表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悲恋の大空  作者: 暴走機関車ここな丸
第3傷『新緑』

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

76/76

第12話「オータムフェス」後編

[アリリオ]

 「えーと今、緊急で動画を回しています」




 配信者的なノリで突然、淡々と実況し始めるアリリオ。




[アリリオ]

 「某花火大会会場で……頭部が切り離された女子高校生の遺体が、発見されました〜」



[加藤 右宏]

 「ン?」



[朝蔵 夕唯]

 「ん……?」




 それを、ふたりは珍しそうに眺めている。




[アリリオ]

 「あーごめん、このネタ伝わんなかったぁ〜。 で……これ、どうする?」



[加藤 右宏]

 「とりあえズ。 人目の届かない場所に移動すっゾ!」




 ミギヒロは、大空の首から下を……アリリオは、大空の頭部を抱きかかえて持つ。






 ピカーーーン!!






[如月 凛]

 「貴方達〜〜〜! 何をやってるのですか〜〜〜!?」




 暗い空の中から光の輪と共に、リンが飛び出て来る。




[朝蔵 夕唯]

 「……」



[如月 凛]

 「おおっと……あ、貴方は……!?」




 凛が目の前の男を見て、ギョッとして立ち止まる。




[アリリオ]

 「ふーん……君が噂の、アサクラ ユイ さん?」




 アサクラ ユイ、青黒い頭髪に、真っ黒な目の青年。




[朝蔵 夕唯]

 「うん……人が死んだって言うのに。 みんな冷静だね」




 目は()わり、表情は眉ひとつ動かさない。




[加藤 右宏]

 「まぁナ」




 ミギヒロとアリリオが、ひとりの人間の死に動じることは無い。



 悪魔だったから。




[アリリオ]

 「ひとりを除いて……ね」




 アリリオは、とある人物のほうに視線を移す。




[如月 凛]

 「シン! 大丈夫ですか?」



[卯月 神]

 「……」



[如月 凛]

 「って……大丈夫なわけないですよね」




 卯月は、その場で膝を着いて返答が無い。



 瞳を閉じて、ただ静かに俯いている。




[如月 凛]

 「ソラ様……」




 木陰には頭部を切断され、動かなくなった大空が横たわっている。



 生命活動が止まり、冷えゆく肉の物体と化している。






 シュー…………ボッ……。






[如月 凛]

 「あっ!」




 リンが駆け寄ると、大空の胸付近から何かが捻り出てきた。



 その何かの正体は、" 青い火の玉 " だった、それをリンがそっと掬い取るのだ。




[如月 凛]

 「よかった、まだ温かい……」




 ホワホワと、心地好い温度の火の玉は、リンの手の中を細かく揺れる。



 リンは安堵した、けれど次の瞬間 ──。






 シュバッ……!!






[アリリオ]

 「もーらいっ!」



[如月 凛]

 「っ……ちょっ!?」




 アリリオが大空の魂を、軽快な身のこなしでリンから奪い取る。




[加藤 右宏]

 「アリリオ、ナイスゥ〜」



[アリリオ]

 「〜♪」




 大空の魂は、悪魔陣営の元へと奪われてしまった!




[如月 凛]

 「酷すぎます! シンに、人殺しをさせるなんて!!」



[加藤 右宏]

 「今更何言ってんダ? ンなの、《《最初から》》ダろ」



[アリリオ]

 「呪いを完成させるには、天使に殺人をさせなければならない。 そうだったよね、王子?」



[加藤 右宏]

 「あア」



[如月 凛]

 「は……」




 一切悪びれることの無い悪魔に、リンは言葉を失ってしまう。




[朝蔵 夕唯]

 「……」




 夕唯は何も言わず、卯月の肩に手を置く。




[卯月 神]

 「……」



[朝蔵 夕唯]

 「じゃ……」



[加藤 右宏]

 「ドコへ行くんダ?」




 夕唯が草の上に落ちていた、大空の簪を拾い上げる。




[朝蔵 夕唯]

 「……在るべき所へ帰る」




 そう言い残して夕唯は、簪を握ったまま暗闇の中へと消えて行ってしまった。




[加藤 右宏]

 「相変わらズ、さっぱりしてるナー!」



[アリリオ]

 「感情が無いもんね、彼。 アサクラユイ、興味深い……」




 夕唯が消え、重苦しい空気が少しマシになる。




[卯月 神]

 「……」



[如月 凛]

 「さぁシン、貴方も。 《《行くべき》》所へ」



[卯月 神]

 「……はい」




 リンが卯月の手を取り、卯月が立ち上がったと同時に引き連れて行く。




[加藤 右宏]

