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悲恋の大空  作者: 暴走機関車ここな丸
第3傷『新緑』

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第13話「また会える日まで」前編

[???]

 「ちょっと待ったーーー!!」




 モブ女集団と、不尾丸達の前に現れたのは……?




[不尾丸 論]

 「!?」



[音乃 渚]

 「論、上を見て下さい!」



[不尾丸 論]

 「上っ!?」




 その時……周囲の視線は、物寂しいイベントステージへと集まる。






 パーパーパパッーー!♪






[不尾丸 論]

 「何この音……」




 ☆☆☆




[ワガナカ・イエロー(嫉束)]

 「幸せいっぱい! ワガナカ・イエロー!!」



[ワガナカ・マゼンタ(巣桜)]

 「や、優しさ大事……ワガナカ・マゼンタぁ〜……」




 ──何かが始まった。




[ワガナカ・オレンジ(刹那)]

 「元気いっぱい!! ワガナカ・オレンジー!!!」



[ワガナカ・レッド(笹妬)]

 「俺はやらない……」



[ワガナカ・ブルー(狂沢)]

 「大声なら得意です!!! ワガナカ・ブルー!!!!!」



[ワガナカ・イエロー(嫉束)]

 「最強戦隊、ワガナカファイブ!☆」






 バーーン!!!






 全身タイツ姿の、黄・赤・青・桃・橙……合わせて5人の戦士達が、不尾丸達の前に現れたのであった。




[不尾丸 論]

 「バーン……じゃねぇよ! あと……5人中4人暖色で、寒色が青しかいないの気になるな〜」



[音乃 渚]

 「そこ気になるんですね!」



[原地 洋助]

 「論!」



[仁ノ岡 塁]

 「大丈夫か!?」




 原地と仁ノ岡が、不尾丸の姿を見つけて駆け寄ってくる。




[原地 洋助]

 「……心配したよ」



[仁ノ岡 塁]

 「無事で良かった!」



[不尾丸 論]

 「お前ら……ふへへ」




 3人は、互いに向き合って微笑み合う。




[音乃 渚]

 「論、()いお友達を持ちましたね。 大事にしましょうね」



[不尾丸 論]

 「あんたに言われなくたって……」



[仁ノ岡&原地]

 「…………」




 仁ノ岡と、原地は気まずそうに黙っている。






 ビュンッ……!!






 その静けさを断ち切るように、不尾丸達の横を何者かが横切る。




[土屋 遊戯]

 「なっちゃん〜!! 会いたかったよ〜♡」



[音乃 渚]

 「ゆうくん♪」




 感動の再会と共に、周りの目なんて気にせず、涙して抱き合うふたり。




[花澤 岬]

 「なんとか、退学は(まぬが)れたな」



[古道 大悟]

 「あはは…………ん?」






 ざわ……ざわ…………。






[夢女子A]

 『まさか!? や、やや、男×男(やおい)……!?』



[夢女子B]

 『BLは地雷なの!!』



[夢女子C]

 『もう界隈やめますっ!!』

 

 


 土屋と音乃が抱き合う光景を見て、周囲の一部の女子達は、腹を立てているようだった。




[笹妬 吉鬼]

 「急にどうしたんだ?」



[巣桜 司]

 「そうか……夢◎腐×!!」



[狂沢 蛯斗]

 「ゆめにじゅうまるふばつ……?」



[刹那 五木]

 「何それ〜?」



[巣桜 司]

 「イケメンを愛でたい気持ちはあるけど、イケメン同士の絡みは求めていない人達のことです」




 この手の話題に少し詳しい巣桜が、得意げに語る。




[嫉束 界魔]

 「なるほど!」




 嫉束は隣に立っている笹妬を、強引に抱き寄せる。




[笹妬 吉鬼]

 「うわっ、なんだよ!」



[嫉束 界魔]

 「みんなー!! 隣の人と抱き合って!!」




 嫉束は、周囲の男子達に大声で呼び掛ける。




[巣桜 司]

 「えっ///」



[狂沢 蛯斗]

 「それになんの意味が……」






 きゃ〜〜〜!!!!!






[夢女子D]

 『やめてー!!』



[夢女子E]

 『おぞましい〜〜!!』




 一斉に目を覆い隠し始める、夢女子達。




[狂沢 蛯斗]

 「なるほど!」



[巣桜 司]

 「っ……きゃっ」




 理解した狂沢が、巣桜の胸に飛び付く。




[巣桜 司]

 (ぼくの腕の中に!! ツンデレの狂沢くんが自ら!?)



