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フロンティア・アイズ・マナ《VRMMORPG世界の侵略》  作者: フィガレット
第10章 アイズロード外伝『ニャーレ』

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進むフォリスの画策

 突如、姿を消したかの様に見えたフォリスだが・・・ただ死に戻りしただけだった。

 延焼ダメージが蓄積してHPがなくなりリスポーン地点に戻されただけである。

 タイミングを合わせた見事な演出でファスの人達を文字通りに煙に巻いたわけだ。


「さて、仕込みは上々といった所かな」


 フォリスは満足気に、引き続き独り言を溢した。


「これから毎日、家を焼こうぜ、ですぅ?」


 すると悪妖精のサポちゃんが喋った。しかも随分と俗っぽい事を言っている気がする。


「おや?急に人間らしい事を言うじゃないか」

「そうですねぇ。なんか急に色々と頭がハッキリした様な、むしろ曇った様な?濁った様な♪」


 先程までは反応も曖昧だったのが、とても流暢に話し始めていた。


「これは【process end】から感情因子を持つソウルが当てがわれたかな。アイズシステムの意図を感じるなぁ。お目付役といった所か・・・」


 フォリスは様々な推察から可能性の高い事象を抜粋する。

 それは高確率で事実を導き出す。


「ぽいですねぇ。多分あってますよぉ」


 サポちゃんもフワッと合意する。なんとも自然で、まるで以前からずっと一緒にいたかの様な息がピッタリな雰囲気を出していた。


「ふむ。まぁ・・・いいか。これからも宜しく頼むぞ」

「宜しく頼まれてやるですよぉ♪」


 お互いに一般的な部分とは異なる場所に本質を置いている二人は、なんともフワッとした感じに何事も執着のなく見える振る舞いの中で、なんとも言えない相性の良さを見せていた。


 こうして、リスポーン地点の丘に戻ったフォリスはラーキの集落へ向かった。

 そして、話はラーキとの出会いに繋がる。


「どうも、初めまして!仲間に入れて貰えませんか?」

「あ?なんか怪しい奴だな。ファスのスパイか?」

「むしろ逆だよ。ファスの村が気に入らなくってね」


といったやり取りから、フォリスは焼け焦げたギルドの看板をラーキに見せつけた。


「さっき、ちょっとファスのギルドを焼いてきたんだけどね♪これはお土産さ」


 それを見たラーキは驚いた表情を見せた後、ニヤリと笑って見せた。


「やるじゃねぇか。で、お前の望みはなんだ?」


 ラーキはフォリスが何かを要求して来ると考えた様だが、


「ん?私の望みはファス村の連中よりもこちらの方が優れていると見せしめる事かなぁ。でもそれが出来る適任は貴方だと私は思うんだよね」


 優れた嘘つきは、嘘に真実を混ぜる、もしくは・・・嘘は言っていないが、本質を隠す絶妙な言い回しで相手を煙に巻く。それは彼がファスの人達に言い放った『辻褄合わせと納得を必要とする本気』に準じていたのかも知れない。


 ラーキとフォリスの邂逅に居合わせていたラーキの信者である【レイラ】がそこに口を挟んだ。


「なんか怪しい奴よね。なにか企んでそう。そう簡単に信じていいの?」


 案外と鋭い事を言う。見た目が好みと言う理由だけでラーキに付き従う彼女の行動は短絡的の一言だったが、たまにとても本質をついた事をいう時がある。一周回って裏の裏は表であるかの様に。


「君はラーキのツガイかい?随分と可愛らしい方だ。二人の邪魔をしてしまったのなら本当に申し訳ないよ。それにしてもお似合いだね。二人ともとても魅力的で常人とは違うオーラを感じるよ!」


 フォリスはとりあえず褒めてみる。


「あらぁ!なんだ、いい奴じゃない♪」


 ちょろかった。ラーキと恋人に見えると思われただけで上機嫌である。


「ん?なんだ?レイラに惚れてるのか?」


 ラーキは訝し気にフォリスを見る。なんだ、ラーキはラーキで気がない素振りを見せながらもレイラの事を気に掛けているようだ。これは所謂いわゆる、嫉妬という奴なのだろう、と思いつつもフォリスは適当に誤魔化す。


「あぁ、私は栗鼠と悪魔のハーフだからね。人間の恋愛感情についてはよく分からないし持ち合わせていないよ?それよりも私は君達の手伝いをしたいんだ。私の目標を達成するには君達を手伝うのが一番、最適だと思うんだ。むしろ君達しか・・・いや、君しか出来ないとすら思っている」


