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孤独と視線の間


戦いの夜、ゼロと少女には未知の変化が残された。


やがて町に不安が広がり、少女はその気配を感じ取る。



その日、少女の足は止められた。


広場へと続く道の途中。


逃げ場のない位置で、いくつもの視線に囲まれる。


ざわめきはない。ただ、誰かが一歩、後ずさる音だけがやけに大きく響いた。


中心に立つのは、あの老人だった。


その場にいる誰もが、彼の言葉を待っている。


少女の呼吸が、わずかに乱れる。


喉がうまく開かず、吸い込んだ空気が浅いまま止まる。


――数日前の戦い。


なぜ、あの場にいたのか。

なぜ、生き残っているのか。


老人の口が、静かに動く。


抑えた声が、場に落ちた。


低く、揺るがないその声に、誰ひとり口を挟まない。


その問いかけは短く、逃げ場を与えなかった。


少女は、答えられない。


指先の感覚が、薄れていく。


何かを言おうとしたはずの言葉は、喉の奥で形を失ったまま消えた。


張り詰めた沈黙が続き、その静寂が、視線を一段と鋭くした。


責めるでもなく、ただ確かめるような目が、逃げ道を塞いでいく。


侵食体を呼び寄せたのではないか。

本当に、人間なのか――。


その場にいる誰もが、同じ方向を見ている。


少女ひとりを。



胸の奥が、強く締め付けられる。


ここにいてはいけない――その感覚だけが、はっきりと残った。


彼女は、ゆっくりと視線を落とし、背を向けた。


一歩。


足音だけが、静まり返った空間に響く。


もう一歩。


背中に、無数の視線が突き刺さる。


そこに、自分の居場所はない。


振り返ることは、なかった。


そして、そのまま歩き出した。


――誰も止めない。


それが、この町の答えだった。


町の外へと続く道。


乾いた土を踏む音の先に、ひとつの影があった。


大きな体。


視線は集まるのに、誰ひとり隣には立たない。


――似ている。


それは、ゼロだった。


彼女の足が止まる。


進もうとした先を、塞ぐように立っている。


その瞳が、自分を見ているのかさえ分からない。


拒まれることには慣れていた。


だが、拒まれないことには、どうしていいか分からない。


ただ、あの町の中で感じたものとは違う何かが、そこにはあった。


 


町に拒まれた存在と、それを受け入れる存在。


 


その狭間に立たされたまま、彼女は動けずにいた。




ここまで読んでいただきありがとうございます。


この作品は、実際に見た夢を元にしてます。

そのため、雰囲気や感覚を大切に描いていきます。


次回もお楽しみ頂ければ嬉しいです!

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