[巣桜 司]

 「狂沢くん……ふふっ、可愛いです♡」




 その時、巣桜達の背後から……。




[刹那 五木]

 「おれも混ぜてよ!」



[巣桜 司]

 「!?」




 大柄な刹那が、小柄な狂沢と中肉中背(ちゅうにくちゅうぜ)の巣桜を、後ろから包み込む。




[狂沢 蛯斗]

 「ふぇっ……!?」



[巣桜 司]

 「おおおいぃ、要らねぇんだよ!!」



[刹那 五木]

 「え、なんで巣桜くんガチギレ??」




 刹那には、巣桜が何故怒っているのか分からない。




[巣桜 司]

 「離せ!! この百合の間に挟まる〇〇〇〇〇……が!!」



[刹那 五木]

 「わっ!? 放送禁止用語!!?」



[狂沢 蛯斗]

 「かはっ、かはっ……」




 ふたりに挟まれて身動きが取れない狂沢は、息が出来なくて苦しんでいた。




[夢女子A]

 『酷い! こんなのあんまりよ!』



[夢女子B]

 『男同士で仲良くするな!』



[夢女子C]

 『あたしを取り合いなさいよーー!!』




 断末魔を叫びながら、次々と夢女子達が()ぜて消滅していく。




[不尾丸 論]

 「何が起こっているんだ……」



[仁ノ岡 塁]

 「まさに混沌!」



[原地 洋助]

 「誰かツッコミ入れて……」




 1年生トリオは、肩を寄せ合って隅のほうで震えている。




[音乃 渚]

 「まぁ、なんと言うことでしょう」



[土屋 遊戯]

 「おえ、他人のホモはやっぱ見ててきついね……」



[古道 大悟]

 「オレはもちろん、岬とくっつく〜♡」



[花澤 岬]

 「てか俺達、何やらされてるんだ?」






 ピカーン……!!






 その時、空が一瞬明るくなる。



 その場にいる全員が、空を眺めた。




[笹妬 吉鬼]

 「……は?」



[嫉束 界魔]

 「ねぇ……吉鬼。 僕達、夢を見ているわけじゃないよね?」




 暗い紺色の夜空は一瞬にして、禍々しい緑色へと変わった。



 ……。




 ──そろそろ起きる時間です。



 ──そろそろ起きる時間です。



 ──そろそろ起きる時間です。






 ジリリリリリ!!






 目覚ましの音が聞こえる。




[朝蔵 大空]

 「……朝」




 私の名前は、朝蔵大空。



 高校2年生の、友達の少ない女の子。




[朝蔵 大空]

 「起きなきゃ……」




 私はいつものように着替え、朝食を食べ学校に行く。



 ひとりで通学路を歩く、教室に行く。




[永瀬 里沙]

 「大空おはよ! ギリギリ間に合ったね」




 この子は私の中学からの親友、永瀬里沙ちゃん。




[朝蔵 大空]

 「え?」




 時計を見ると、朝のホームルームまであと2分前だった。




[朝蔵 大空]

 「あっ」



[二階堂先生]

 「みんな、おはよう。 んじゃ、ホームルーム始めっぞ〜」




 そんなに家出るの遅かったかな……?




[文島 秋]

 「そろそろ生徒会選挙のシーズンだな」



[木之本 夏樹]

 「興味ねぇ〜」




 このふたりは、木之本夏樹くんと文島秋くん。




[永瀬 里沙]

 「昨日の《《花火大会》》楽しかったね〜!」



[朝蔵 大空]

 「うーん」




 あれ?




[文島 秋]

 「どうしたの、朝蔵ちゃん?」



[朝蔵 大空]

 「あ……その、今日誰か休んでるの?」



[木之本 夏樹]

 「休み?」



[永瀬 里沙]

 「誰も休んでないわよ?」




 私がよく話す人、1番目に里沙ちゃん、次に文島くん、そして木之本くん……。




[永瀬 里沙]

 「てかさ、やっぱ次の生徒会長は文島くんが狙ってる感じ〜?」



[文島 秋]

 「一応、ね」



[木之本 夏樹]

 「投票だり〜」




 うん、そうだよね。



 私の友達は、この3人だけ。




[二階堂先生]

 「ほんじゃ帰りの会終わり、お前ら気を付けて帰るんだぞ〜」




 何も特別なことが起きることも無く、あっさりと終わった学校生活。




[二階堂先生]

 「雨降ってるな……お前ら、廊下はくれぐれも走らな……」



[永瀬 里沙]

 「部活だぁああ!!!」




 先生の言葉を無視して、ダッシュで部活へ向かう里沙ちゃん。



 私も、帰らなきゃ。




[朝蔵 大空]

 「げっ、傘忘れた……」




 私は、折り畳み傘を忘れてしまった。




[朝蔵 大空]

 「そんなに降ってないし、無しでも帰れるか……」




 そう判断した私は、傘を差さずに帰路へと進む。






 ザァ……!!






