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磯に香る君のそばに海神  作者: 悠鬼由宇
第1章
80/434

第一楽章 Grande Sonate pathetique Op.80


 どれ程時間が経っただろう。不意に悠人の脳裏に老婆の言葉が優しく響いてくるー



(傷が塞がるのをじっくりと待つ事じゃ)



 俺の、この心の傷。このまま東京に帰って治るのでしょうか?



(ゆっくりこの地で治していきなされ)



 そうしたいのは山々なのです。でも俺には、待ってる人ややらなきゃいけないことが……



(ダメだよお、ここにいなくちゃ!)



 京の叫び声が頭中に響き渡る!


 俺を誰が待ってるって?


 俺がやらなきゃいけない事って、何?



 そんな事より、今俺は、途轍もなく大事なものを失おうとしてはいないか?




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