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暴食者は異世界を貪る  作者: 蒼和考雪
二十二章 冥精
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7





「消し飛ばすか……」

「それは困る! 精霊の調査ができなくなるよ!」

「アルディーノ。優先するべきが何かを考えて発言しろ」

「ロムニルに言われるのもどうかと思うけど、確かにそうよね」

「こちらとしてもできれば無駄に殺したくはないんだが……」

「それはどうなのかしら。エルフの村を襲ってるんでしょう?」

「ああ、いや、精霊に襲われたとかそういうわけではないんだけどね?」


 アルディーノが持ち込んだエルフの村に現れた精霊の件。別に精霊はその力を用いてエルフの村のエルフたちを無差別に殺しているとかそういわけではない。ただ、相手が精霊という存在であるため強さの差があり、またその力の恐ろしさがある。そして別に殺したりされてはいないが多少無茶ぶりというか横暴なふるまいはされている。まあそれでも相手は精霊、楽しむ意味で色々な要求はするが男を、女を好き勝手するとか、物を全部奪うとか、食料を大量に用意して毎晩宴会みたいなそういうことをしたりはしない。多少横暴でもまだ問題なく対応できる範囲ではある。

 その程度の何が問題なのか、と言えば一応現状での問題は対応できるのでそこまで大きな問題ではないとしか言えない。しかしである。今は対応できるが今後も対応できるかは不明である。それに精霊は妖精ほどではないにしても気まぐれなところがある。気まぐれに皆殺しにしてしまう、とかもありえなくはないだろう。何か起きる前に問題となり得る存在をどうにかする、対応する、そうしなければ危険かもしれない。

 それにエルフは確かに今のところ大丈夫だが、精霊がいることもあってどうにも自由な活動ができていない。外にいる生命、獣や魔物は精霊に殺されたりして地味に借りに出向くのもやり辛い状態にある。場合によっては精霊に殺されまくって近場ではもう獣や魔物を発見できなくなるということにもなりかねない。まあ精霊もそこまで無差別なことはしないと思うが、何をするかわからないのが精霊の恐ろしさでもある。


「じゃあ何で来たのよ……」

「いや、精霊が居座っている状態は安全ではないし。精霊を追い出し、ついでに捕まえて調査するとか、そうでなくとも対話してまともにどうにかしたいとか、いろいろ理由はあるかな? 僕らだけで対応するのはちょっと無理っぽかったからねえ」

「だからって他国の王様を頼らないでほしいわね。でもキミヤ、どうするつもり? 一応全員で止める気満々ではあるけど、キミヤが決めないといけないわよ?」


 一応国政に関してはほとんどのことはクラムベルトやハルティーア、アリルフィーラ辺りがやっている。そのほかキアラートから来た人員やペルシア、ハルティーアの従者がやっていたり、もちろんフェリアたちも参加してはいるが、やはりメインとしては上位者としての立場であるクラムベルトたちが主になる。しかし、やはり一番国の中で立場がある、物事の決定権があるのは公也となる。今回の件も結局公也がどう判断するかで最終的な決定が出る。


「…………俺としては、見捨てるのはしのびないと思っているし、精霊も気になるし、エルフとのかかわりも持って起きたい。だから行きたいと思っているんだが」

「そう………………」

「ご主人様がそういうのならわたしは止めないのです」

「キイ様に無理なことをしてほしくはないけど、そう決めたのなら仕方がないわ」

「公也様、無事に戻ってきて下さいね」

「ちょっとお!? 止めなさいよ!? 裏切ったわねー!?」


 ハルティーアが叫ぶ。王女、王妃らしくない行動だがそれに関しては今更だ。そして裏切ったと言っているが別に裏切ってはいない。基本的に彼女らの多くは公也の意見、決定を優先しているというだけだ。そもそも公也が本気で自分からやろうとしていることは止めることが難しい。本気で行かないでと泣き落としするくらいしか止める手段はない。この場にそれができる人物はいないし、それができるほど今回の事件が悲観的にとらえられるものでもない。ハルティーアもそこまですることはできないため公也を止められない。そもそも自分と同じような判断を期待する子おtが間違っているのである。


「ハルティーア様、気持ちは理解できます」

「クラムベルト……」

「ま、キミヤ君が決めたことを止めるのはほぼ不可能だろうしね……」

「行くのであれば私も止めるつもりはない。だが……ただ行く、というわけにもいかないだろう。そもそも相手のいる場所はエルフの村だ。エルフは人との関わりを基本的に断っている。アルディーノと一緒に行ったからと言って素直に受け入れられるものか?」

「そのあたりどうなのよアルディーノ? 助けに行きました、でも勝手に助けたのはこっちだから恩を返すつもりはありません、とかならない?」

「そう言われると困るねえ……」


 エルフの村に精霊をどうにかするため助けに行った、しかしエルフたちはその事実を認めない、そういうこともありえないことではないだろう。実際エルフたちは精霊の存在に困ってはいるが今のところ被害を受けているわけではない。実際アルディーノが村の外に持ち出さなければ今も特に変わらず精霊を迎えたままだろう、今後どうなるかわからないが、それは結局エルフという種、エルフの村に住んでいるエルフたちが解決するべき問題である。本来なら外部が関わることではないがゆえにどういう反応をされるかがわからない。


「恐らくだけど問題はないと思うんだけど。ああ、でも僕がエルフの村の場所をばらしたとか、自分たちのところの事情を言ったとかは問題になるかな?」

「エルフとの関係に関してはどうなるのかしら? 友好関係を結んだりとかはできる?」

「うーん、難しいかもね。僕は友人もいるし旅をしているから人間との関わりは気にしないけど、エルフは人間とはどうにも仲が悪いところがあるからね。人間に関わらず獣人とも仲がいいとは言わないというか、同種でも自分のところ以外とはほとんど関わらないからなあ。ああ、でも僕みたいに時々村を出て人間の街に出向いていろいろ買ってきたりとかはあるし、時々人間の商人が色々商品を持ってくることもないわけではないか」


 エルフも人間との仲は微妙で人のいる場所から外れたところで過ごしている。時折エルフを攫う人間が来ることもあって人間と仲が悪いところもあるが、人間に助けられることもあるしすべての人間と一切関わらない、干渉しないというわけでもない。村の住人だけで過ごすのは大変だし嗜好品の類を自分たちだけで用意できないこともあって商人だって来ることもある。アルディーノのように村から出て人のところに行って色々体験してくることもある。まあそれが原因か、あるいはエルフだからという理由で帰ってこないこともあるが。

 そういうこともあって公也が助けに来てそれに対して人間がしたことだから認めないとか、助けを求めていないのに助けられても恩を返す必要がない、と突っぱねるということはおそらくないだろう。ただ、やはり関係を持つ可能性に関しては微妙なところだろう。むしろエルフの村の場所を教えて今回の問題にもかかわったアルディーノの方が問題は大きいかもしれない。

 まあ、おそらく大丈夫だ、という結論になるわけである。実際に本当に大丈夫かどうかは不明だが。




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