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影34
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「はい、買ってきたよ」
律子はぶっきらぼうに煙草を差し出すと、幻一郎を睨みつけた。
「ごめんよ、りっちゃん。本当にごめんよ」
外見を気にしない2人の価値観は、合っていた。不思議だった。律子は幻一郎の胸に顔を埋めるとき、自分に抱かれているような気分だった。律子は幻一郎を通して、幻一郎の幼少の頃を見ているのだった。
律子は、幻一郎の心臓の鼓動を感じた。幻一郎も、律子の鼓動を感じていた。幻一郎は、律子が今まで出会ってきた男たちと違い、女の扱いがしっとりとしていた。それは、キスのし方一つからしてそうだった。
律子が幻一郎を抱擁しながら、何度も「好き」、と言った。
眼鏡をはずした幻一郎は、確かに美しい瞳を宿していた。




