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暴食者は異世界を貪る  作者: 蒼和考雪
二十二章 冥精
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6



「流石にそれは危険ではありません?」

「危険よね。興味はあるけど、流石に命を賭けてまで手を出すことではないわね」

「調査はしてみたいところだが、実際にその可能性が事実なら危険すぎる」

「ご主人様が無為に死ぬのは遠慮したいところなのです」

「死んでほしくないから行かないでほしい」

「ダメダメダメ! キイ様、死ぬかもしれないところとか行く必要ないから! 危険なところも今まであったけど、今回は危険も危険、何かよくわからないまま殺せる相手難でしょ! 精霊とかダメ、危ないんだから!」


「…………フルでダメだしかあ」


 公也がアルディーノの故郷に現れたらしい精霊をどうにかするために向かうこと、それに対してアンデルク城に住んでいる多くの人からは危険だから行くな、という形で泊められる。


「自由に決めちゃえばいいと思いますけどー」

「それはそうなのですが、危険に首を突っ込むのはどうかと思うのですよ」

「そもそもアンデール様にはこちらでの仕事もあります。他国からの頼みゆえにどうしても行わなければならないのならば仕方ないかもしれませんが、今回はそうではないでしょう」

「ええ? そういう風に言われるとちょっと傷つくなあ」

「エルフってそういう扱いですから。皇国でもあまり見ることのある機会はないくらいです。周辺にいるかどうかもあまり知りませんし」


 公也の好きにすればいい、という意見は出ても積極的に関わった方がいいという意見は出ない。まあ相手が相手だ。精霊というのはそれだけ強大で伝説的で脅威な存在である。それと敵対するかもしれないとなればそうなるし、今回のことはエルフが……正確にはアルディーノが持ち出して言い出したこと。別に何かする必要もないことであり、それを行うだろう公也はアンデールという国の王。王がちょっと出向いてあっさり死んでしまうような危険な事件にかかわるというのは普通なら起き得ないし、そうなるかもしれないとわかっているところに部下の方が行かせたりはしないだろう。


「まあ、ともかく無用なことはせずに大人しく自分の国で仕事をしてくださいと言いたいのですが」

「それは僕らエルフを見捨てるということかい?」

「アルディーノ、都合のいい時だけ助けを求めるのはどうなのかしら?」

「いや、確かにそれはちょっとと思うけど」

「そもそもエルフじゃなくてあなたの個人的欲求が目的で話を持ち込んできたことでしょう。エルフのことはエルフの方で解決しなさいよ」

「個人的なこと? どういうことか聞いてもいいかしら?」

「ええっと、その……精霊に関して調査できるかなーと」

「精霊も魔物扱い、魔物研究者としては確かに調査したい対象だろう。しかし、それに他者を巻き込むのはどうなのだろうな」

「…………でも公也様はなちょっと乗り気みたいですね」


 そんなことをアリルフィーラが呟き、全員の視線が公也に向く。


「キミヤ?」

「どういうつもりか聞いてもいいかしらキミヤ君?」

「今回の件に参加する必要性はありませんよね? 危険なことをに首を突っ込むのはバカだと思いますが」

「……危険は確かにわかる。だがエルフを味方につけるのも悪いことじゃない」

「本音は?」

「精霊に関しては俺も興味ある」

「………………」

「………………」

「………………」


 アルディーノが故郷の村がどうの、ということを理由に話を持ち込んだように、公也もエルフとの独自の関係を作る、という名目で精霊という存在に対する興味、関与が目的にある。アルディーノが魔物研究者としてとても魔物に興味があるように、ロムニルが魔法研究者として魔法や特殊能力など多方面に興味を持つように、公也もまた独自の研究者……とはまた違う、収集者、知識を集める者として精霊という存在に対して会う機会として今回のことは悪くないと考えている。そのあたりはアルディーノと似通っているといってもいい。精霊は今回のような機会でもなければ滅多なことで会える存在ではない。表に出てこないような存在に関われる数少ない機会、それを利用せずして如何する?

 まあ、本人の言う通りエルフとの関係を作りアンデールの独自性を高めるというのも目的にはある。それ自体は悪くない。ただ、王の命を賭けに出してまでそれをするべきかと言えばそこまでするものでもないだろう。もっとも公也が危険かもしれない、公也でも危険かもしれないというのは公也がアルディーノから聞いた精霊の名前からの推測だ。実際名前がプルート、公也の知る限りでは冥界の神の名を冠しているからとはいえ、死に関わる力を持つとも限らない。アルディーノが知る限り周囲の生き物を殺した何らかの力を持っていることは分かっているが、それで公也が死ぬとも限らない。

 だから問題ない、安心できるというわけでもないが。


「まあ、精霊は確かに強力だがどうにでもなる……というと油断しているように聞こえそうだな」

「でも死を操る力を持っているかもしれないんでしょう?」

「それはキミヤ君が言ったことではないから確実ではないと思うよ」

「名前は力なのです。名は体を表す、類似する存在の力、性質、存在、それが神の名を冠しているのであれば、それはその紙に近しい何らかの力を有するのですよ」

「え?」

「恐らくですけど、確実に死に類する力は持っている可能性は高いのです。ただ、どこまで強力なものか、どの程度の範囲まで届くか、その力の持つ性質や強さ、射程はわからないですね」


 相手が死に関する力を持っている可能性は高い。公也も名前からそのことを推測したが、この世界の外の知識を持つメルシーネはその推測がより顕著だ。ただ、それ自体は確かに問題だが問題はその力の性質。わかりやすい例で言えばヴィローサと同等の性質の力だったら危険どころではない、という話になるだろう。触れなければ殺せない、のであれば近づかなければ安全、触れないようにすれば安全。射程範囲に存在する対象をすべての死を支配できるならばその範囲を把握しそこから離れていればいい。見るだけで殺せるのならば近づいてはいけない。見えない位置から、見えないようにしてどうにかしなければいけないだろう。そんな感じに最も重要なのは相手の力が通用しないようにすることになる。そこが今もわかっていない点であるため判断のしようがないのでどうしようもないのであるが。


「もし行くなら、わたしから提案するなら容赦なく相手を遠距離から消し飛ばすことなのです。重要なのは精霊を知ることではなく問題を解決することなのですy」


 メルシーネは公也が行くならば、相手を捕まえてどうにかしよう、倒して調査しようとするのではなく、躊躇なく消し飛ばしエルフの村に起きている問題を解決すること、そうすることを提案する。それならば確かに相手がどのような存在であれ危険はない。公也の安全の意味でも問題はないだろう。それを受け入れられるかどうかはともかく。



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