 「お別れの言葉は?」



[卯月 神]

 「……」




 ミギヒロの言葉に、卯月は足を止めてしまう。




[如月 凛]

 「さぁ、急ぎましょう」



[アリリオ]

 「あれれ? 見ていかないの? 《《蘇生》》」



[如月 凛]

 「貴方達で勝手にやって下さい、シンをこれ以上追い詰めないで。 全部知ってるくせに」




 リンは冷たい目でアリリオを見る、その後は振り返ることも無く、卯月を連れて光の輪の中に消えた。




[アリリオ]

 「あはは、怒られちゃった」



[加藤 右宏]

 「ヨシ、やるゾ」



[アリリオ]

 「はーい」




 アリリオは先ほどの火の玉を両手で持ち、大空の死体の傍へと歩き出す。




[アリリオ]

 「フフフ」




ミギヒロの死角では、アリリオは不敵な笑みを浮かべていた。




 ……。



 その頃、男子達は……。




[刹那 五木]

 「ふぅ、ここまで来れば安全かな?」



[巣桜 司]

 「はぁ、はぁ、つ、疲れたっ……」




 巣桜は膝を抑えて、肩で息する。




[笹妬 吉鬼]

 「なんでこうなるんだよ」



[狂沢 蛯斗]

 「この人のせいです!」




 狂沢が、嫉束を指差す。




[嫉束 界魔]

 「なんで僕!?」




 男子達は、発情したモブ女子達から、逃げて来ていた。




[狂沢 蛯斗]

 「貴方が女性を誘惑するから、会場が大混雑になったんです!」



[嫉束 界魔]

 「してないよ! 誘惑なんて!!」




 狂沢に責任を追及された嫉束は、急いで否定しようとする。




[仁ノ岡 塁]

 「フッハッハッハーっ、我の魅了スキルはやはり最強だな」



[原地 洋助]

 「はぁ……はいはいっ」




 ナルシズムを炸裂させる仁ノ岡を、原地が軽く受け流す。




[狂沢 蛯斗]

 「おや? 彼らは……」



[刹那 五木]

 「おー! 1年ズじゃーん」




 狂沢と刹那が、離れた先にいる仁ノ岡と原地に気付く。




[原地 洋助]

 「うわ」



[仁ノ岡 塁]

 「むむっ、我らのことか?」




 2年生組が、仁ノ岡と原地の元へと駆け寄る。




[原地 洋助]

 「あっ……!」




 すると突然、原地が何かに気付き辺りを見渡し始めた。




[巣桜 司]

 「ど、どうしたんですか?」



[仁ノ岡 塁]

 「洋助?」



[原地 洋助]

 「論がいない!!」




 サンコイチのリーダーである不尾丸が、この場に居ない。




[嫉束 界魔]

 「えっ!?」



[笹妬 吉鬼]

 「友達か?」



[嫉束 界魔]

 (あの生意気な原地くんが、見たこと無い焦り方してる……)




 イメージとは違う、原地の見たこと無い姿に、嫉束は驚いていた。




[原地 洋助]

 「そんなっ……」



[仁ノ岡 塁]

 「と、途中ではぐれてしまったのか」



[刹那 五木]

 「ん? ねぇ〜、電話してみたら?」




 原地は刹那の声が聞こえていないようで、夢中で付近を歩き回り、時々立ち止まって遠くを見つめる。




[仁ノ岡 塁]

 「待ってくれ〜洋助!!」




 仁ノ岡が原地の後に続き、走り出す。




[刹那 五木]

 「あれれ……?」



[嫉束 界魔]

 「ねぇ! 僕らも一緒に、探してあげようよ!」



[狂沢 蛯斗]

 「……緊急事態のようですね」




 仁ノ岡達を追い掛けるように、嫉束と狂沢は他を3人を置いて行く。




[笹妬 吉鬼]

 「おい、界魔! ……はぁ、やれやれ」



[巣桜 司]

 「あっ! お、置いてかないで下さい、狂沢く〜ん!!」




 笹妬と巣桜はふたりの背中を追い掛け、走って行ってしまった。




[刹那 五木]

 「みんな行っちゃった……へへ、面白い! おれも行こ」




 ── 上空に、黒い影が2つ並ぶ。




[加藤 右宏]

 「間抜けな奴らだゼ」



[アリリオ]

 「さぁ。 サンプル達には、1箇所に集まってもらうよ」




 ……。




[古道 大悟]

 「はぁ〜、やっと撒けた〜」



[土屋 遊戯]

 「もうっ! この、ぼくに長距離を走らせるって、どう言うこと!!? んーもっ、マジ有り得ないんだけど!!!」



[花澤 岬]