 フォリスは適当に誤魔化した上で、真剣な表情でラーキに取り入ろうとする。全てが計算通りだった。君しか出来ない、その言葉はラーキにとってキラーワードだった。


「わかってるじゃねぇか」


 ラーキは上機嫌になる。

 レイラはレイラでラーキが嫉妬してくれた事に舞い上がっていて、もはや会話の内容など聞いちゃいなかった。


「今晩、ファスの奴らに対抗してヴィラインがどう動くかをコウメイを中心にして会議する。全員参加の会議だ。お前も参加しろ」


 これに間に合わせる為に、早急に行動を起こした。フォリスは思惑通りに会議の参加に漕ぎ着けることが出来た。


「ぜひ!私が得たファスの情報は役に立つと思うよ」

「上出来だ。期待してるぞ。じゃぁ会議でまたな」


 そして、ラーキとレイラは去って行った。


・・・


「いやぁ、うまく行き過ぎて拍子抜けだなぁ。まぁ、いいか」


 フォリスは想定外の事が起きるのも視野に入れていたが、すんなりとヴィライン会議に参加出来た事に安堵した。


「さて、サポちゃん。夜まで暇になってしまったんだけど、ここでぼーっとしてるのも退屈じゃない?」


 フォリスはサポちゃんに話しかける。


「そうですねぇ。フォリスさんの小粋なジョークで間を持たせるにも無理がある時間の長さですよねぇ」

「なんで常に私が君を楽しませ続ける事が前提なのかは謎なんだが・・・。というか『フォリスさん』とか他人行儀な呼び方もなんだな。私は『ちゃん』付けで呼んでいる訳だし、それではまるで私の方が偉いみたいじゃないか」

「普通は当てがわれたAIに対して、対等と思う方が異常なんですが?」

「いや、私は何も出来ないわけだし。戦闘もクラフトもサポちゃん任せだぞ?ぶっちゃけヒモだ」

「いや、自信満々にヒモ宣言されましても・・・あ、そうだ。皮肉も込めてマスターって呼んであげますよぉ♪」

「うわぁ・・・それは素晴らしく皮肉が効いてるなぁ・・・」

「で、時間潰しと銘打って、なんかお願いしようとしてたんでしたっけ?」

「いや、そうだけど。君、賢すぎない?色々と上手い事、乗せて操ろうとしてた私が愚かだった様だな。すまない」

「お?そこで素直に謝るマスターは結構、好感もてますよぉ♪サポちゃんポイント3点あげちゃいます!」

「なに、そのポイント?!初耳なんだが?まぁ、さっきも言ったが私はヒモだからなぁ。マジでサポちゃん頼みな所もあるし、せいぜい、サポちゃんポイントを必死で貯める様に努力するかぁ」

「わらわら♪で、何をして欲しいのですぅ?」

「わらわらってわざわざ口で言う奴を始めて見たな。まぁいい。実はさっきの話で出てた会議に参加する前に情報を得ておきたいんだ」


 実はファスの会議の内容は全部知っているが、その知識をそのまま使う訳にはいかない。運営視点でディアを通して知った情報は外部に漏らせないのだ。その辻褄合わせの為に、サポちゃんにお願いした事は二つだった。


「欲しい情報は・・・と言うよりは、やって欲しい事はニャーレの会話情報、それとファスの建築途中である教会とその周囲の俯瞰観察だな」


 この行動の意図は、先日のファス会議の中での重要内容を推察出来る情報を集める事である。


「盗聴は不味いからサポちゃんの裁量で抜粋してもらう必要がある。俯瞰情報は多分視覚共有で問題ない」


 まず欲しかったのが水源を確保する為に獲得を目指す黒獅子の森の情報と、黒獅子自体の存在の情報である。これはサポちゃんに姿を隠してニャーレに張り付いて盗聴して貰う事で高確率で手に入ると予測された。


 加えて、教会のある丘を中心とした周囲の6カ所を纏めたエリアを今後のファスの街開拓エリアとする方針。そして、それらを各々の部門責任者がトップとなり街を構築するという情報。


 欲を言えば、そのエリアは恐らくは各部門リーダーが支配域として登録される事が予測される為、誰がどのエリアを任されたのか、知って置きたかった。現在、ファス村はファスの街と変貌を遂げるべく忙しなくエリア整備が行われている。それを俯瞰で見ればフォリスなら誰が指揮をとっているか、誰が代表か見分けるくらいはやってのける。普通は無理なのだが、フォリスは人の行動から心理を読み解く精度が常軌を逸していた。


 これにより、フォリスは会議の事前知識を持っている矛盾するを全て辻褄を合わせてしまった。そして・・・ヴィライン会議に挑む。

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