[朝蔵 大空]

 「えー、最悪……」




 学校を出る時は小雨だったのに、途中から本降りへと変わった。



 私は近くの公園へと駆け込み、雨宿り出来るベンチへと座る。




[朝蔵 大空]

 「ちょっと休も」




 雨が弱くなったタイミングでまた出発しよう、そう考えた私は静かに待つ。



 ──15分後。






 ザァー!!






[朝蔵 大空]

 「……」




 どうしよう、全く止む気配が無い……。



 これもしかして、夜中降るやつ?




[朝蔵 大空]

 「はぁ、ついてないな…………ん?」



[白い仔猫]

 「にゃあ……にゃあ」




 猫の鳴き声が聞こえる、私は声のするほうを振り向く。




[木之本 夏樹]

 「可愛すぎんだろ……」



[白い仔猫]

 「にゃあ〜」



[朝蔵 大空]

 「木之本くん!!?」




 木之本くんが、野良猫に傘を差して腰を下ろして、仔猫を撫でている。




[木之本 夏樹]

 「うぇっ!? そ、大空ちゃ……ん!」



[朝蔵 大空]

 「えっ?」




 今、木之本くんが私の下の名前を呼んだ……?



 そんな呼び方、今までされてたっけ??




[木之本 夏樹]

 「こ、こんな所で何してんの?」



[朝蔵 大空]

 「木之本くんこそ……」



[木之本 夏樹]

 「俺は、この野良猫を見つけて……」



[白い仔猫]

 「にゃ」



[朝蔵 大空]

 「ああ……私は、傘を忘れてしまって」



[木之本 夏樹]

 「雨宿りしていた、と言うわけか」




 なんか恥ずかしい……。




[朝蔵 大空]

 「まあ、お構いなく」



[木之本 夏樹]

 「ん!」




 気付くと木之本くんが私の隣まで来ていて、私に自分の傘を差し出す。




[朝蔵 大空]

 「な、何?」



[木之本 夏樹]

 「俺の! 俺の傘、入りなよ」



[朝蔵 大空]

 「オレノカサハイリナヨ……?」




 それってまさか、相合傘!!?



 そんなのダメだ、だって私には愛しの…………。




[朝蔵 大空]

 「愛しの……」



[木之本 夏樹]

 「え?」




 あれ、私……なんて言おうとしたんだっけ?




[木之本 夏樹]

 「か、風邪ひくぜ! ほら!」



[朝蔵 大空]

 「あ、ありがとう」




 私は木之本くんの隣に立ち、一緒の傘に入らせてもらう。




[白い仔猫]

 「にゃ……」



[朝蔵 大空]

 「その子、連れてくの?」



[木之本 夏樹]

 「し……心配だし、一旦うちに連れて行こうと思って」



[朝蔵 大空]

 「へぇ、木之本くんって優しいんだね」



[木之本 夏樹]

 「は!? べべべ別に優しくねーし!」




 別にそこ否定しなくても良いのに……。




[朝蔵 大空]

 「木之本くんの家って、この近く?」



[木之本 夏樹]

 「うん、もうすぐ着くけど……寄ってく?」



[朝蔵 大空]

 「え!」



[木之本 夏樹]

 「え!!!?」




 な、なんで木之本くんのほうがびっくりしてるの!?




[木之本 夏樹]

 「ちちち、違うんだ! へ、変な意味とかじゃなくて!!」



[朝蔵 大空]

 「う、うん」



[木之本 夏樹]

 「あ、俺ん家着いたわ」




 ふーん、木之本くんの家……。




[朝蔵 大空]

 「えっ、でっか!!」




 思わず、少々下品な言い方をしてしまった。




[朝蔵 大空]

 「ほ、ほんとにここが木之本くんのお家なの!?」




 明らかに庶民の家ではない、貴族様が住んでいそうな御屋敷が、目の前に佇んでいた。




[木之本 夏樹]

 「あ、やっぱりびっくりされるよな〜……」



[朝蔵 大空]

 「え! え? え!?」




 き、き、き、木之本くんお坊ちゃま(そう言うキャラ)だったのぉ!!?




[木之本 夏樹]

 「だ、誰にも言わないでくれ……俺の家がこんななの、学校の奴だと文島ぐらいにしか話してないからさ」



[朝蔵 大空]

 「う、うん。 言わないけど……」



[木之本 夏樹]

 「そ、それで、マジで寄ってく?」



[朝蔵 大空]

 「ゴクリ……」




 悔しいけど、ちょっと気になる。



 ──いざ、木之本キャッスルへ。






 つづく……。

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