 「静かにしなさい」




 一方その頃、別の所に逃げて来ていた上級生達。




[土屋 遊戯]

 「あー!! ちょっと待って、なっちゃんがいないよ!!?」



[古道 大悟]

 「あ、ほんとだ。 別の道に逃げたのかな?」




 そこには、音乃の姿だけが無かった。




[花澤 岬]

 「いや、あの人は運動不足だろうから。 恐らく、奴らに捕まったんだろ」



[古道 大悟]

 「えっ!? やばいじゃん?!」



[花澤 岬]

 「別にやばくないだろ」



[古道 大悟]

 「み、岬はカイチョーが心配じゃないの?」



[花澤 岬]

 「全く」




 古道は、音乃のことを全く心配しない花澤に、困惑する。




[土屋 遊戯]

 「おい! お前ら、なっちゃんを助けに行くのを手伝え!!」



[古道 大悟]

 「ウッ……あんな大勢の女子達の所に、また戻るの……?」




 古道は青ざめた表情のまま、肩を落とす。




[土屋 遊戯]

 「これは命令だぞ! 絶対に従ってね! さもないと退学だからな!!」



[花澤 岬]

 「チッ、仕方無い。 戻るぞ、大悟」



[古道 大悟]

 「え……う、うん!」



[土屋 遊戯]

 「疲れた!! おんぶしろ!!!」



[古道 大悟]

 「え、え〜?」




 断れない古道は、土屋を自分の背中に乗せる。



 そして、音乃を助けに行く為、3人は来た道を戻って行った。




[アリリオ]

 「よし、こっちも行ったね」



[加藤 右宏]

 「残りのふたりは?」



[アリリオ]

 「えーっと……こっちみたい!」



[加藤 右宏]

 「ヨ〜し、急げ〜!!」




 ……。



 この頃の不尾丸……。




[不尾丸 論]

 「車椅子も失くしたし、塁と洋助はオレを置いてくし、ガチで疲れたし、最悪」




 フラフラの足で壁を伝って、駅前を歩いていた不尾丸。




[不尾丸 論]

 「そして、マジで最悪なのが……」






 ぐーぎゅるるるるる……。






[音乃 渚]

 「お腹が空いたので、何か食べませんか?」



[不尾丸 論]

 「この人が一緒だって言うねぇ……」



[音乃 渚]

 「ん? 何か言いました?」




 不尾丸の小言は、音乃の耳には届いていない。




[不尾丸 論]

 「いいえ♪ ぼくは何も言ってませんよ、会長さん♪」



[音乃 渚]

 「……そうだ!!」



[不尾丸 論]

 「!?」




 音乃はいきなり、不尾丸の前で腰を下ろす。




[音乃 渚]

 「論!」



[不尾丸 論]

 「何?」



[音乃 渚]

 「ワタシの背中に乗って」



[不尾丸 論]

 「は……? いい……」




 不尾丸は後ろに退き、音乃の提案をやんわりと断る。




[音乃 渚]

 「どうして? 疲れたのでしょう?」




 音乃は不思議そうな顔をして、不尾丸の顔を見る。




[不尾丸 論]

 「疲れたとしても、あんたの背中には乗らないよ」



[音乃 渚]

 「遠慮しないでっ!」



[不尾丸 論]

 「く……来るなぁ」




 音乃は、背中を向けたまま不尾丸に迫る。




[不尾丸 論]

 「ちょっ……」



[音乃 渚]

 「さ、車椅子さん探しに行きましょう!」




 不尾丸は音乃に、力ずくで背中に背負われてしまった。




[不尾丸 論]

 「おい! マジで要らねぇってそう言うの!! 降ろせよ!」



[音乃 渚]

 「暴れない♪ 暴れない♪」




 不尾丸は、本気で音乃を拒絶する。




[発情メスA]

 『きゃあ〜♡ 何あれ!!♡』



[発情メスB]

 『うお♡ おにショタ最高〜♡』



[発情メスC]

 『あーん♡ あの間に挟まりたいわぁ♡』




 その時、嫌らしい視線がふたりに集まる。




[不尾丸 論]

 「!!」



[音乃 渚]

 「おや?」




 発情した女子達は、不尾丸達の周りを囲み、逃げ道を塞ぐ。




[不尾丸 論]

 「やばい……!」



[音乃 渚]

 「まぁ……困りましたねぇ」




 焦る不尾丸、呑気な音乃。




[発情メスD]

 『捕まえちゃう!♡』



[不尾丸 論]

 「もうダメだ、終わった」




 ── と、不尾丸が絶望したその時。




[???]

 『ちょっと待ったーーー!!』






 「オータムフェス」おわり……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