69話 参加者選抜
待ちに待った夏季休暇
だがその前に、やらなきゃいけないことがある。
やるというか、参加するというか。
「今年も晩餐会の時期ですねえ」
サラがニコニコしながら言及している晩餐会。
夏季休暇前恒例の晩餐会だ。
去年はサラに開催してもらうために口添えすることになったが、今年はサラがこのようにすでに開催する気になってくれている。
どんな心境の変化かはわからないがこれでエメラルド達も心労が重なることはないだろう。
何よりだ。
「去年は挨拶ばっかり聞いてて兄さんとあまり一緒にいられませんでしたが、今年は最初から最後までずーっと兄さんと一緒にいますね!楽しみです!」
理由はそれか!
皇帝を独り占めとかとんでもない。
サラが望むなら文句を言うやつなどいないだろうが、痛すぎる視線を浴び続けるなんて俺の神経がすり減ってなくなってしまう。
サラの気持ちは嬉しいが、なんとかせねば。
「サラ、俺ももちろんサラとずっと一緒にいたいよ?」
「ありがとうございます!私もです!」
「でもね、兄ちゃんはな、もっとしたいこともあるんだ」
「もっと、したいことですか?」
サラが真剣な眼差しになる。
俺のしたいこととは何かと、一言一句聞き漏らすまいと耳を澄ましている。
そんなに真剣だと困ってしまう。
俺はできるだけ和やかに、にこやかに口を開いた。
「サラが皇帝として立派に貴族たちの挨拶を聞く、その姿を見たいなあって思ってるんだよ」
俺はサラが頑張ってる姿を見るのが好きだ。
サラが立派に皇帝の職務を果たしている姿を見ると誇らしい気分になる。
アニバカと言うなかれ。
そんな俺の言葉に
「兄さんが望むなら喜んで!」
サラは元気いっぱいに、頷いてくれたのだった。
---
サラは別れ際
「兄さんの周りで参加したがってる方がいらしたら、どなたでも招待してくださいね?」
こんなことを言ってくれたがやんわりと断っておいた。
皇帝主催の晩餐会の招待券。
貴族なら誰しも喉から手が出るほど欲しがるプレミアチケット。
この好意に甘えてうちの派閥全員を参加させてもらってもいいのだが、さすがにそれはアルヴィス達に喧嘩を売り過ぎだろう。
ちなみにノヴァは喧嘩を売りたい派だ。
「晩餐会で、陛下の目の前で白黒つけるのは楽しいだろうねえ」
とか嬉しそうに言ってた。
だがサラの目の前で殺し合いなんて冗談ではない。
当然だが却下した。
ノヴァも「もちろん冗談半分だよ」とのことで、ゴリ押ししてくることなくよかった。
半分は本気だから気をつけよう。
結局、うちの派閥からはリゼルを始めとする爵位貴族と騎士数名にしておいた。
この騎士達はうちの派閥最初期からのメンバーだ。
派閥活動には熱心だが、地位は低い。
皇帝主催の晩餐会に出席することなど夢のまた夢だった者達だ。
彼らを選抜したのはノヴァ。
「こんな下級騎士達を晩餐会に招待したら、さぞやアルヴィスは苛ついてくれるだろうねえ。ただ参加させただけなら潰そうと手を回してくるだろうが、今回はそうはいかない。彼らはソラに忠義を尽くす果報者。きっと陛下も喜んで迎えてくださるだろう。陛下の喜びに水を差すなんて無粋な真似、やつごときにできるはずもないさ」
サラを喜ばせること
アルヴィスを苛つかせること
これらが同時に成立する妙手。
ノヴァにとってはまさに一石二鳥。
いつも以上に邪悪な笑みを浮かべていた。
そして、晩餐会当日を迎える。
体調が悪く、短くて恐縮ですが書けてる部分だけで更新いたします。
次回更新は体調次第で、明日が難しい場合は来週末になるかもしれません。




