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幻想影法師  作者: 望月笑子
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33/51

影32


律子が、何度も何度も玄関のベルを鳴らした。だが、幻一郎は出て来てはくれなかった。

「じっちゃん。じっちゃん」

何度も何度も、幻一郎の名前を呼んだ。それでも幻一郎は、出て来てはくれなかった。

律子は他のドアを探した。

(あった)

台所の窓には、鍵がかかっていなかった。だが、律子の胸元ほどの高さがあるので、簡単には入れない。

しかも窓口の横には、食器戸棚が置かれている。

律子がもう一度、玄関に回り、幻一郎の名前を叫んだ。

「じっちゃん。じっちゃん」




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