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影33
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やはり、応答は無い。
考えた挙げ句、律子は、玄関の郵便ポスト代わりに使っている木箱を踏み台に使うことにした。これを踏み台にして、台所の窓から浸入した。
すごい音をたて、食器戸棚がひっくり返った。
その音を聞いて、幻一郎が慌てて部屋から飛び出て来た。
「りっちゃん、大丈夫?」
「だって、ベル鳴らしても出て来ないからさ」
体操着の裾を払いながら、律子は、「じっちゃんのこと、呼んでたんだよずっと」と、赤らんだ頬を膨らませた。
「ごめんよ、聞こえなかったんだ」




