、民をまとめる王、その指揮能力やカリスマなどが多い。魔物の群れに単独で戦い勝てるという事例はそう多くないのだから。しかしこの世界には冒険者を代表に力ある存在というのは珍しくなく、それゆえに統率者が力を持っていることは別に珍しくもない話である。わかりやすい近い事例で言えばアンデールを作り上げた公也の存在になるだろう。

 ニネフォス王家もかつては最初の王が大きな力をふるいニネフォスを作り上げるに至った。テイスピースとの因縁はその国の樹立に大きく何かあったことが影響するのか、それとも歴史的な積み重ねが今まで続いた結果なのか。そのあたりの事情は不明だが、ともかくニネフォスの最初の王はとても大きな力を持っていた。しかし今のニネフォスにそのような力はない。血筋を重ねるうちに強い力を持っていた血が薄まる、あるいは不貞などで受け継がれなかった、たまたま最初の王が偶然そのような特異な力を持つ特殊な個体、突然変異のようなものだったなど、そういった事例によって今の彼らは力を持たないというのはありえなくない。というよりもこの世界において突然変異による突発的に強大な力を持ち得るということは少なくない。魔物発生と似たようにいきなりそういった子供が生まれることはある。しかしニネフォスの場合はちょっと特殊な形だった。

 ニネフォスの王、最初の王が持ち得た力は剣である。剣、一般的な武器として使われる剣。この世界には剣自体に特殊な力を持たせた魔剣と呼ばれる武器が存在するが、その延長、あるいはもっと別物なのかは不明だがそれに等しい強力な力を秘めた剣を彼は持っていたという。その剣を用い彼は強大な力を発揮し国を作り上げるに至った。しかし、それは簡単なものではなかっただろう。剣とは武器、所有し振るい扱う道具。道具ということはつまり常に自らのうちにあるものではなく、自らの外にあり、自らから常に離れることがないというわけではないということ。何が問題かといえば生まれつき持つ特殊な力とは違い奪われる可能性がある、という点だ。そういう点もあってニネフォスの王はその力を持つ剣を奪われる可能性に戦々恐々の日々だったようである。

 そしてニネフォスの王の力は国を作り上げしばらくの間は存在していたようだが、それ以後しばらくして王の活躍は聞こえなくなったということらしい。つまりその力を失った……いや、厳密にはその力を封印した。それは力を他の誰かが振るう可能性をなくすことを目的としたもの、ではない。それも目的の一つとしてあったかもしれないが、それよりも大きなことは将来的なもの。未来のニネフォスの王や、ニネフォスをまとめる者、その人物にその力を残すことを目的としたものである。剣は自らの力ではなく、残し誰かに受け継がせることのできる力ある器物。そうであるならば決して自分だけが使い続ける必要はない。また何かをきっかけに奪われたりする危険もある。ゆえにそれは誰も知らないような場所に封印、残し置いたのである。

 もちろん本当に誰も知らないのであれば偶然その剣を残した場所に入り込むことでもなければ剣は永遠に誰も知らないまま、取られることもなく振るわれることもなく、ニネフォスの役に立つようにと考え残した王の望む通りにはいかない可能性があるだろう。しかし誰もが知っていればそれを奪い持ち去ろうとすることもあり得る。ゆえにこれに関してはニネフォスの王家、その直系の血筋、その長子、あるいは王位を継ぐ者のみが知るようにという形で伝え残した。一部その話は市政に広まり根拠のないうわさとして尾ひれがついた内容となっているが、ニネフォス王家にはその本当の内容が伝わっている。そのなかには血筋が違うことももしかしたらあるかもしれないがそれ自体は問題ない。剣は特定の血をひいていなければ使えないなどということはなく、誰でも使える。だからこそ奪われることを恐れる必要があった。力を失うだけならばまだしも誰かが力を得てしまえば自分と同じように国の樹立、あるいは奪取をされる危険もあるのだから。

 まあ、そんな歴史に関しての話、昔話は重要とは言いにくい。一番重要なのは現在まで残っているニネフォスの王家……特に王であった人物はその内容を知っている。子に王位を受け継がせる際にその伝承を伝え、残すようにして言っている。今もきちんと残っているのは幸いだったのか、それとも災いだったのか。なぜならその伝承を知っているのは今はニネフォスを追われた以前の王。今のニネフォスの王はその伝承について詳しくは知らず、少し話に聞き及んだ程度。本当に存在するのかも知らず、また詳しい場所も知らないがゆえに調査にも行けない。そして、今も逃げているニネフォスの王はニネフォスの王として、ニネフォスを今の状況から取り返すことを考えている。そんな王がどうやって取り返すかといえばそれこそ昔の国の樹立に関わったといわれる伝承にある力、伝承にある剣、それに賭けるに決まっている。追われ味方も少ない彼が頼れるものはそれしかなかったのだから。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